西川和久の不定期コラム
久々のフリップ型2in1は牛革まとった凄いヤツで欲しいと思った。「One-Netbook OneMix5」
2023年12月15日 06:17
One-Netbookとテックワンは6月29日、10.1型液晶搭載UMPC「OneMix5」を発表した。当初、夏に発売予定となっていたが遅れているようだ。12月に入り準備が整ったのか試作機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
実質7世代目に相当するOneMix5
初代「OneMix」は2018年、その後2~4を2018年から2021年にかけて投入。これだと5世代目になるが、間に少し違った「OneGx」と「A1」が含まれるため、そういう意味からが7世代目に相当する。
直系の1~4は、ヒンジが360度回転する2in1。ただしパネルが360度傾くだけなので、タブレット時、キーボード面は外側に向く。ほかの2in1も割とそうなので気にしていなかったものの、今回のOneMix5はパネル下と中央の2ヒンジとなり、折ってキーボード面が内側になり、見た目などスッキリするのが最大の特徴となる。
もちろんプロセッサなどは今どきのものへ変更。メモリ/ストレージ容量も十分確保されている。主な仕様は以下の通り。
【表】One-Netbook「OneMix5」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-1250U(P/2コア+E/8コア、12スレッド/クロック最大3.5GHz/キャッシュ 12MB/TDP 9W、最大29W) |
メモリ | 32GB/LPDDR5-5200(最大32GB) |
ストレージ | 1TB M.2 2288 SSD(PCIe4.0 x4/NVMe/最大2TB) |
OS | Windows 11 Home / 22H2 |
ディスプレイ | 10.1型LTPS式2,560×1,600ドット(光沢あり)、sRGB 108%、タッチ/Surfaceペン入力対応(4096筆圧) |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics(96 units)/Type-C |
ネットワーク | Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB4、USB 3.2 Type-C、音声入出力、キーボードバックライト、microSDカード、harman認証のステレオスピーカー、指紋センサー(電源ボタン兼) |
サイズ/重量 | 232×167×15mm、重量979g |
バッテリ/駆動時間 | 11,000mAh/最大5.5時間(65W急速充電対応) |
プロセッサは第12世代のCore i7-1250U。P/2コア+E/8コア、12スレッド。クロック最大3.5GHz。キャッシュ 12MB/TDP 9W、最大29Wとなる。
メモリはLPDDR5-5200の32GB。ストレージはPCIe4.0 x4/NVMe接続で1TBと2TBを用意。OSはWindows 11 Home。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価している。
ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスはUSB4とUSB 3.2 Type-C、音声入出力、キーボードバックライト、microSDカード、harman認証のステレオスピーカー、指紋センサー(電源ボタン兼)。
ディスプレイは光沢ありの10.1型LTPS式2,560×1,600ドット(299ppi)、sRGB 108%、タッチ/Surfaceペン入力対応(4,096筆圧)。冒頭で書いた通り、パネルの下と裏中央の2ヒンジ式で、タブレットモード、スタンドモードに変形可能で前者はキーボードが裏に見えず、後者は接地面がキーボードにならない。
サイズ232×167×15mm、重量979g。65W急速充電対応の11,000mAhバッテリを内蔵し、駆動時間は最大5.5時間。
執筆時、価格は不明。試用記は以降を読んで頂きたいが、かなり魅力的な2in1で、価格次第では(珍しく)個人的にも欲しい1台だ。
天板と底面は最高級の牛革、そして筐体はソリッドなCNCメタリックと質感はかなり良い。個人的に皮を使った外装は好みから外れているのだが、本機はなかなかいい感じで違和感もない。重量は実測985gと1kgを切り、軽々どこへでも持ち運び可能だ。
左側面にUSB4、3.5mmジャック、microSDカードスロット、スリットにスピーカーL。右側面にUSB 3.2 Type-C、指紋センサー兼電源ボタンスリットにスピーカーRを配置。パネルの傾きは写真の状態が最大となる。USB4は映像出力対応。充電はどちらのUSB Type-CでもOKだ。
付属品はACアダプタ(サイズ約50×50×25mm、重量102g、出力65W)と、USB Type-Cケーブル。なおACアダプタはGaNを採用し小型化、プラグの部分は折り畳めようになっている。出力65Wで急速充電対応。
10.1型LTPS式ディスプレイは、光沢ありで解像度2,560×1,600ドット。このサイズでこの解像度、デフォルトでは拡大/縮小が200%だがそれでも文字は小さい。好みに応じて調整する必要があるだろう。なおWebカメラは搭載していない。ビデオ会議などで困るため、画質はともかく、何か欲しかったところか。
パネル自体は、明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。タッチも問題ない。ペンは同梱されていないため必要に応じて用意する。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度375cd/平方m。最大から-6が161cd/平方m、-7が121cd/平方m。従って後者で計測。黒色輝度は0.146cd/平方m。リニアリティは結構いいのだが、赤だけ補正量が多い=緑被りしている。
キーボードは手元に届いた実機はUS配列。アナウンスによると国内では日本語配列とのこと。US配列で使っている分には、キーピッチ約18mm、打鍵感も深めだが良く、数字関連だけファンクションキーと同じサイズになるものの、ほかに破綻している部分もなく非常に使いやすい。これが日本語配列になるとどうなるかは気になる部分だ。
パームレストやタッチパッドも狭いとは言え、それなりに確保されており、10.1型と考えると良好。また、2ヒンジ式により、タブレットモード時にキーボード面が表に出ないのも、説明を見ただけだと「ふーん」程度だったが、実際見るとやはりキーボード面は見えない方が美しい。スタンドモード時はタッチバッドが使えるので、パネルを指紋で汚さずに済む。いずれも良いことばかりだ。
ノイズや発熱は、ベンチマークテストなど負荷を掛けると、主に裏左側が結構熱を持ち、耳を近づけるとファンの音がする。とは言え気になるほどでもない。
ちょっと驚いたのがサウンド。今年(2023年)は何機種も扱っていないが、その中ではピカイチ。パワーもかなりあり、左右側面にスピーカーがあるため音の抜けも良い。音楽も動画も本機1台で十分楽しめる。
以上のように欠点らしい欠点はなく、後述するパフォーマンスも十分で「お!」な部分が多い。ここ数年、視力的に小さいのは厳しく、このクラスは敬遠していたが、本機は真面目に欲しいと思ってしまった(笑)。
10.1型2in1としてはハイパフォーマンス!
初期起動時、特に本機固有のものはインストールされておらず、Windows 11素のまま。10型クラスの2in1は一般的にミドル/ローエンドのプロセッサを搭載しているケースが多く動作がもたつき気味だが、本機はCore i7搭載なのでサクサク動く。
これだけ動けば、室内は外部モニターとキーボード+マウスを接続して使用、外出時に外して本体のみ……という運用もあり。筆者のケースだと画像処理系はもともとmacOSなので別として、事務処理/開発系は十分対応可能だ。欲しくなった理由にこの点も含まれる。
ストレージはSSD 1TBの「ONEXPLAYER Q3」。検索しても情報がなかったものの、CrystalDiskMarkのシーケンシャルリード6,997.536 MB/s、シーケンシャルライト 6,349.923MB/sと、なかなか高速だ。C:、D:ドライブの2パーティションで、順に436GBと501GBが割り当てられ前者はは空きC:400GB、後者は全て空きとなっている。
Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX201、BluetoothもIntel製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CinebenchR23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。
プロセッサがCore i7-1250Uなので、最近よく扱っているミニPCとあまり差が出ず、パフォーマンスは良好だ。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは6時間37分。仕様上は最大5.5時間なので、それを超えてしまった。テスト内容から考えると、外で普通に使う分には同レベルは持ちそうなので、8時間には届かないがサイズを考えると十分と言ったところか。
【表】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2662 | |
PCMark 10 Score | 4,875 |
Essentials | 9,737 |
App Start-up Score | 13,685 |
Video Conferencing Score | 7,500 |
Web Browsing Score | 8,995 |
Productivity | 6,541 |
Spreadsheets Score | 6,688 |
Writing Score | 6,398 |
Digital Content Creation | 4,937 |
Photo Editing Score | 7,692 |
Rendering and Visualization Score | 2,943 |
Video Editting Score | 5,318 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,952 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 2,879 |
Storage | 5,093 |
3DMark v2.28.8217 | |
Time Spy | 1,267 |
Fire Strike Ultra | 940 |
Fire Strike Extreme | 1,824 |
Fire Strike | 3,537 |
Sky Diver | 11,211 |
Cloud Gate | 15,842 |
Ice Storm Extreme | 85,285 |
Ice Storm | 103,965 |
Cinebench R23 | |
CPU | 5,148 pts(9位) |
CPU(Single Core) | 1,478 pts(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 6997.536 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 6349.923 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 2269.393 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1496.286 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 820.140 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 530.279 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 78.282 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 321.401 MB/s |
以上のようにOne-Netbook「OneMix5」は、10.1型で2ヒンジ式を採用した2in1だ。Core i7-1250U/32GB/1TBで通常業務なら楽々こなせる構成。しかも牛革+CNCメタリックな質感で所有欲を満たす。パネルやサウンド、バックライト付きキーボード、そしてバッテリ駆動時間も良好と死角がない。あえてあげればWebカメラ非搭載が残念なところか。
執筆時国内価格が不明なのだが、このクラスで久々に欲しいと思った1台だ。記事を読んで「お!」っと思った方は、ぜひ検討して頂きたい。