西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Erdes Book ST1」

~キーボードスライド式のコンバーチブルUltrabook

 3月21日ドスパラは、10点タッチ対応11.6型IPSパネルを搭載したキーボードスライド式のコンバーチブルなUltrabook「Erdes Book ST1」を発表、同日から出荷開始した。解像度はフルHD、プロセッサにCore i5、インタフェイスは全部入りで約1kgと、魅力的な1台だ。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

液晶パネルがスライドしてタブレットからノートPCへ変身

 ドスパラのサイトを見ると、Ultrabookで解像度がフルHD、そしてコンバーチブルと言うのは、このErdes Book ST1が初のモデルだ。スペックも冒頭に書いた通り、全部入り。重量も約1kgで持ち運びやすい高性能なコンバーチブルUltrabookに仕上がっている。主な仕様は以下の通り。

【表】ドスパラ「Erdes Book ST1」の仕様
プロセッサCore i5-3337U(2コア/4スレッド、1.8GHz
/Turbo Boost:2.7GHz、
キャッシュ3MB、TDP 17W)
メモリ4GB(スロット1/空き0)
チップセットIntel HM77 Express
SSD128GB
OSWindows 8(64bit)
ディスプレイ11.6型IPS式液晶ディスプレイ(光沢)、
1,920×1,080ドット、
10点タッチ対応、Mini HDMI
グラフィックスIntel HD Graphics 4000
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、
Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×2、HD Webカメラ、
マルチカードリーダ、音声入出力
サイズ/重量302.6×196.1×19.2mm(幅×奥行き×高さ)/1.16kg
バッテリ駆動時間最大約8時間
価格129,980円(標準構成時)

 プロセッサはCore i5-3337U。2コア4スレッドでクロックは1.8GHz。Turbo Boost時2.9GHzまで上昇する。キャッシュは3MBでTDPは17W。チップセットはIntel HM77 Express。メモリは4GB。カスタマイズで8GBも選択可能だ。ストレージは128GBのSSDを搭載。OSは64bit版のWindows 8。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。外部出力としてMini HDMIを装備する。液晶パネルは、11.6型10点タッチ対応IPS式の光沢タイプを採用し、解像度もフルHD(1,920×1,080ドット)と魅力的だ。

 ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0も対応している。タブレットタイプは有線LAN非搭載機が多いが、本機は搭載している上にGigabit Ethernetなのはポイントが高いと言えるだろう。

 そのほかのインターフェイスはUSB 3.0×2、HD Webカメラ、マルチカードリーダ、音声出力。ほとんどのコネクタは標準サイズで使いやすい。

 サイズは302.6×196.1×19.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.16kg。バッテリ駆動は最大約8時間。標準構成時での価格は129,980円となる。

タブレットスタイル。中央下にWindowsボタン、上にHD Webカメラ
背面パネル1枚で覆われ。ストレージやメモリへアクセスできるパネルはない
上部。マルチカードリーダ、音量調整ボタン、回転ロックボタン
底面にボタンやコネクタ類はない
左側面。Gigabit Ethernet。コンバーチブルな分、少し厚みがある
右側面は電源入力、USB 3.0、音声出力、USB 3.0、Mini HDMI、電源ボタンと賑やか
重量は実測で1,199g
ACアダプタなど。コネクタはミッキータイプ。サイズ83×33×23mm(同)、重量144g

 タブレットスタイル時は、高さが19.2mmと、同クラスと比較した場合、若干厚めになるものの、コンバーチブルと考えると仕方ないところか。約1kgの重量だが、持った時意外とズッシリ重く感じる。

 筐体は、液晶パネル周辺が光沢ありのブラック、下側はシルバーと2色にまとめられている。フチの部分は、通常のフチに加えて、外側に斜めのフチと二重になっている分、太めの印象を受ける。またWindowsボタンは中央になく、少し右側に寄っているのは、コンバーチブルにするための構造的な制約からだろうか。

 10点タッチ対応の11.6型IPS式液晶パネルは、解像度がフルHDとサイズのわりに高精細、視野角は広く、発色は自然で明るさコントラストも良好と、クオリティはクラス以上だ。

 上側面にマルチカードリーダ、音量調整ボタン、回転ロックボタン。左側面にGigabit Ethernet。右側面に電源入力、USB 3.0、音声出力、USB 3.0、Mini HDMI、電源ボタンを配置。裏側は大きい1枚のパネルで覆われ、メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはない。またバッテリは内蔵で交換はできない。

 ACアダプタは、サイズ83×33×23mm(同)、重量144g。コネクタはミッキータイプだ。TDP 17Wのプロセッサを使っていることもあり、コンパクトで持ち運びは苦にならない。

ノートPCスタイル
一般的なノートPCの液晶パネルは本体の後ろにヒンジがあるが、本機は構造上、中央辺りにある
パネルの角度はこれが最大
キーボードはアイソレーションタイプ。ポインティングデバイスに相当するものはない
右側面。この状態まで液晶パネルを引っ張り、角度を付けてノートPCスタイルとなる
キーピッチは実測で約18mm

 タブレットスタイルからノートPCスタイルへの変形は、動画を掲載したので参考にして欲しい。液晶パネルを後ろへ引っ張り、キーボードが全て出た状態で、パネルの角度を付けて見やすい位置に調整する。パネルの角度が固定ではなく、約90度の範囲で自由に調整可能なのはポイントが高い。

 正直タブレットタイプの時は少し厚めの筐体でやや不格好に見えたが、ノートPCタイプは洒落た雰囲気で質感も良く、なかなかクールに仕上がっている。

 キーボードはアイソレーションタイプだ。主要キーのキーピッチは約18mm。一部キーピッチが狭くなっている部分もあるが、配列がうまくまとまっていて入力しやすい。ストロークは浅めだが、個人的には気にならないレベルだ。ただし、パームレストとポインティングデバイスはなく、この部分は好みの分かれるところだろう。

 ノイズや振動、発熱に関しては試用した範囲では十分許容範囲内に収まっている。サウンドは、THX TruStudio Proを搭載し、パワーも十分。音楽も動画も楽しめる。

【動画】タブレットからノートPCへ

バランスの良いフルHD機

 OSは64bit版Windows 8。カスタマイズでWindows 8 Proにも変更可能だ。スタート画面が通常と全く異なるため、もしかすると試用機は工場出荷時とは違う可能性がある。デスクトップは、左側に若干のショートカットと、ほぼ素のWindows 8に近い。

 SSDは「SanDisk SSD U100 128GB」を搭載し、C:ドライブのみの1パーティションで約108.5GB割り当てられ、空き86.2GBとなっている。BluetoothとWi-FiモジュールはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製だ。

スタート画面1。届いた時にこの状態だったが、初期起動時の設定かどうかは不明
起動時のデスクトップ。左側に若干のショートカットがある以外はWindows 8標準
SSDは「SanDisk SSD U100 128GB」、BluetoothとWi-FiモジュールはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
SSDはC:ドライブのみの1パーティションで約108.5GB割り当てられている

 プリインストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリはなし。デスクトップアプリは、「McAfee Anti-Theft(Setup)」、「マカフィー インターネットセキュリティ」、「SCM」、「THX TruStudio Pro」、Intel系のツールとなる。

 SCM(System Control Manager)は本機固有のデスクトップアプリ。画面キャプチャからも分かるように、全画面表示で、Wi-Fi/Bluetooth/Keyboard Lock/Webcam/明るさ/音量/ECO/Displayオフなどの設定ができるユーティリティだ。

アプリ画面1
アプリ画面2
SCM(System Control Manager)

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題はない)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 7.6。PCMark 7は4148 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 39423、FPU 37276、MEM 27472、HDD 25018、GDI 12312、D2D 1674、OGL 5385。

 同社の11.6型Ultrabook、「Arumas T-11」と同じプロセッサだが、解像度が高い分、グラフィックスに負荷がかかるのか、若干スコアが下がっているものの、通常使用であれば問題ない。

 BBenchは省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で23,859秒/6.6時間。仕様上の最大約8時間にはとどかなかったものの、まずまずの値だ。起動/スタンバイ・復帰も速く、非Intel系のタブレットのような使い方だとそれなりに持ちそうな雰囲気だ。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)は総合 4.7。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 7.6
PCMark 7は4148 PCMarks
BBench。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で23,859秒/6.6時間
CrystalMark。ALU 39423、FPU 37276、MEM 27472、HDD 25018、GDI 12312、D2D 1674、OGL 5385

 以上にようにドスパラ「Erdes Book ST1」は、10点タッチ対応の11.6型フルHD解像度の液晶パネルを搭載し、タブレットにもノートPCにもなるコンバーチブルなUltrabookだ。IPS式なので視野角も広く、Core i5とSSDでパフォーマンスも十分。Gigabit Ethernetも含め全部入りのインターフェイスと使い勝手は非常に良い。加えてパネルの角度を自由に設定できるのも魅力的だ。

 従来のタッチパッドのようなポインティングデバイスやパームレストに相当する部分がないのは、ノートPCスタイルで使う時にややネックになるかもしれないが、主にタブレットスタイルで利用し、軽量で高性能なコンバーチブルUltrabookを探しているユーザーにお勧めできる1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/