PC短評

見た目は同じだがちょっぴり強くなった「GPD WIN 4 (2023)」

GPD WIN 4 (2023)

 GPDの「GPD WIN 4 (2023)」は、CPUにRyzen 7040シリーズを採用し、6型のディスプレイやスライド式キーボードを備えたゲーム向けのUMPCだ。今回、CPUにRyzen 5 7640Uを搭載した下位モデルのサンプルをお借りしたので、簡単に紹介しつつ、ざっくり従来の「GPD WIN 4」と比較していきたい。

 製品名の後ろに「(2023)」が付いただけ、ということからも分かる通り、本製品はGPD WIN 4の後継に当たるモデルで、CPUが従来のRyzen 7 6800Uから、Ryzen 5 7640UまたはRyzen 7 7840Uに変更された。

 これに伴い、CPUのアーキテクチャとしてはZen 3+からZen 4世代へとなり、性能向上が図られた。一方でGPUのアーキテクチャもRDNA 2からRDNA 3へと刷新され、効率と性能が向上している。

 今回お借りしたのはRyzen 5 7640Uを搭載した下位モデルで、CPUは6コア/12スレッド、動作クロックは3.5~4.9GHz。GPUはCU数が8基(シェーダ数512基)のRadeon 760Mという仕様となっている。しかし、PCMark 10、3DMarkの結果から分かる通り、3DMark性能は従来に肉薄、PCMarkはむしろ凌駕するほどのスコアを叩き出すのだから驚きだ。

PCMark 10の結果(TDP標準設定時)
TDPを28Wまで引き上げた際のPCMark 10結果
Time Spyの結果(TDP標準設定時)
Fire Strikeの結果(TDP標準設定時)
Wild Lifeの結果(TDP標準設定時)
Night Raidの結果(TDP標準設定時)
Solar Bayの結果(TDP標準設定時)

 また、USB 3.0ポートの代わりに、OCuLinkポートが設けられたのもトピック。OCuLink対応製品として、GPDは外付けのGPUドッキングステーション「G1」を用意しているため、グラフィックス性能をさらに向上させたというユーザーのニーズに応えられる。

製品パッケージ
付属品など
本体正面でキーボードを開いたところ
コントローラの作りなどは従来のGPD WIN 4を踏襲する。PSPのようなフォルムで少し懐かしい雰囲気だ
重量は実測602gだった

 ただ、OCuLinkは今のところ、自分でビデオカードを接続したいといった場合は、変換基板や電源をユーザーが別途調達しなければならず、やや難易度が高い。また、Thunderbolt 4(USB4)のように本体への給電もできず、ホットプラグも非対応など不便な点も多い。そのためOCuLinkはまだ上級者向けだろう。なくなったUSB 3.0(Type-A)だが、代わりにUSB Type-C→Type-A変換アダプタが付属するようになったので、必要であればこちらを使うとよい。

本体上部のインターフェイス。USB4とOCuLink、3.5mm音声入出力などが集中している
本体底面はUSB4ポートのみ
OCuLinkポート

 従来モデルからの進化が大きくないGPD WIN 4 (2023)だが、従来モデルを購入したユーザーは買い替えを急がなくても良いということだ。逆に、GPD WIN 4は国内発売前にRyzen 7040シリーズが発表されたこともあり、購入を見送ったユーザーにとっていいチャンスになるのではないだろうか。

GPD WIN 4(ホワイトモデル)との比較
本体背面を見ても違いがあまり分からない
ちなみにL/Rショルダーボタンも光るが、ブラックとホワイトとでは印象がかなり異なる