PC短評

低価格で質感の高いCore m3搭載ノート「CHUWI Aerobook」

Aerobook

 CHUWIの「Aerobook」は、クラウドファンディングサイトIndiegogoで約3,200万円の出資を集めた13.3型のノートPCだ。すでに出資応募の受付が終了しており、4月末にも順次出荷される予定となっている。今回試作機をお借りできたので、簡単に紹介をしたい。

 ちなみに試作機であるゆえ、実際の製品の仕様とはいくつか異なる点が存在する。1つ目は本来あるべきUSB Type-Cが、試作機にはない点。実製品に搭載されるUSB Type-Cは、充電やディスプレイ出力をも兼ね備えたフル機能のものとなっているが、試作機にはそれがない。そのため、専用の12V ACアダプタでのみ充電できる仕様となっている。

 もう1つ異なる点はストレージで、実際の製品は、最小構成でも128GBのeMMCと128GBのM.2 SATA SSDを備えるが、試作機はeMMCが32GB(リカバリ領域つき、ただし28GB分は未フォーマット)、SATA SSDが1TBという構成だった。ちなみに当初の最小構成は128GB eMMCのみとなっていたが、ストレッチゴールの達成で128GB SSDがおまけでつくことになった。128GB+128GB構成に対して出資していたユーザーに対しては、128GB+256GBの構成で出荷される。

 本機は400ドルを切る安価であるにもかかわらず、CPUにCore m3-6Y30(0.9GHz、ビデオ機能内蔵)を搭載。最新のAmber LakeやKaby Lake世代ではなく古めのSkylake世代だが、アーキテクチャや機能面ではほぼ共通であり、日常用途には十分な性能を実現している。

 超低消費電力SKUを用いていながら、13.3型という余裕のある筐体のため、本製品はCPUの熱を底面カバーにそのまま逃がすファンレス構造となっている。実際に使用していても騒音がなく、静粛性に大変優れていると感じた。

 メモリは8GB搭載しており、このあたりも実用十分。液晶は1,920×1,080ドット表示対応の13.3型IPSで品質は良い。特筆すべきは天板の質感の高さで、薄型筐体のシャープなエッジと相まって、MacBookに勝るとも劣らない。パッと見た印象では10万円以上はしそうな雰囲気だ。

 インターフェイスはUSB 3.0×3(うち1基はType-C、試作機は非搭載)、Mini HDMI(製品紹介ページではMicroとなっているが、試作機はMiniであった)、microSDカードスロット、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0、200万画素Webカメラ、音声入出力など。本体サイズは308.5×209×8~15㎜(幅×奥行き×高さ)。バッテリ駆動時間は約8時間だ。

 PCMark 10で性能をテストしたところ、2,000前後のスコアを記録した。超低電圧版CPU搭載モデルとしては妥当な性能だ。しかしAtom系のCPUにはない動作の軽快さがあるのは、すぐに体感できる。

 CHUWIは最近日本市場に積極的で、本機の投入も期待できる。「メインマシンに近い実用的な性能のノートが欲しいけど、そこまでは予算がない」というユーザーは、今後の動向に注意したいところだ。

キーボードは英語配列に慣れているユーザーであれば難なくタッチタイピングできる。Enterキーの横にもう1列あるものの、実際に試用していて気になることはなかった
ゆとりのある19㎜キーピッチを確保している。キーボードのタッチはやや金属感に欠ける印象だが、静粛性が比較的高く、静かな場所でもそれほど気にならないのは良い。明るさを2段階に調節可能なバックライトがついており、暗所でも視認性が高い
タッチパッドは広く、操作感はかなりいいほうだ。複数本指によるジェスチャにも対応。2本指ではタップで右クリック、ドラッグでスクロール。3本指ではタップでCortana起動、左右ドラッグでタスク切り替え、上下ドラッグで全ウィンドウの最大化/最小化。そして4本指ではタップでチャームの呼び出し、左右ドラッグは仮想デスクトップの切り替えといった具合
液晶は狭額縁採用で、画面占有率80%を達成している。ただしタッチには非対応だ
液晶の最大角度。これ以上開かないのはやや残念
IPS方式のようで、視野角が広く色味も良い
本体重量は実測1,269gと、今どきにしては重めだが、重量バランスが良いためか想像以上に軽い印象
右側面のインターフェイスはUSB 3.0、ステレオミニジャック、microSDカードリーダ
左側面はUSB 3.0、DC入力、Mini HDMI。なお、製品版ではUSB Type-Cが加わる見込みだ
本体底面。ファンレスで、通気口も一切ない。右下の蓋はM.2 SATA SSD換装用だ
筐体は8~15mmと薄く、見栄えはなかなかだ
シャープなエッジで、499ドルとは思えない質感
ACアダプタは12V/2A。製品版ではUSB Type-Cによる充電をサポートする
PCMark 10の結果は2022と、日常使用には十分な性能を確保している