西川和久の不定期コラム

久々のフリップ型2in1は牛革まとった凄いヤツで欲しいと思った。「One-Netbook OneMix5」

OneMix5

 One-Netbookとテックワンは6月29日、10.1型液晶搭載UMPC「OneMix5」を発表した。当初、夏に発売予定となっていたが遅れているようだ。12月に入り準備が整ったのか試作機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

実質7世代目に相当するOneMix5

 初代「OneMix」は2018年、その後2~4を2018年から2021年にかけて投入。これだと5世代目になるが、間に少し違った「OneGx」と「A1」が含まれるため、そういう意味からが7世代目に相当する。

 直系の1~4は、ヒンジが360度回転する2in1。ただしパネルが360度傾くだけなので、タブレット時、キーボード面は外側に向く。ほかの2in1も割とそうなので気にしていなかったものの、今回のOneMix5はパネル下と中央の2ヒンジとなり、折ってキーボード面が内側になり、見た目などスッキリするのが最大の特徴となる。

 もちろんプロセッサなどは今どきのものへ変更。メモリ/ストレージ容量も十分確保されている。主な仕様は以下の通り。

【表】One-Netbook「OneMix5」の仕様
プロセッサCore i7-1250U(P/2コア+E/8コア、12スレッド/クロック最大3.5GHz/キャッシュ 12MB/TDP 9W、最大29W)
メモリ32GB/LPDDR5-5200(最大32GB)
ストレージ1TB M.2 2288 SSD(PCIe4.0 x4/NVMe/最大2TB)
OSWindows 11 Home / 22H2
ディスプレイ10.1型LTPS式2,560×1,600ドット(光沢あり)、sRGB 108%、タッチ/Surfaceペン入力対応(4096筆圧)
グラフィックスIntel Iris Xe Graphics(96 units)/Type-C
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB4、USB 3.2 Type-C、音声入出力、キーボードバックライト、microSDカード、harman認証のステレオスピーカー、指紋センサー(電源ボタン兼)
サイズ/重量232×167×15mm、重量979g
バッテリ/駆動時間11,000mAh/最大5.5時間(65W急速充電対応)

 プロセッサは第12世代のCore i7-1250U。P/2コア+E/8コア、12スレッド。クロック最大3.5GHz。キャッシュ 12MB/TDP 9W、最大29Wとなる。

 メモリはLPDDR5-5200の32GB。ストレージはPCIe4.0 x4/NVMe接続で1TBと2TBを用意。OSはWindows 11 Home。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価している。

 ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスはUSB4とUSB 3.2 Type-C、音声入出力、キーボードバックライト、microSDカード、harman認証のステレオスピーカー、指紋センサー(電源ボタン兼)。

 ディスプレイは光沢ありの10.1型LTPS式2,560×1,600ドット(299ppi)、sRGB 108%、タッチ/Surfaceペン入力対応(4,096筆圧)。冒頭で書いた通り、パネルの下と裏中央の2ヒンジ式で、タブレットモード、スタンドモードに変形可能で前者はキーボードが裏に見えず、後者は接地面がキーボードにならない。

 サイズ232×167×15mm、重量979g。65W急速充電対応の11,000mAhバッテリを内蔵し、駆動時間は最大5.5時間。

 執筆時、価格は不明。試用記は以降を読んで頂きたいが、かなり魅力的な2in1で、価格次第では(珍しく)個人的にも欲しい1台だ。

前面。縁はそれなりにある。Webカメラ非搭載
斜め後ろから。牛革で覆われており、本体のCNCメタリックな質感と合わせてなかなか良い
左側面。USB4、3.5mmジャック、microSDカードスロット、スリットにスピーカーL。パネルの傾きはこれが最大
右側面。USB 3.2、指紋センサー兼電源ボタン、スリットにスピーカーR
キーボード。届いたのはUS配列だが、国内では日本語キーボードとなる
キーピッチは実測で約18mm。このクラスとしては十分確保されている
横から。USB Type-Cの高さ+α程度なので結構薄い
裏。こちらも牛革で覆われている
タブレットモード。2ヒンジ構造でキーボード面が見えない
テントモード。ヒンジ2つ目は、パネルの後ろ中央から折り曲がっているいるのが分かる
重量は実測で985g
付属品。ACアダプタ(サイズ約50×50×25mm、重量102g、出力65W、プラグの部分は折り畳める。GaNを採用し小型)と、USB Type-Cケーブル
キーボードバックライトはオン/オフの2段階

 天板と底面は最高級の牛革、そして筐体はソリッドなCNCメタリックと質感はかなり良い。個人的に皮を使った外装は好みから外れているのだが、本機はなかなかいい感じで違和感もない。重量は実測985gと1kgを切り、軽々どこへでも持ち運び可能だ。

 左側面にUSB4、3.5mmジャック、microSDカードスロット、スリットにスピーカーL。右側面にUSB 3.2 Type-C、指紋センサー兼電源ボタンスリットにスピーカーRを配置。パネルの傾きは写真の状態が最大となる。USB4は映像出力対応。充電はどちらのUSB Type-CでもOKだ。

 付属品はACアダプタ(サイズ約50×50×25mm、重量102g、出力65W)と、USB Type-Cケーブル。なおACアダプタはGaNを採用し小型化、プラグの部分は折り畳めようになっている。出力65Wで急速充電対応。

 10.1型LTPS式ディスプレイは、光沢ありで解像度2,560×1,600ドット。このサイズでこの解像度、デフォルトでは拡大/縮小が200%だがそれでも文字は小さい。好みに応じて調整する必要があるだろう。なおWebカメラは搭載していない。ビデオ会議などで困るため、画質はともかく、何か欲しかったところか。

 パネル自体は、明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。タッチも問題ない。ペンは同梱されていないため必要に応じて用意する。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度375cd/平方m。最大から-6が161cd/平方m、-7が121cd/平方m。従って後者で計測。黒色輝度は0.146cd/平方m。リニアリティは結構いいのだが、赤だけ補正量が多い=緑被りしている。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードは手元に届いた実機はUS配列。アナウンスによると国内では日本語配列とのこと。US配列で使っている分には、キーピッチ約18mm、打鍵感も深めだが良く、数字関連だけファンクションキーと同じサイズになるものの、ほかに破綻している部分もなく非常に使いやすい。これが日本語配列になるとどうなるかは気になる部分だ。

 パームレストやタッチパッドも狭いとは言え、それなりに確保されており、10.1型と考えると良好。また、2ヒンジ式により、タブレットモード時にキーボード面が表に出ないのも、説明を見ただけだと「ふーん」程度だったが、実際見るとやはりキーボード面は見えない方が美しい。スタンドモード時はタッチバッドが使えるので、パネルを指紋で汚さずに済む。いずれも良いことばかりだ。

 ノイズや発熱は、ベンチマークテストなど負荷を掛けると、主に裏左側が結構熱を持ち、耳を近づけるとファンの音がする。とは言え気になるほどでもない。

 ちょっと驚いたのがサウンド。今年(2023年)は何機種も扱っていないが、その中ではピカイチ。パワーもかなりあり、左右側面にスピーカーがあるため音の抜けも良い。音楽も動画も本機1台で十分楽しめる。

 以上のように欠点らしい欠点はなく、後述するパフォーマンスも十分で「お!」な部分が多い。ここ数年、視力的に小さいのは厳しく、このクラスは敬遠していたが、本機は真面目に欲しいと思ってしまった(笑)。

10.1型2in1としてはハイパフォーマンス!

 初期起動時、特に本機固有のものはインストールされておらず、Windows 11素のまま。10型クラスの2in1は一般的にミドル/ローエンドのプロセッサを搭載しているケースが多く動作がもたつき気味だが、本機はCore i7搭載なのでサクサク動く。

 これだけ動けば、室内は外部モニターとキーボード+マウスを接続して使用、外出時に外して本体のみ……という運用もあり。筆者のケースだと画像処理系はもともとmacOSなので別として、事務処理/開発系は十分対応可能だ。欲しくなった理由にこの点も含まれる。

 ストレージはSSD 1TBの「ONEXPLAYER Q3」。検索しても情報がなかったものの、CrystalDiskMarkのシーケンシャルリード6,997.536 MB/s、シーケンシャルライト 6,349.923MB/sと、なかなか高速だ。C:、D:ドライブの2パーティションで、順に436GBと501GBが割り当てられ前者はは空きC:400GB、後者は全て空きとなっている。

 Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX201、BluetoothもIntel製だ。

起動時のデスクトップ。特にカスタマイズされていない。Windows 11素のまま
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはSSD 1TBの「ONEXPLAYER Q3」。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX201、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:、D:ドライブの2パーティションで、順に436GBと501GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CinebenchR23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。

 プロセッサがCore i7-1250Uなので、最近よく扱っているミニPCとあまり差が出ず、パフォーマンスは良好だ。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは6時間37分。仕様上は最大5.5時間なので、それを超えてしまった。テスト内容から考えると、外で普通に使う分には同レベルは持ちそうなので、8時間には届かないがサイズを考えると十分と言ったところか。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2662
PCMark 10 Score4,875
Essentials9,737
App Start-up Score13,685
Video Conferencing Score7,500
Web Browsing Score8,995
Productivity6,541
Spreadsheets Score6,688
Writing Score6,398
Digital Content Creation4,937
Photo Editing Score7,692
Rendering and Visualization Score2,943
Video Editting Score5,318
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,952
Creative Accelarated 3.0N/A
Work Accelarated 2.02,879
Storage5,093
3DMark v2.28.8217
Time Spy1,267
Fire Strike Ultra940
Fire Strike Extreme1,824
Fire Strike3,537
Sky Diver11,211
Cloud Gate15,842
Ice Storm Extreme85,285
Ice Storm103,965
Cinebench R23
CPU5,148 pts(9位)
CPU(Single Core)1,478 pts(2位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード6997.536 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト6349.923 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード2269.393 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1496.286 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード820.140 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト530.279 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード78.282 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト321.401 MB/s

 以上のようにOne-Netbook「OneMix5」は、10.1型で2ヒンジ式を採用した2in1だ。Core i7-1250U/32GB/1TBで通常業務なら楽々こなせる構成。しかも牛革+CNCメタリックな質感で所有欲を満たす。パネルやサウンド、バックライト付きキーボード、そしてバッテリ駆動時間も良好と死角がない。あえてあげればWebカメラ非搭載が残念なところか。

 執筆時国内価格が不明なのだが、このクラスで久々に欲しいと思った1台だ。記事を読んで「お!」っと思った方は、ぜひ検討して頂きたい。