PC短評

N100なのになぜRGB LED付けた?遊び心入りミニPC「Coolby GTFast DQ5」

Coolby GTFast DQ5

 安くてそこそこ使えるとミニPCとして人気のIntel Processor N100を搭載したモデルが次から次へと出てくる。N100はしばらく良いかなと思いつつも編集部から「今度のミニPCはRGBついてますよ」と言われ、怖いもの見たさでサンプルを受け取ったのが「Coolby」と聞いたこともないブランドだった。公式サイトは準備中のようだが、Amazonでは3万5,980円(執筆時)で販売されている。

 GTFast DQ5の本体サイズは約128×128×48.2mm(ゴム足含む)、筐体はプラスチック製で重量は約496g。天板と側面の通気口、電源ボタン部分にRGB LEDを備えており、さながらゲーミングPCといった雰囲気を醸し出す。インターフェイスは前面と背面に配置され、左右はハニカムとスリット形状の通気口のみ。付属品はACアダプタ、VESAマウント、専用ツールのほか簡易マニュアルが付属している。

ACアダプタ、VESAマウント、分解用の専用ツールのほか簡易マニュアルが付属
手にした感じはプラスチッキーだが慣れると悪くない
ACアダプタの出力は19Vの3.42Aで64.98W
縦横ともに約128mm
本体重量は実測値で約496g
付属のACアダプタを含めると約712g

 CPUは第12世代モバイル向けプロセッサとなるIntel Processor N100、グラフィックスはCPUに統合されたUHD Graphicsを搭載。システムメモリはDDR4 16GB×1、ストレージはPCI Express 3.0接続の512GB M.2 SSD(Type 2280)、OSはWindows 11 Proがインストールされている。

 インターフェイスは、USB 3.1×2、3.5mmオーディオジャック、USB 3.1 Type-C(USB PD/DP)、背面に2.5Gigabit Ethernet×2、USB 3.1×2、DisplayPort、HDMI、USB 2.0×2、無線LANはWi-Fi 6となるIEEE 802.11axとBluetooth 5.2に対応。

正面右から電源ボタン、USB 3.1×2、3.5mmオーディオジャック、USB 3.1 Type-C(PD/DP/USB)
背面右からDCジャック、2.5Gigabit Ethernet×2、USB 3.1×2、DisplayPort、HDMI、RTCボタン、USB 2.0×2
左右の側面は通気口のみ

 OSをセットアップするとRGB LEDを制御可能な専用ソフトウェア「Colour LED Ctrl」も一緒にインストールされる。左側に各種設定項目、右側はカスタマイズ可能なLED部分が表示されマウスでクリックして個別に設定することができる。点滅をオンにすると右の画面ではブリージングのアニメーションが再生されるが、実際には点滅しているといった方が正しい。割合は点滅の速度を調整可能。

右側の変更したいLEDをクリックすると、左側の現在の光が変わり個別に色や輝度を設定することができる
効果にはプリセット等はなく、自身でカスタマイズした設定をここに割り当てて保存するスタイルのようだ
255,255,255で色指定したいところだかスライドで調整するしか方法はなく、画面上は白だが側面のLEDがややシアンっぽくみえる

 分解する際は初めに筐体のゴム足を剥がし、その下にあるネジ4本を取り外す必要があるが、付属のドライバが使えるかと思いきや微妙にサイズが異なり取り外すことができない。サンプル固有の問題かもしれないが念のため注意が必要だ。

筐体裏のネジ4本を取り外そうとするがネジが緩まない
付属ドライバのサイズが少し大きい罠がある

 ネジ4本を取り外したら、これも付属するピックのようなツールで天板のワキから差し込みこじ開ける。「天板がアクリル素材のためこれ絶対傷が付くやつじゃん」と渋々作業したら、意外にも簡単に外れ目立つような傷は付かない。いやもっと簡単な方法で分解させてほしいが……。

天板の側面からツールを差し込みこじ開ける
4辺の側面には3カ所ずつ切り欠きがある
裏蓋部分はストレージとLED照明用のケーブルが接続されている
オプションで2.5インチのHDDやSSDが増設可能
メモリはJUHOR PC4-25600S
ストレージはNetac G935E 512G
ネットワークカードはIntel AX101NGW
ネットワークコントローラはIntel I226-V

 CPUには、第12世代モバイル向けプロセッサで高効率かつ低消費電力な動作を実現するEコアだけを搭載したAlder Lake-NのIntel Processor N100が採用されている。4コア4スレッドのEコアの最大周波数は3.4GHz、CPUに統合されたUHD Graphicsの実行ユニット数は24で最大周波数は750MHzで動作する。サンプルのシステムメモリは16GB×1、ストレージは512GBのM.2 SSD、OSはWindows 11 Pro。

 CPUのレンダリングでパフォーマンスを測定するCinebench 2024では、マルチコアは175、シングルコアは55、総合的なパフォーマンスを計測するPCMark 10ではスコア2,957となった。マルチタスクな昨今、4コア4スレッドのCPUでは負荷の高い処理でCPU使用率が100%に張り付くことがある。Webサイトの閲覧やドキュメントの作成といった一般的なオフィスアプリケーションなら問題なく動作するが、高速なデスクトップPCと比較すると全体的な動作はゆっくりしている。

Cinebench 2024のマルチコアは175、シングルコアは55
PCMark 10のスコアは2957、一般的なオフィスアプリケーションの動作に問題はない

 Unreal Engine 4で開発された話題のオンラインアクションRPG「BLUE PROTOCOL」、同作のベンチマークソフトを使ってFHD解像度における最高画質と低画質の両方のプリセットで計測。最高画質プリセットのスコアは477、低画質プリセットのスコアは1,234でどちらも動作困難という結果になった。

最高画質プリセットのスコアは477、レポートの平均フレームレートは3.284
低画質プリセットのスコアは1,234、レポートの平均フレームレートは8.820

 GPUのパフォーマンスを測定する3DMark Night Raidは4,620、Wild Lifeは2,757、Fire Strikeは1,126、Time Spyは365となった。ゲーミングPCっぽい外観に騙されそうになるが、今どきのPCゲームを遊ぶにはやや無理がある。負荷の軽いブラウザゲームなら問題ないが過度な期待は禁物だ。それよりもIntelの2.5Gbps対応有線LANコントローラI226-Vを搭載し、2.5Gigabit Ethernetポートを2つ備えていることから、ネットワークの構築やアプライアンスなどにも使える手ごろなおもちゃとして遊ぶ方が楽しいかもしれない。

内蔵グラフィックス向けのベンチマーク、Night Raidのスコアは4,620
クロスプラットフォーム向けのベンチマーク、Wild Lifeのスコアは2,757
DirectX 11を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Fire Strikeのスコアは1,126
DirectX 12を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Time Spyのスコアは365