PC短評

Core Ultra 200V搭載で薄型軽量。「ASUS ExpertBook P5」は次世代のビジネスAI PCだ

ASUS「ExpertBook P5 P5405CSA」

 ASUSのビジネスPC「ExpertBook」シリーズに、新モデル「ExpertBook P5 P5405CSA」が登場した。プロセッサにCore Ultra 200Vシリーズを採用しており、ExpertBookシリーズ初のCopilot+ PC準拠モデルとなる。

 今回は、その最上位モデルである「Expertbook P5 P5405CSA-NZ0054X」を紹介する。1月15日より発売となり、価格は24万9,800円。

薄型軽量でスタイリッシュなアルミボディのビジネスAI PC

薄型軽量のアルミニウムボディは、見た目にもスタイリッシュ。MIL-STD-810H準拠のタフさもあり、軽快に持ち歩ける

 Expertbook P5 P5405CSA-NZ0054Xは、14型ディスプレイを搭載し、携帯性を重視した薄型軽量ボディの、ExpertBookシリーズの中核となるモデルだ。搭載プロセッサはCore Ultra 7 258Vで、32GBのメモリ、47TOPSのNPU、Xe2アーキテクチャのグラフィックス機能「Arc 140V」を内蔵する。

 ストレージは容量1TBのPCIe 4.0 x4 SSDを備える。もちろんMicrosoftが定めるCopilot+ PCの要件を満たしている。なお、メモリはプロセッサ内蔵のため増設不可だが、内蔵ストレージはM.2 2230フォームファクタのSSDを1基増設可能だ。

 ボディ素材は、従来のマグネシウムリチウム合金からアルミニウムへと変更され、シルバーのスタイリッシュなデザインとなった。重量は1.27kg(実測では1,258.5g)、サイズは312×223.2×14.9~16.4mmと、シリーズの特徴である薄型軽量ボディはしっかり受け継がれている。米国国防総省調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した堅牢性試験も問題なくクリアしており、携帯性にも優れている。

ディスプレイ部は4辺狭額縁仕様で、14型ながらフットプリントもコンパクト
実測の重量は1,258.5gと公称よりわずかに軽く、苦にならず持ち歩ける

 ディスプレイは2,560×1,600ドット、最大144Hz表示対応の14型液晶を採用する。広視野角かつ非光沢パネルのため、快適に作業が行なえる。

 生体認証機能は、顔認証カメラと電源ボタン一体型指紋センサーを同時搭載。顔認証カメラは207万画素Webカメラとしても利用できる。

 外部ポートは、Thunderbolt 4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、HDMI、3.5mmオーディオジャックを用意する。無線機能は、試用機ではWi-Fi 6E準拠無線LANとBluetooth 5.3を搭載していたが、製品版では無線LANはWi-Fi 7準拠となる。

2,560×1,600ドット表示、最大144Hz駆動の14型液晶は、広視野角で外光の映り込みも気にならず、快適な作業環境を実現する。発色も鮮やかだ
ディスプレイ上部にWindows Hello対応の顔認証カメラを搭載する。207万画素Webカメラとしても利用でき、プライバシーシャッターも備える
電源ボタンには指紋センサーを内蔵し、顔認証と使い分けが可能
左側面にはThunderbolt 4 2基、HDMI、USB 3.2 Gen 2、3.5mmオーディオジャックを配置
右側面にはUSB 3.2 Gen 2を配置

 キーボードはアイソレーションタイプの日本語キーボード。キーボードバックライトも標準で内蔵する。主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチで、ストロークも約1.5mmと標準的。タッチは比較的柔らかめだ。ただ、英語配列のキーボードをベースに日本語化している点は少々残念だ。タッチパッドは約130×85mmと大きく扱いやすい。

キーボードは、英語配列の一部キーを分割して日本語化している点は気になるが、打鍵感は良好。バックライトも搭載し暗い場所でも安心だ
主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保。タッチはやや軽めだ
タッチパッドは実測で約130×85mmとなかなか広く扱いやすい

ASUS独自AI機能でビジネスを快適に

 Expertbook P5シリーズには、ベータ版ではあるが、ASUS独自のビジネス向けAI機能「AI ExpertMeet」を搭載する。AI ExpertMeetにはさまざまなAI機能を搭載するが、その中でも特に注目なのが、録音した音声の文字起こしと翻訳、AIによる要約機能を備える「AIミーティング議事録」、リアルタイムに音声を翻訳した字幕を表示する「AI翻訳字幕」だ。

Copilot+ PC提供のAI機能だけでなく、ASUS独自のAI機能「AI ExpertMeet」を用意し、より実用的にAIを活用できる点は嬉しい

 いずれも一部だが日本語対応を実現している。AIミーティング議事録では、日本語音声の文字起こしや、英語音声を日本語に翻訳した文字起こし、全内容の日本語での要約が可能。AI翻訳字幕では、英語音声をわずかなタイムラグで日本語に翻訳して字幕表示(日本語から英語など他の言語への変換はまだ未対応)できることを確認した。

 音声の状態で認識精度や翻訳精度が大きく変化する点は、既存のAI機能と同様の印象だが、今後AIモデルの進化によって精度の向上は十分期待でき、ビジネスシーンで有効に活用できる場面も多くなっていきそうだ。

 この他にも、カメラで捉えた映像をAIで最適化したり、透かし(ウォーターマーク)を追加する機能も用意されており、Web会議に有効活用できそうだ。

 そして、これらAI処理の多くはNPUを活用して処理されていることも確認できた。一部CPU処理になるものもあったが、それも今後NPUを活用した処理に対応する可能性が高く、今後の発展に期待したい。

AIミーティング議事録では、Web会議の音声を録音し、音声の文字起こしや翻訳に加えて、内容の要約が可能。実際に英語音声を日本語に翻訳した文字起こしや要約も可能だった
AI翻訳字幕では、英語音声をわずかなタイムラグで日本語に翻訳しながら字幕表示。この処理はNPUを活用することで高速に処理できているようだ
Web会議で相手に表示する映像に透かし(ウォーターマーク)を追加できる機能も便利に活用できそうだ

Copilot+ PCらしい十分なパワーを備える

 最後にベンチマークテストの結果を紹介していこう。

 「PCMark 10」は総合スコアが7,160と、なかなかの高スコアだった。独自の冷却機構「ExpertCool」により、長時間の連続利用でも安定した性能を引き出せているからだろう。また、「Cinebench R23」もマルチコアが11,059、シングルコアが1,850とこちらも申し分ない。ビジネスアプリはもちろん、ちょっとした写真や動画の編集でも軽々こなせるはずだ。

PCMark 10の総合スコアは7,160と、Core Ultra 7 258V搭載PCとして申し分ないスコアが得られた
Cinebench R23の結果も良好。独自の冷却機構「ExpertCool」によって長時間高負荷がかかっても優れたパフォーマンスが安定して引き出せている結果と考えられる

 3D描画性能を計測する「3DMark」では、「Steel Nomad Light」が3,212、「Time Spy」が4,314と、ビジネスPCと考えるとかなりの高スコアだ。この結果からも、Core Ultra 7 258V内蔵GPUのArc 140Vの描画性能が十分に引き出せていると言える。

 バッテリ駆動時間は、PCMark10の「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用し、ディスプレイ輝度50%、キーボードバックライトオフで計測したところ、21時間1分を記録した。輝度を抑えているので条件はいいが、それでも21時間ほどの駆動時間は破格で、通常利用でも1日の外出でバッテリ切れになる心配はまずなさそうだ。

3DMark 「Steel Nomad Light」のスコアは3,212と、プロセッサ内蔵GPUとしてはかなりの高スコアが得られた
3DMark 「Time Spy」もスコアが4,314に達しており、Arc 140Vの描画性能の高さがよく分かる
ディスプレイ輝度を50%に落としているものの、「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」で約21時間と破格の駆動時間を記録。これなら通常利用でも10時間は余裕で利用できそうだ

 価格は24万9,800円と、金額だけ見ると高いと感じるかもしれないが、ビジネスモバイルPCとしてもほぼトップクラスのスペックを備えていることを考えると、コストパフォーマンスはかなり優れている。また、Copilot+ PCで提供されるものだけでなく、ASUS独自のAI機能を用意し、より実用的にAIを活用できる点も大きな魅力で、新世代ビジネスAI PCとして魅力的な製品と言える。