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【詳報】Gear VR以上Vive未満の一体型VR「IDEALENS K2」

IDEALENS K2

 既報の通り、IDEALENSはVRヘッドマウントディスプレイ「IDEALENS K2」を発表した。ここでは発表に伴い開催された製品発表会の内容をお届けする。

 OSとバッテリを本体に搭載し、2,560×1,440ドットの高解像度を誇るディスプレイをも備えた「IDEALENS K2」の仕様に関しては、こちらの記事を参照して欲しい。

「IDEALENS K2」を手に持つIDEALENSでCEOを務めるソン・ハイタオ氏

 「IDEALENS K2」の記者発表会には、IDEALENSのCEOであるソン・ハイタオ氏が登壇。ソン氏は中国の電子科技大学で博士号を取得しているAR/VRの専門家で、GoogleGlassの初期開発員だったという実績もある。

 IDEALENS K2の前身となった「K1」は日本ではほぼ無名だが、2015年の7月に登場しており、世界初のオールインワンVRヘッドマウントディスプレイとして注目を集めたという。そしてその2世代目となる「K2」はCES 2016やGDC 2016の展示を経て、こちらもHTC ViveやOculus Riftよりも手軽に体験できるVRデバイスとして評価を得て、ワールドワイドでの展開を控えている。

 ソン氏はVRヘッドマウントディスプレイにおいて没入感を生むために重要な要素として、「低遅延」、「広視野角」、「トラッキング」の3つを挙げ、IDEALENS K2はその全てを達成していると自信を見せる。レイテンシは17msecでPS VR(18msec)とGear VR(20ms)よりも高速。視野角は120度と110度のHTC Viveなどよりも広く、K2のハイエンドモデルとして投入予定の「K3」に関しては180度に達するという。

第1弾の「IDEALENS K1」
今回発表の「IDEALENS K2」
IDEALENS K2の視野角は120度で、HTC Viveなどよりも大きい。今後投入予定の同K3に至っては180度に達する
表示のレイテンシは17msecとPS VRよりも高速という

 トラッキング能力については、内部センサーによるものと、外部カメラを使ったポジショントラッキングの両方に対応しているため、ゲームといったコンシューマだけでなく、娯楽施設などのビジネスまで、さまざまな用途で利用できる。何よりケーブルという制約に縛られることなく使用できる点が大きな強みとなっている。

IDEALENS K2のスペック
295gの軽さも特徴
エルゴノミックデザインを採用

 K2の立ち位置は“アッパーミドルレンジ”ということで、ハイエンドクラスのHTC ViveおよびOculus Riftと、ミドルレンジのGear VRの中間を埋める製品だという。価格に関しては未定となっているが、筆者が確認した限りでは最新iPhoneの最上位モデルぐらいの価格という回答が得られたため、10万円前後の価格帯で販売されると見られる。HTC Vive、PS VR、Gear VRまでハイエンドからミドルレンジの全てのVRデバイスが別途再生装置を必要としていることを考えれば、完全に独立して使用できるオールインワンのK2の価格は妥当と言えるかもしれない。

IDEALENS K2はハイエンドとミドルレンジの中間に位置する製品

実際に使用してみたIDEALENS K2の感触

IDEALENS K2装着時。ほかヘッドマウントディスプレイと同じく前に張り出すが、前方に重量は感じない

 実際にIDEALENS K2を手にしてみると、改めて300gを切るその軽さを実感させられる。筆者が特に素晴らしいと思ったのはその簡単な装着方法と良好な装着感で、後部のパーツを若干広げつつ頭に被せるだけの作業で固定は完了、重量が軽くケーブル類がないことやクッションの良さもあるのだろうが、非常に安定した装着感が得られる。以前から何度かOculus Riftを使用しているが、装着のしやすさと装着感は折り紙付きという印象だった。

正面
斜め
左側面
後部

 いくつかのコンテンツを触った限りでは動作時の遅延は感じられず、コンテンツにもよるだろうが解像感も問題なかった。K2は専用の光学系を用いているとのことなので、スマートフォンをセットするGear VRなどとは没入感もかなり違ってくる。ちなみにジェットコースターを滑降するデモを視聴してみた限りでは急な下り時にしっかりと脳が騙され、ジェットコースター特有の浮遊感が得られた。恐らく足を浮かせていればより没入できたに違いない。

展示されていたコンテンツの1つ。VRによる自転車体験

 K2は右側面にタッチセンサーを実装し、左側面には音量を調整する±ボタンが設置されている。K2自体はヘッドフォンを備えていないが、後部に3.5mmのイヤフォンジャックがあり、好きなものを利用できるようになっている。会場にはBluetooth経由で接続する専用の2ボタンコントローラが用意されていたが、これらはオプション扱いになる模様。なお、市販のスマートフォン用Bluetoothコントローラを使用できるか確認してみたところ、現時点では専用のデバイスを提供する予定とのことだった。

レンズ部分。メガネを付けた状態でも装着可能
左側面。+と-のボタンで音量を調整できる
右側面。タッチセンサーを備える。
クッションの感触も良かった
後頭部をホールドする後部パーツ
底面からの外観
3.5mmのイヤフォンジャックを後部に備えている

 肝心のコンテンツは現時点では100万時間のビデオや100以上のゲームが容易されているとし、VR App Storeを通してダウンロード可能。最初から10コンテンツほどがインストール済みとのことだった。独自OSのIDEAL OSはAndroid 6.0がベースになっており、Google Play Storeで提供されているVRアプリも遊べるという。UnityやUnreal Engineなどを通して開発したものが利用できる点はスマートフォンなどと変わらない。

 ソン氏は今後北京でIDEALENSのイベントが控えているとし、その際にIDEALENS 2の価格や提供時期、そしてハイエンド機のIDEALENS 3について発表する予定だと述べた。

装着している様子