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米FCC、「ネットワーク中立性」に関する規制を撤廃

サンフランシスコで行なわれた反対デモの風景 Photo byCredo Action(CC BY 2.0)

 米連邦通信委員会(FCC)は14日(米国時間)、「ネットワーク中立性」規制に関する規則について、5人の委員による採決を行ない、結果、3対2で規則が撤廃されることを決定した。

 ネットワーク中立性は、インターネットプロバイダや政府などに対して、Webサイトやそのコンテンツ、デバイスなどを区別せずに、インターネット上の全データを平等に扱わせるというもの。

 ネットワーク中立性の撤廃によって、通信会社がネット上のコンテンツ別に優先順位をつけ、通信速度に差を設けるといったことが可能になる。

 それによって得られるメリットとして、プロバイダ間の競争激化によって、設備投資への活性化や利用料金の低下などが想定されており、FCCでは、規制の撤廃によって「インターネットがより自由に、よりオープンになる」としている。

 一方、小規模な事業者が淘汰される恐れや、NetflixやYouTubeなど動画ストリーミングサービスを利用するため、プロバイダから別料金が要求される(または、インターネットを使ったサービス事業者が通信事業者へトラフィックを優先してもらうためのコストを支払い、最終的にユーザーの利用料金にそれが反映される)といった懸念も挙がっており、結果、「高額な利用料を支払えるか否かでネットを快適に利用できるか」が決まり、インターネットの利用でも経済格差が影響を与えるようになるのではという声が挙がっていた。

 日本の携帯電話回線網でも、一部のMVNOなどが、追加料金の支払いで特定サービスの利用時のみ通信データ料を無制限にするといったサービスを展開しているが、同種のサービスが固定回線でも行なわれるようになるという懸念であり、最悪の場合、通信事業者の一存で競合サービスへのアクセスが低速に制限される/ブロックされるといった事態に発展するとの見方もある。

 今回撤廃される規則は、前オバマ政権時代に採択されたもので、現トランプ大統領は、その撤廃を大統領選挙時から公約として掲げていた。EUでは、2015年にネットワーク中立性に関して、米国よりも中立性の遵守について厳格ではない法案がすでに可決されている。

FCCチェアマンのAjit Pai氏による声明