PC短評

Core Ultra 7 258V/有機EL/1TBで20万円以下!?良コスパノート「ASUS Vivobook S 14」

ASUSの14型ノートPC「Vivobook S 14 S5406SA」(型番:HT5306QA-PU161W)。直販価格は19万9,800円

 ASUSから11月29日に発売された14型ノートPC「Vivobook S 14 S5406SA」。CPUにIntel最新世代の上位モデルであるCore Ultra 7 258Vを採用し、OLEDディスプレイや、1TBの大容量SSD、薄型軽量なボディで19万円台を実現する。実際の使い勝手はどうなのか。試用する機会を得たので早速レビューをお届けしよう。

Core Ultra 258V搭載でスリムなボディ

 Vivobook S 14 S5406SAは、14型ディスプレイを採用するノートPCだ。本体サイズは310.5×221.9×13.9~15.9mmで、重量は約1.3kg。14型ノートPCとしては薄型軽量なのに加えて、温度、振動、衝撃など厳しいテストのクリアが必要な米国軍用規格のMIL-STD-810Hに準拠した頑丈さを持っており、安心して持ち運べるのもポイントだ。

13.9~15.9mmの薄型ながらMIL-STD-810H準拠のタフなボディを実現
底面にはゴム足があり、タンピング時の安定性と吸気のしやすさを高めている
重量は実測で1,301gとほぼスペック通り
ACアダプタはType-C形状で65W出力。コンパクトだ
ACアダプタの重量は実測で220g

 CPUはIntel最新世代のCore Ultra 200Vシリーズ(開発コードネーム:Lunar Lake)から、上位モデルのCore Ultra 7 258Vを搭載する。パフォーマンス重視のPコアが4基、効率重視のEコアが4基で合計8コア8スレッドだ。1コアで2スレッド処理するハイパースレッディングはCore Ultra 200Vでは廃止された。Copilot+ PCの要件を満たす47TOPSのNPUを内蔵しており、ローカルでのAI処理に強いのも特徴。

 また、GPUにはXe2アーキテクチャ(開発コードネーム:Battlemage)を採用するArc 140Vを内蔵する。前世代の内蔵GPUから1.5倍の性能向上を果たしており、多くのゲームを遊べる性能を持っている。

CPUは8コア(Pコア4基、Eコア4基)8スレッドのCore Ultra 7 258Vを搭載
グラフィックス機能はGPU内蔵のArc 140Vを利用する
CPUには、Copilot+ PCの要件を満たす47TOPSのNPUを内蔵
NPUに対応するアプリはまだ少ないが、Webカメラ映像にぼかしなどを入れられるWindows Studio エフェクトはNPUによって処理される

 Core Ultra 200VシリーズはメモリがCPUに統合されており増設はできない。Core Ultra 7 258VはLPDDR5X-8533の高速メモリが32GB搭載されている。ストレージはPCI Express 4.0接続M.2 SSDで容量は1TBだ。OSはWindows 11 Home。

CrystalDiskMark 8.0.5によるストレージテストの結果。シーケンシャルリードで6,377.44MB/sとかなり高速だ

 ディスプレイは14型のOLED(有機EL)を採用。アスペクト比は16:10で解像度は1,920×1,200ドット、リフレッシュレートは一般的な60Hzだ。広い色域を求めるデジタルシネマ向けのDCI-P3カバー率100%と優れた色の再現性を持ち、ハイレベルな黒の表現力と高いコントラスト比が必要な有機EL向けのHDR規格「DisplayHDR True Black 600」も取得している。

ディスプレイは14型の有機ELを搭載。解像度は1,920×1,200ドット
色域はDCI-P3、Display-P3、sRGBにカスタマイズが可能だ

 インターフェイスは、左側面にはHDMI出力、Thunderbolt 4 2基、microSDカードスロット、ヘッドセット端子、右側面にUSB 3.2 Gen 1 2基だ。充電はThunderbolt 4経由で行なう。このほか、ステレオスピーカー、Windows Helloの顔認証に対応する207万画素のWebカメラも備えている。ワイヤレス機能はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応。

左側面はHDMI出力、Thunderbolt 4 2基、microSDカードスロット、ヘッドセット端子
右側面はUSB 3.2 Gen 1 2基
Webカメラは207万画素でWindows Hello対応

 キーボードは84キーの日本語配列だ。右下にCopilotキーも備わっている。キーピッチは筆者の実測で約19mmと十分なサイズが確保されており、バックライトも内蔵。タッチパッドは実測で約130×84mmだった。

キーボードは日本語配列。右下にCopilotキーも搭載
キーピッチは実測で約19mmと十分なサイズ
タッチパッドは実測で約130×84mmとかなり広め

人気ゲームを遊べるGPUパワー

 ここからはベンチマークで性能をチェックしていこう。CGレンダリングでCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」は、マルチコアが658、シングルコアが121だ。Core Ultra 7 258Vとして順当と言えるスコアだ。PCMark 10は総合スコアが6,670とノートPCとして十分高い。一般的な処理で遅いと感じることはないだろう。

Cinebench 2024の結果。マルチコアは658、シングルコアは121
PCMark 10 Standardの結果。Core Ultra 7 258Vとして高いスコアで性能をしっかり引き出せている

 続いて、定番3Dベンチマークの「3DMark」だ。DirectX 12ベースの「Steel Nomad Light」が3,316、DirectX 11ベースの「Fire Strike」が9,135だ。Core Ultra 7 258Vが内蔵するArc 140Vのアベレージを超えており、こちらもしっかりと性能を引き出せている。

Steel Nomad Lightの結果
Fire Strikeの結果

 実ゲームではどうだろうか。ストリートファイター6のベンチマークでは、フルHD解像度のLOW設定でスコア満点と快適にプレイできるという評価。サイバーパンク2077もフルHD解像度で画質「低」設定、アップスケーラーのFSRをパフォーマンス設定かつフレーム生成を有効にすることで平均101.85fpsと十分快適に遊べるフレームレートを出した。薄型ノートPCながらゲームも結構遊べるのは嬉しいところだ。

ストリートファイター6のベンチマーク結果。フルHDのLOW設定で満点評価
サイバーパンク2077の内蔵ベンチマーク機能の結果。フルHD、画質「低」、FSRをパフォーマンス設定+フレーム生成有効で平均101.85fps

 20万円以下の薄型ノートPCとして非常に高い汎用性を持っている。仕事や学業でまず困らない高いCPU性能、NPU搭載によってこれから必要とされるAI処理にも強く、映像コンテンツを快適に楽しめる表現力の高いディスプレイ、CPU内蔵のGPUながらゲームを遊べるパワーがある。幅広いユーザーを満足させられる1台だ。