PC短評

ミニPCだけど、M.2を4基つけました。「MINISFORUM MS-A1」

MS-A1

 MINISFORUMの「MS-A1」は、ミニPCとしては異例とも言えるSocket AM5のRyzenに対応したモデルだ。現在の予約価格はベアボーンモデルが4万1,580円、Ryzen 7 8700G/メモリ32GB/1TB SSD/Windows 11 Home搭載モデルが12万7,980円となっている。今回は届いた後者のサンプルを軽く紹介しよう。

 一風変わった仕様のミニPCを数多く輩出している同社だが、その中でもかなりインパクトがあったモデルが2023年末に登場した「MS-01」である。MS-A1は、このMS-01の外観をほぼ踏襲し、従来モバイル向けだった第13世代Core Hプロセッサの代わりに、一般的なデスクトップPCで使われるSocket AM5対応Ryzenを搭載した、いわば姉妹機である。

 ただ、MS-01はLowProfile/ハーフレングスながらPCI Expressの拡張カードを搭載できたり、光ファイバーが使えるSFP+を2ポート備えたりという、人によっては狂喜乱舞するようなスペックのモデルであったのに対し、MS-A1はそれらの要素がなく、より一般的なミニPCらしいインターフェイスとなっている。

MS-01(左)との比較。筐体のサイズ感や大まかなデザインはほぼ共通だが、細かく見ていくと結構な違いがある

 しかし、MS-A1はOCuLinkを標準で装備しているため、外付けとはなるものの、別途OCuLink対応のPCI Express拡張ドック「DEG1」を使用すれば、サイズにとらわれないGPUや拡張カードが使用できる点がユニークなところの1つと言える。

前面のインターフェイスはUSB 3.1×2、USB 2.0、3.5mm音声入出力
本体背面のインターフェイスはOCuLink、USB 2.0、USB 3.1、USB4、HDMI出力、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet×2
本体上部の吸気口からファン2基が覗ける
付属品。ACアダプタは239.4Wとかなり余裕がある

 それでも、同社のミニPCはOCuLink搭載モデルが最近増えているため、「OCuLink程度じゃ変態度が足りない」と思われるかもしれない。だがMS-A1には「M.2スロットが4つもある」というこれまでのミニPCにはない特徴がある。しかもそのうち1基はMS-01と同じくU.2と排他になっているほか、CPU/メモリ側の2基にはかなり大型のヒートシンク、裏の1基には大型ファン付きヒートシンク(こちらはPCモデルを選ぶと標準でOS入りのSSDが装着されている)が用意されている。

 つまり、高性能で発熱が大きいSSDを装着しても安心して運用できる仕組みとなっているわけで、ストレージをたくさん装着してストレージサーバーやNASのように使う用途に向いているのだ。ここがMS-01との大きな違いとなっている。

 ちなみにMS-01はツールレスで内部にアクセス可能だったが、MS-A1はネジを8本外す必要があるなどやや面倒だ。また、天板や底面の吸気口もよく見るとデザインが異なっており、奥行きもMS-A1のほうがやや短い。外観はパッと見同じだが、設計思想にはかなりの違いがあると言っていいだろう。

本体底面のネジ8本を外してから内部にアクセスする。なお、この状態にすればスライドでシャシーを完全に外せる
底面のM.2 SSDのうち1基は大型ファン付きにできる。もう片方はU.2と排他
CPU装着面。こちらは本体前寄りにM.2スロットを2基装備し、大型のパッシブヒートシンクが装着されている
このヒートシンクはM.2 SSD 2基のほかDDR5メモリも冷却する。長期間運用で安心できそうだ
大型のヒートシンクと2基のファンで、デスクトップ向けのRyzen 7 8700Gを強力に冷却する

 性能面では、ベンチマークを見る限りRyzen 7 8700Gの性能を十分に引き出しており、仮に自作PCを作ったとしても同等になるだろう。騒音としてはファン口径/厚みともに余裕があるからかやや低めの音で耳障りではないが、若干軸音が気になるかもしれない(個体差の可能性もある)。

 MINISFORUMの「MS」シリーズはワークステーションという位置づけで、日常的な使い方にはややオーバースペックなところはあるのだが、この仕様が自分の使い方にハマる場合は、唯一無二のマシンになるに違いない。

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