西川和久の不定期コラム

Core i5-13500Hでインターフェイス多めのミニPC。CHUWI「CoreBox 5th」

 CHUWIは8月31日、CPUにCore i5-13500Hを搭載した「CoreBox 5th」を発表、現在販売中だ。編集部から試作機の実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Core i3-1215UからCore i5-13500Hへパワーアップした5世代目!

 4世代目の「CoreBox 4th」は、約1年前の2022年11月に試作機のレビューが載っているが、今回ご紹介する「CoreBox 5th」と比較すると全面的に後者が勝っている。

 ちなみに上記の記事ではThunderbolt 4搭載とあるが、後日の発表でなくなっている。従ってスペックダウンした部分はなく、プロセッサ以外でパワーアップしたところは、有線LANが2.5GbEへ、HDMIとDisplayPortが2ずつ、USB 3.0が+2の計6つとなるだろうか。主な仕様は以下の通り。

CHUWI「CoreBox 5th」の仕様
プロセッサCore i5-13500H(P4+E8/12コア/16スレッド/クロック最大4.7GHz/キャッシュ18MB/TDP 35~95W(65W)
メモリ16GB×1(DDR5)、SO-DIMM×2(空き1)
ストレージM.2 SSD(Express 4.0 x4対応) 512GB×1
OSWindows 11 Home(22H2)
グラフィックスIntel Iris Xe Graphics(80ユニット)、HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×2
ネットワーク2.5GbE×1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB Type-C、USB 3.0×6、3.5mmジャック
サイズ/重量173×158×73mm、930g
価格7万3,900円(執筆時9,000円オフクーポンがあり実質6万4,900円)

 プロセッサは第13世代Raptor LakeのCore i5-13500H。P4+E8の12コアで16スレッド。クロックは最大4.70Hz。キャッシュ18MB、TDP 35~95W(65W)となる。モバイル用のSKUだが末尾にHが付くのでハイパフォーマンスタイプだ。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics(80ユニット)。外部出力用にHDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×2を備える。もちろん4K4画面同時出力可能。

 メモリはDDR5 SO-DIMMで16GB×1。1つスロットが空いている。最大は現在表記されていないが、おそらく64GBだろう。ストレージはExpress 4.0 x4対応のM.2 SSD 512GB。OSはWindows 11 Homeを搭載。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価した。

 ネットワークは2.5GbE×1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1。そのほかのインターフェイスは、USB Type-C、USB 3.0×6、3.5mmジャック。USB 3.0が6つもあるのは珍しい。

 サイズ重量は173×158×73mm、930g。ミニPCとしては少し大きめだ。

 価格は7万3,900円。執筆時9,000円オフクーポンがあり実質64,900円。「CoreBox 4th」とあまり変わらず一安心と言ったところか。この構成でこの価格であれば安いのではないだろうか。

前面。USB 3.0×2(Type-A)、Type-C、電源ボタン
背面。ロックポート、USB 3.0×4(Type-A)、HDMI×2、DisplayPort×2、3.5mmジャック、電源入力
側面とiPhone 13 Pro。普段比較しているミニPCよりは大きめ
付属品。ACアダプタ(サイズ約144×53×31mm、重量415g、出力19V/6.32A)
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Security
重量。実測で949g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。HDMI/HDMI、Type-A/Type-Cの2本が必要

 筐体はオールブラック。天板のみアルミニウム/マグネシウム合金でほかはポリカーボネート。高級感はないものの、ミニPCなら多くはこんな感じだ。重量は実測で949gと大きい分、少し重めだろうか。

 前面はUSB 3.0×2(Type-A)、Type-C、電源ボタン。背面はロックポート、USB 3.0×4(Type-A)、HDMI×2、DisplayPort×2、3.5mmジャック、電源入力を配置。

 なおType-Cから映像信号が出ていないため、いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続はType-A/Type-CとHDMI/HDMIケーブルの2本が必要になる。BIOS画面は一般的な起動時[DEL]キーで表示する。

 付属のACアダプタは、サイズ約144×53×31mm、重量415g、出力19V/6.32Aと、筐体同様、ミニPCとしては少し大きめとなる。

 内部へのアクセスは掲載した写真の通り、ストレージは上パネル、メモリは下パネルを外す。これだけ大きめの筐体なのにもう1つSSDを搭載できないのは残念なところ。上側のネジは6角なので通常のドライバでは外れない。下側は普通のプラスドライバだ。

 また下側のネジ1本にはシールが貼ってあり、これを剥がすと保証対象外となるため、メモリ増設に関しては自己責任だ。ただ標準の16GB 1枚のシングルチャネルだとパフォーマンスが若干下がるため、できれば2枚の計32GBにしデュアルチャネルにしたいところ。

上カバーを外したところ。ここにM.2 2288がある
下カバーを外したところ。メモリはこちら。1スロット空き

 試用した範囲で発熱は気にならなかったが、高負荷時、結構ファンの音が煩くなる。部屋の中、どこに置いても聞こえるレベルだ。通常用途でベンチマークテスト並みの負荷をかけることはあまりないので、実用的には問題ないといったところか。本機唯一気になった部分だ。

 なお、冷却は、CPUクーラーは純銅製のニッケルメッキを施したヒートパイプを4本、55枚のアルミニウムフィン、3,400rpm油圧ベアリングファンを組み合わせている。音はともかく、あまり熱を持たないのはこの辺りの構造からと思われる。

CPUはハイパフォーマンスだがiGPUがRyzenと比較して劣る

 初期起動時、特に壁紙などのカスタマイズはなく、Windows 11標準のまま。Core i5-13500H、16GB、SSDなので、何のストレスもなく普通に扱える。カテゴリ的にはミニPCだが、もう一般的な用途であればこれで十分な感じだ。

 ストレージはExpress 4.0 x4対応のM.2 SSD 512GB「FORESEE XP1000F512G」。仕様によると、M.2 2288(2230もある)、シーケンシャルリード3,400MB/s、シーケンシャルライト2,980MB/s(2230は3,000MB/s)。CrystalDiskMarkの結果もライトが気持ち落ちているもののほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられ空き447GB。

 2.5GbEは「Intel Ethernet Controller I225-V」、Wi-Fiは「Intel Wi-Fi 6 AX201」、BluetoothもIntelとAll Intelだ。これならWindows以外のOSでも安心して使うことができそうだ。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはM.2 SSD 512GB「FORESEE XP1000F512G」。2.5GbEは「Intel Ethernet Controller I225-V」、Wi-Fiは「Intel Wi-Fi 6 AX201」、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CinebenchR23、CrystalDiskMarkを使用した。

 概ね良好なのだが、ここのところご紹介したMobile用のRyzenと比較するとiGPUの性能が低く、3DMarkのスコアがいま一歩伸びない。ほかのテストでもiGPUが関係するものは低めだ。ここを考慮した上でマシンを購入/使用することになるだろうか。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2636
PCMark 10 Score5,724
Essentials10,947
App Start-up Score16,191
Video Conferencing Score7,955
Web Browsing Score10,188
Productivity6,871
Spreadsheets Score7,055
Writing Score6,693
Digital Content Creation6,767
Photo Editing Score9,854
Rendering and Visualization Score4,637
Video Editting Score6,783
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.05,001
Creative Accelarated 3.0N/A
Work Accelarated 2.03,244
Storage4,923
3DMark v2.27.8177
Time Spy1,643
Fire Strike Ultra1,078
Fire Strike Extreme2,059
Fire Strike4,431
Sky Diver15,608
Cloud Gate25,426
Ice Storm Extreme100,745
Ice Storm128,476
Cinebench R23
CPU13,732(4位)
CPU(Single Core)1,710(1位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード3,411.214 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2,418.549 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード972.960 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1,103.877 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード873.704 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト569.289 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード67.114 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト210.107 MB/s

 以上のようにCHUWI「CoreBox 5th」は、Core i5-13500H、16GB、512GBを搭載したミニPCだ。USB 3が6つあったり、HDMI/DisplayPortで計4出力など、少し筐体が大きい分、インターフェイス多めが印象的クーポンで実質6万4,900円は、性能を考えると結構安い。

 気になる点があるとすれば、iGPUが弱めなのと、高負荷時にファンが結構煩いこと。この辺りは使い方によると言ったところ。

 第13世代Core i5搭載のミニPCを探しているユーザーに、検討してほしい1台だ。