ニュース

東芝、ポケットに入る重量310gのWindows 10端末「dynaEdge」

~連携するARグラスも同時展開

モバイルエッジコンピューティングデバイス「dynaEdge DE100」とインテリジェントビューワ「AR100」

 東芝クライアントソリューションの覚道清文社長は22日、モバイルエッジコンピューティングデバイス「dynaEdge(ダイナエッジ) DE100」を紹介するとともに、日本で未発表のインテリジェントビューワ「AR100」を近日正式発表することを明らかにした。

 PCやサーバーの販売店、システムインテグレータなどが加盟する一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)が、2018年1月22日に東京・内幸町の帝国ホテルで開催した「2018年 新春特別セミナー」で行なわれたハードウェアメーカー9社による「2018年 わが社の製品・販売戦略」のなかで、同社・覚道社長が言及した。

東芝クライアントソリューションの覚道清文社長

 dynaEdgeは、ポケットに入る手のひらサイズのデバイスで、重量は310gと軽量化しているのが特徴。Windows 10 Proを搭載しており、筐体の側面には衝撃を吸収するラバーバンドを施したことで、様々な現場でも活用できる堅牢設計を実現している。

 また、本体には、指紋センサーを搭載し、利用者を識別することができるセキュアな利用環境を実現しているほか、起動状態やネットワーク接続状況を光で知らせる電源スイッチを搭載するなど、現場での使い勝手にこだわっている。

dynaEdge DE100
dynaEdgeの概要

 「これは現場における働き方をサポートする製品であり、当社が打ち出すモバイルエッジコンピューティングのコンセプトに合致した製品。ダイナブックで培ってきた高密度実装技術をベースに開発した。現場でのリアルタイム処理に加えて、クラウド処理を最適に協調させ、生産性向上に貢献するデバイスになる」とした。

 さらに、dynaEdgeと連携させるインテリジェントビューワ「AR100」ついても、初めて言及。近日発表することを明らかにした。

 「dynaEdgeとインテリジェントビューワの2つのデバイスの組み合わせによって、AR(拡張現実)を実現。dynaEdgeグラスソリューションとして提供できる。作業者を、視覚および聴覚の面からサポートし、ハンズフリーでのメンテナンス業務の実現や、物流倉庫でのピッキング、警備や医療現場での活用を想定している。dynaEdgeが持つネットワーク機能を生かして、現場作業を遠隔から支援することも可能になり、支援内容をインテリジェントビューワに表示することもできる。流動的な人材活用、高度な技術供与も可能になるデバイスだ」と位置づけた。

 説明のなかで、東芝クライアントソリューションの覚道社長は、具体的な事例を、ビデオを通じて紹介した。

 現場のメンテナンス作業では、インテリジェントビューワに、メンテナンス作業の対象となる部分などを現実世界に重ねて文字やアイコンなどで表示することで、マニュアルなしでも正確な作業を可能にする。「ハンズフリーでの作業効率の向上が図れるほか、現場作業で問題が発生した場合には、遠隔支援によって、センターからリアルタイムで、現場をサポートすることが可能」だという。

メンテナンス現場での活用事例

 また、物流倉庫においては、目的の商品が置かれている棚までを誘導。対象物を探し出す時間を削減し、作業効率を向上したり、インテリジェントビューワによるバーコードスキャンによって、個体を認識し、作業の正確性を高めたりできる。これらの作業は、ハンズフリーで行なえるため作業効率も向上するという。

物流倉庫での活用事例

 東芝クライアントソリューションの覚道社長は、「過去1年間にわたって、直販部門を中心に400件以上の企業ユーザーを訪問し説明を行なった結果、実証実験の引き合いなどが出ている。当社としては、ひじょうに手応えを感じている。パートナー各社にも、新たな商材として広く活用してもらえるだろう。現場の生産性向上に向けた新たなビジネスモデルを創出できると考えており、これから訪れるモバイルエッジコンピューティング時代を、パートナー各社と一緒に切り拓いていきたい」と語った。

 さらに、「dynaEdgeは、現場での活用だけでなく、オフィスでも活用できる」とし、dynaEdgeに搭載しているネットワーク機能やセンサー機能を活用することで、ディスプレイをホワイトボード化したり、会議参加者の資料をワイヤレス表示したりといった活用のほか、ディスプレイの裏側にdynaEdgeは配置することで、省スペースデスクトップとしての活用も可能になり、「ミーティングの効率化や、省スペース化にも貢献できる」(東芝クライアントソリューションの覚道社長)とした。

 覚道社長は、「労働力減少、少子高齢化、後継者不足といった課題があるなかで、社会課題と生産性向上、働き方を改革することができるのはPCだけには留まらない。東芝は、モバイルデバイスの活用を社内から社外へ、さらに現場へと拡大することで、モバイルエッジコンピューティングの拡大に取り組む」として、モバイルエッジコンピューティングデバイスとインテリジェントビューワという新たな形状のデバイスによる事業展開を加速する姿勢を示した。

 東芝クライアントソリューションは、2016年4月に、東芝のPC事業と、東芝のITソリューション子会社の東芝情報機器を母体に設立。国内および海外のPC、システムソリューション商品の開発、製造、販売、サポートなどの事業を担当している。

dynaEdge グラスソリューションとしての活用事例
dynaEdge のオフィスでの活用事例