西川和久の不定期コラム
日本HP「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook」
~IntelかAMD、どちらがお好き!?
(2013/5/2 00:00)
3月25日、日本HPはタッチ対応の15.6型ノートPCを発表した。Intelプロセッサ搭載モデル2機種とAMDプロセッサ搭載モデルが用意され、直販か量販店かで内容が異なる。編集部から両機種が送られて来たので、試用しつつ違いなどを中心にご紹介したい。
10点タッチに対応した15.6型エントリーノートPC
この「Sleekbook」は、SSDを搭載していないこともあり(AMDモデルはプロセッサも違う)、Ultrabookと呼んでいないが、筐体自体はUltrabookに近いノートPCだ。
同社の直販サイトであるHP Directplusでは、Intelプロセッサ搭載モデルを2機種、量販店ではAMDプロセッサ搭載モデルを1機種用意し、それぞれ「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b134TU」、「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b133TX」、「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b102AU」として販売している。
今回編集部から届いたのは、後者2機種。驚いたことに見た目は全く同じ。そこで、Intelプロセッサ搭載モデル「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b133TX」を中心にして、違う部分だけ追記したい。主な仕様は以下の通り。
【表】HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b133TXの仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-3337U(2コア/4スレッド、1.8GHz/Turbo Boost 2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W) |
メモリ | 8GB |
チップセット | Intel HM77 Express |
HDD | 750GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット、10点タッチ対応、HDMI出力 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000 + GeForce GT 630M(2GB、NVIDIA Optimus対応) |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×1、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、スピーカー、音声入出力 |
サイズ/重量 | 386×259×26.5mm(幅×奥行き×高さ)/約2.5kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約5時間 |
直販(HP Directplus)価格 | 79,800円 |
【表】HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b102AUの仕様 | |
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プロセッサ | AMD A8-4555M(4コア/4スレッド、1.6GHz/Turbo CORE 2.4GHz、キャッシュ2MB×2、TDP 19W) |
メモリ | 8GB |
チップセット | AMD A70M |
HDD | 500GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット、10点タッチ対応、HDMI出力 |
グラフィックス | Radeon HD 7600G |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×1、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、スピーカー、音声入出力 |
サイズ/重量 | 386×259×26.5mm(同)/約2.5kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約5.5時間 |
店頭予想価格 | 78,000円前後 |
プロセッサはCore i5-3337U。2コア4スレッドでクロックは1.8GHz。TurboBoost時2.7GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは17W。チップセットは発表時不明だったが、デバイスマネージャで調べたところIntel HM77 Expressだった。メモリ8GBを搭載し、OSは64bit版Windows 8。ストレージは750GBのHDDのみで光学ドライブはない。
ディスプレイは、光沢タイプの15.6型。10点タッチ対応で解像度は1,366×768ドット。グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4000とNVIDIA GeForce GT 630M(2GB)。Optimusテクノロジに対応し、必要に応じて切り替わる。外部出力用としてHDMIを装備する。
ネットワークは、有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。有線LANがGigabit Ethernet非対応なのは残念なところ。Bluetooth 4.0も搭載している。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、スピーカー、音声入出力と一通り揃っている。スピーカーはAltec Lansingのロゴ付きだ。
サイズは386×259×26.5mm(同)、重量約2.5kg。バッテリ駆動時間は最大約5時間。HP Directplusで扱われ、直販価格は79,800円となる。
下位モデルの「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook 15-b134TU」は、CPUにCore i3-2375M(1.5GHz)、メモリ4GB、HDD 500GBで59,850円。
一方、量販店モデルはプロセッサにAMD A8-4555Mを搭載。4コアでクロックは定格1.6GHz、Turbo CORE時2.4GHzとなる。キャッシュは2MB×2。TDPは19Wだ。チップセットはAMD A70M。メモリを8GB搭載。ストレージは500GBのHDDで、先のモデルより250GB減っている。グラフィックスはプロセッサ内蔵のRadeon HD 7600G。
バッテリ駆動時間は若干延び最大5.5時間。店頭予想価格は78,000円前後。そのほかのサイズ、重量、OS、ディスプレイ、インターフェイスなどは全てIntelプロセッサ搭載モデルと共通となる。
トップカバーはHPのロゴのみとシンプル。筐体も含め少しブラウンがかった光沢のあるブラックで覆われ、質感は結構良い。Intelプロセッサ搭載モデルもAMDプロセッサ搭載モデルもACアダプタまで含め全く同じ。右下にあるシールがないと見分けが付かない。長年いろいろなノートPCを触っているが、ここまで同じなのは珍しい。
左サイドはセキュリティロックポート、USB 2.0×1、音声入出力。右サイドは電源入力、Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×2、SDカードスロット、ステータスLED。裏は一枚の大きなパネルで覆われ、メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはない。
ACアダプタは、サイズ約105×45×30mm(同)。重量231g。コネクタはミッキータイプとなる。どちらのモデルもTDPが低いので筐体のわりには小型だ。
10点タッチ対応の15.6型の液晶パネルは、面積が広いこともあり、タッチ操作が快適に行なえ、Windows 8もスムーズに扱える。明るさや発色に関してはクラス相応。視野角に関してはIPSパネルではないためあまり広くない。コントラストも浅目の印象。また解像度が1,366×768ドットと言うこともあり荒い感じも受ける。
キーボードはアイソレーションタイプの10キー付き。主要なキーはキーピッチ19mmを確保できているものの、矢印キーや[Back Space]キー、[DEL]キーなど一部狭くなっているのが気になるところ。キータッチは比較的軽くストロークは短めだ。中央を強く押すと全体がたわむが、許容範囲に収まっている。
パームレストやタッチパッドに関しては、15.6型なので面積を十分確保され快適に操作可能だ。ボタンは物理的に2つあるタイプで、少し硬めだがクリック感がある。
発熱や振動、ノイズに関しては、試用した範囲では全く気にならなかった。また同社の技術である「HP CoolSence」が常駐し、常に温度を監視しているので、そう言った面からも安心だ。
サウンドは、最大出力が十分あり、キーボード上のメッシュの部分にスピーカーが埋め込まれていることもあり抜けが良い。音質に拘らなければそれなりに楽しめる。
IntelプロセッサとAMDプロセッサで意外に性能が異なる
OSは64bit版Windows 8。メモリを8GB搭載しているので動きに余裕がある。両モデルともスタート画面、起動時のデスクトップの構成は全く同じ。スタート画面には12個のタイル、デスクトップには、「Norton Internet Security」へのショートカットと、タスクバーにいくつか追加されている。
HDDはどちらもHGST製だが、容量が異なるためモデルが違う。Intelプロセッサ搭載モデルは5,400rpm/キャッシュ8MB/750GBの「HTS547575A9E384」、AMDプロセッサ搭載モデルは5,400rpm/キャッシュ8MB/500GBの「HTS545050A7E380」となる。実質C:ドライブのみの1パーティションで、それぞれ約681GB/空き648GB、約449GB/空き420GBが割り当てられている。
Wi-FiとBluetoothモジュールは、Intel製とRalink製。EthernetはどちらもRealtek製だ。そのほか、Intel WiUSBの有無などが違いとなる。
プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「HP Connected Photo」、「HPに登録」、「HP+」、「Kindle」、「Norton Studio、Skype」、「Windows 8入門」。主に同社のサポートツール系と一般的なアプリケーションだ。
デスクトップアプリケーションは、「HP AC Power Control」、「HP Documentation」、「HP Support Assistant」、「HP Utility Center」、「HP Connected Control Remote」、「Norton Internet Security」、「CyberLink Media Suite」など。プロセッサの違いによりIntel系のツールの有無は異なる。
HP Connected Control Remoteは、iOSやAndroidを搭載したスマートフォンやタブレットで、PC上のメディアをリモートで参照/検索/再生できるアプリケーションだ。端末側のアプリはiTunes Store、Google Play Storeで公開されている。iTunes、Windows Media Player、Windows Media Center、PowerDVDなどのコントロールも可能。同社のWindows 8搭載機にプリインストールされている。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題はない)。各結果は左がIntel、右がAMDプロセッサ搭載モデルとなっている。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.8:5.9。プロセッサ 6.9:6.3、メモリ 7.4:7.1、グラフィックス 5.8:5.9、ゲーム用グラフィックス 6.4:6.6、プライマリハードディスク 5.9:5.9。項目によって少し善し悪しがあるものの、ほぼ同じ結果となった。
PCMark 7(PCMarks)は2508:1752。CrystalMarkは、ALU 39142:23523、FPU 37074:18787、MEM 41862:18045、HDD 7752:9722、GDI 13971:6096、D2D 8943:2406、OGL 25262:9721。この2つのベンチマークテストに関しては大きく差があり、多くの項目でIntelプロセッサ搭載モデルの圧勝となっている。また実際使った感じもこちらの感覚に近い。CrystalMarkを複数回実行したが結果は変わらなかった。
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残9%で15,079秒/4.2時間:15,888秒/4.4時間。普段の残5%ならもう少し伸びそうだが、いずれにしても4時間以上作動した。AMDプロセッサ搭載モデルが若干長めに動いている。
以上のように「HP Pavilion TouchSmart Sleekbook」は、IntelプロセッサもしくはAMDプロセッサを搭載した10点タッチ対応15.6型ノートPCだ。どちらも全く同じ筐体で瓜二つ。価格もIntel上位モデルとAMDモデルはほぼ同じ。メモリを標準で8GB搭載しているのもポイントが高い。液晶ディスプレイの解像度が1,366×768ドット止まり、Gigabit Ethernet非対応など惜しい部分もあるが、全体的には無難にまとまっている。
ただベンチマークテストの結果はかなり差があり、Intelモデルの圧勝。AMDモデルは若干バッテリ駆動時間が長い程度で、性能的には差を埋めれるだけの能力を持っていない。ストレージ容量が少ないこともあり、この価格差なら筆者的にはIntelプロセッサ搭載モデルをお勧めしたい。