西川和久の不定期コラム

レノボ「IdeaPad U310 Touch」

~10点タッチ対応13.3型のUltrabook

 レノボ・ジャパン株式会社は4月23日、2012年6月に発売された「IdeaPad U310」のタッチ対応モデル「IdeaPad U310 Touch」を発表した。ちょうど前モデルもレビューしているので、その違いが気になるところ。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けする。

IdeaPad U310にタッチ対応+α

 2012年6月に、「IdeaPad U310 Touch」の前モデルに相当する「IdeaPad U310」のレビュー記事を掲載した。ルックスも含めかなりの部分が共通で、タッチ対応以外で一番の違いは、プロセッサがCore i5-3317U(2コア/4スレッド、1.7GHz/Turbo Boost時2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)から、Core i5-3337U(2コア/4スレッド、1.8GHz/Turbo Boost時2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)へ強化されたこと。

 逆に少しマイナスポイントとなるのは、重量が約1.68kgから約1.75kgへと70gアップし、バッテリ駆動時間(3セル)が最大約6.2時間から最大約5.3時間へ短くなったことだ。タッチパネルを搭載しているため仕方はないとはいえ、もう少し抑えて欲しかった。

 価格はオープンプライスで、実売価格は約10万円前後だ。従来のIdeaPad U310と比較してスペックが若干上がるため、価格アップは致し方ないだろう。主な仕様は以下の通り。

レノボ「IdeaPad U310 Touch」の仕様
プロセッサCore i5-3337U(2コア/4スレッド、1.8GHz/
Turbo Boost:2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)
メモリ4GB
チップセットIntel HM77 Express
ストレージHDD 500GB(5,400rpm)+SSD 32GB(Rapid Drive)
OSWindows 8(64bit)
ディスプレイ13.3型液晶ディスプレイ(光沢)、
1,366×768ドット、
10点タッチ対応、HDMI出力
グラフィックスプロセッサ内蔵HD Graphics 4000
ネットワークEthernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×2、USB 2.0×1、720p Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力
サイズ/重量333×225×18mm(幅×奥行き×高さ)/約1.75kg
バッテリ駆動時間最大約5.3時間(3セル)
店頭予想価格10万円前後

 チップセットはIntel HM77 Express。メモリは4GBで増設はできない。OSは64bit版Windows 8。ストレージは5,400rpmの500GB HDDに加え、同社独自のSSDを使ったキャッシュシステム=Rapid Drive用に32GBを搭載している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵HD Graphics 4000。外部出力用として、HDMI出力を装備する。

 液晶ディスプレイは、光沢式の10点タッチ対応、13.3型液晶パネルを搭載し、解像度は1,366×768ドット。Windows 8のスナップインも利用できる。

 ネットワークは、有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、720p Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。

 冒頭に挙げたスペックとプリインストールしているOS以外は、全てIdeaPad U310と同じだ。当時はIvy Bridgeの出始めで目新しかったものの、今となっては枯れたシステムであり、安定した運用が期待できる。ただ、有線LANも相変わらずGigabit非対応なのは筆者としては残念なところか。

 またIdeaPad U310は、カラーバリエーションとして、「グラファイトグレー」、「チェリーブロッサムピンク」、「アクアブルー」の3種類用意していたが、IdeaPad U310 Touchは、「グラファイトグレー」のみとなる。同社に限らず、カラーバリエーションがないのは、最近の傾向のようだ。

正面側面の左側にSDカードスロット、中央に電源とバッテリステータスLED
斜め後ろから。バッテリは内蔵しているため着脱できない。トップカバーはロゴのみとシンプル
底面は1枚のパネルで覆われ、メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無い
左側面。OneKeyRecoveryボタン、Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×2を装備
キーボードはアイソレーション式。ファンクションキーはダイレクトだと機能キーとなる
右側面。電源入力、USB 2.0、音声入出力
キーピッチは実測で約19mm
重量は実測で1,771g
ACアダプタなど。コネクタはミッキータイプ。サイズ88×35×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量178g

 トップカバーはマット仕上げのツヤ無しブラウンにロゴのみとシンプル。ほかの部分は、渋い真鍮色と言った感じで、クールに仕上がっている。

 正面側面に左側にSDカードスロット、中央に電源とバッテリステータスLED。液晶パネルのフチ上中央にWebカメラがある。左側面は、OneKeyRecoveryボタン、Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×2。右側面は、電源入力、USB 2.0、音声入出力。裏は1枚パネルで覆われ、メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無い。バッテリは内蔵しており交換はできない。

 ACアダプタのコネクタはミッキータイプ。サイズ88×35×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量178gと小型のものが使われている。

 液晶パネルは若干派手さに欠ける気もするが、自然な発色で、明るさコントラスト共に十分。ただIPSパネルでは無いためその分視野角は狭く、少し角度が付くと発色が変化する。10点タッチはかなりスムーズで、指に吸い付くように反応する。

 パームレストやタッチパッドは13.3型と筐体に余裕がある分、十分に広い。タッチパッドは物理的なボタンがなく、1枚のパネルで構成され、手前が左右に傾くタイプだ。

 キーボードはアイソレーションタイプで、主要なキーのピッチは約19mm。一部ピッチが狭くなっているものの、入力に支障をきたすほどでもない。若干たわむが許容範囲だ。ただファンクションキーは、明るさや音量調整など、機能キーがダイレクトに割当てられ、本来のファンクションキーは[Fn]キーとのコンビネーションとなる。

 熱や振動、ノイズに関しては試用した範囲では、左側面のスリットから若干暖かい風が出る程度で、問題ないレベルに抑えられている。

 サウンドは、Dolby Home Theater V4を搭載しているので、自分の好みにカスタマイズすることが可能だ。最大出力も十分あり、音楽も動画も楽しめる。オフにすると痩せたサウンドになるため、常時オンをお勧めしたい。

まずまずバランスの取れた作動と6時間超えのバッテリ駆動時間

 OSは64bit版Windows 8。メモリが4GBなので、気分的にはもう少し欲しいものの、使った範囲ではメモリ不足によってパフォーマンスが低下することはなかった。

 初期起動時のスタート画面は1画面+α。Lenovoアプリ以降がプリインストールのアプリとなる。Windowsストアアプリが12本、デスクトップアプリが3本追加されている。デスクトップは、ごみ箱のみと非常にシンプル。画面キャプチャからも分かるように、結構な数のソフトウェアが常駐している。

 HDDは500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HGST HTS545050」、SSDは「SAMSUNG MZMPC032」が使われている。SSDは、コンピュータの管理/ディスクの管理からは見えるものの、Rapid Drive用のため、ユーザーからはアクセスできず、実質HDDのC:ドライブのみの1パーティションで418GBが割当てられ、空き392GBとなる。

 Wi-FiとBluetoothモジュールはQualcomm Atheros製、EthernetはRealtek製が使われていた。

スタート画面1。Windows 8標準に加えLenovoアプリ以降がプリインストールアプリ
スタート画面2。最後の3本はデスクトップアプリ
起動時のデスクトップ。ごみ箱のみと非常にシンプル。結構な数のソフトウェアが常駐している
HDDは500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HGST HTS545050」、SSDは「SAMSUNG MZMPC032」。Wi-FiとBluetoothモジュールはQualcomm Atheros製、EthernetはRealtek製
SSDはRapid Drive用。実質HDDのC:ドライブのみの1パーティション

 プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「AccuWeather for Windows 8」、「Evernote」、「Kindle」、「Lenovo Companion」、「McAfee Security Advisor」、「Skype」、「Support」、「SUUMO」、「Yahoo!オークション」、「Zinio Reader」、「楽天gateway」など。同社オリジナルは「Lenovo Companion」、「Support」となる。

アプリ画面1
アプリ画面2
Lenovo Companion
Lenovo Support

 デスクトップアプリは、「Microsoft Office Home and Business 2013」、「Lenovo Cloud Storage by SugarSync」、「Absolute Data Protect」、「Baidu IME」、「Dolby Home Theater V4」、「Kingsoft Office」、「Lenovo MediaShow 6」、「Lenovo Smart Update」、「Motion Control、YouCam」、「マカフィー インターネットセキュリティ」など。なぜかOffice系のアプリケーションが2種類入っている。

Lenovo MediaShow 6
Lenovo Smart Update
Motion Control

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題はない)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.4。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2759 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 38069、FPU 36242、MEM 24877、HDD 10659、GDI 12890、D2D 1781、OGL 5423。

 Core i5-3337U搭載PCとしては標準的なところ。メモリが遅いのはシングルチャンネル動作だからと思われる。またHDDのスコアがあまり伸びていないものの、SDDキャッシュが有効なシーンでは体感速度が向上する。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で22,151秒/6.2時間。仕様上の5.3時間を1時間近く超えた。6時間動けばそれなりに屋外でも使用可能だ。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)。総合 4.4。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 7。2759 PCMarks
BBench。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で22,151秒/6.2時間
CrystalMark。ALU 38069、FPU 36242、MEM 24877、HDD 10659、GDI 12890、D2D 1781、OGL 5423

 以上のようにレノボ「IdeaPad U310 Touch」は、Core i5を搭載、10点タッチ対応13.3型液晶パネルを採用したUltrabookだ。SSDがキャッシュになっているため、有効なシーンでは、ベンチマークテストの結果以上に体感速度は速く快適に操作できる。

 有線LANがGigabit非対応なのは残念だが、他の部分で特に弱点もなく、オールマイティで使いやすいUltrabookに仕上がっている。低価格でタッチ対応のWindows 8搭載Ultrabookを探しているユーザーの候補になりえる1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/