西川和久の不定期コラム

GeForce RTX 2070 Max-Q搭載の薄型15.6型4Kゲーミングノート「ROG Zephyrus M15 GU502」

 ASUSは9月4日、第10世代Core i7とGeForce RTX 2070 with Max-Q Designを搭載し、薄型軽量の15.6型ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus M15 GU502」を発表した。少し早いタイミングで量産試作機を試す機会に恵まれたので試用レポートをお届けしたい。

CPU/dGPUはROG Zephyrus S15の弟分だがパネルは4K!

 現在同社のROG Zephyrusシリーズは、薄型軽量の17型「ROG Zephyrus S17」と15.6型「ROG Zephyrus S15」、パネルを2つ搭載し独特の雰囲気がある「ROG Zephyrus Duo 15」の3モデルを用意している。すべて第10世代Comet Lake搭載機だ。

 そして今回ご紹介する「ROG Zephyrus M15 GU502」は、モデル名からもわかるように、「ROG Zephyrus S15」(Core i7-10875H/32GB/SSD 1TB/GeForce RTX 2070 SUPER)と同系列ながら、Core i7-10750H/16GB/SSD 1TB(RAID0)/GeForce RTX 2070 with Max-Q Design……と、CPU/dGPUなどのスペックを若干落としつつ、パネルが4Kとなったモデルだ。おもな仕様は以下のとおり。

ASUS「ROG Zephyrus M15 GU502」の仕様
プロセッサCore i7-10750H(6コア12スレッド/2.6GHz~5GHz/キャッシュ 12MB/TDP 45W)
メモリ16GB(8GB×2)
ストレージ1TB SSD(RAID0)
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ15.6型4K(3,840×2,160ドット)、非光沢、60Hz/AdobeRGB 100%/画面占有率81%
グラフィックスIntel UHD Graphics / GeForce RTX 2070 with Max-Q Design(8GB/GDDR6)、HDMI 2.0b/Type-C(DisplayPort 1.4)
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5
インターフェイスUSB 3.0/Type-A×3、Thunderbolt 3、音声入出力、RGBバックライト付きキーボード
バッテリ駆動時間約9時間
サイズ/重量約360×252×18.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2kg
税別価格245,273円

 プロセッサは第10世代Comet LakeのCore i7-10750H。6コア、12スレッドでクロックは2.6GHzから最大5GHz。キャッシュは12MB、TDPは45W。ここのところ、このプロセッサ搭載機が続いているが、扱いやすいのだろうか。

 メモリは8GB×2の計16GB。ストレージは512GB SSD×2でRAID0(ストライピング)を構成している。実際の使用デバイスなどは後半を参照して頂きたい。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel UHD Graphicsと、GeForce RTX 2070 with Max-Q Design(8GB/GDDR6)。Max-Q Designはノーマルと比較して小型軽量化、最大温度が低くファンも静かに出来ると言う特性があるものの、その分、性能はノーマルより劣る。出力はHDMI 2.0b/Type-C(DisplayPort 1.4)を装備。

 ディスプレイは、非光沢の15.6型4K(3,840×2,160ドット)。60Hz/AdobeRGB 100%/画面占有率81%。また別モデルとして、フルHD、240Hz、sRGB 100%のものも用意されている。

 ネットワークはGigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5。Gigabit EthernetとWi-Fi 6、両方搭載しているのはポイントが高い。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0?/Type-A×3、Thunderbolt 3、音声入出力、RGBバックライト付きキーボード。ゲーミング用そして狭額縁ということもあり、Webカメラがない。

 サイズは約360×252×18.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2kg。内容の割に軽量級だ。バッテリ駆動時間は約9時間。税別価格は245,273円。ROG Zephyrus S15より10万円程度安くなっている。

画面占有率81%の狭額縁。Webカメラはない
後ろ側面に放熱用のスリット。白いドットの部分はプリズムフィルム加工
左側面。電源入力、Gigabit Ethernet、HDMI、Type-A、音声入出力
右側面はロックポート、Type-A×2、Thunderbolt 3
キーボードはテンキーなし、RGBバックライト付きの日本語キーボード。タッチパッドは1枚プレート型
キーピッチは実測で約19mm
底面。手前左右にスピーカー用のスリット。ゴム足は四隅と中央
横から。Gigabit Ethernetの高さから薄いのがわかる
ACアダプタのサイズ約165×75×32mm(幅×奥行き×高さ)、重量619g、出力19.5V/11.8A
プログラマブルなキーボードバックライト設定。ARMOURY CRATEで好みの色やパターンを設定可能

 筐体はマットなほぼブラック。内容の割に重量約2kgと、持ち上げると軽く感じる。天板の約半分に相当する白いドットの部分は、プリズムフィルム加工と言うことだ。横からの写真でGigabit Ethernetのコネクタが厚み(最薄部18.9mm)ギリギリなので、このクラスとしては薄型なのがわかる。

 全面は画面占有率81%の狭額縁。ただしWebカメラはない。左側面に電源入力、Gigabit Ethernet、HDMI、Type-A、音声入出力。右側面にロックポート、Type-A×2、Thunderbolt 3を配置。少し気になるのは電源入力、Ethernet、HDMIなどが、真ん中より手前にあること。ケーブルを接続すると結構邪魔になる。裏は手前左右のスリットにスピーカー。ゴム足は4隅と中央にあり、安定感を高めている。ACアダプタは、サイズ約165×75×32mm(幅×奥行き×高さ)、重量619g、出力19.5V/11.8A。

 キーボードはプログラマブルなRGBバックライト/1ゾーンを搭載した日本語キーボードだ。主要キーのキーピッチは約19mm。15.6型でテンキーがない分、広くゆったりしており、いびつなピッチや並びはない。ただし、[Enter]キーの外側にキーがあるのは好みが分かれるところだろう。打鍵感はしっかりクリック感があり、軽過ぎず重過ぎずいい感じだ。この辺りはゲーミング用ということもありしっかり作りこまれている。

 タッチパッドはボタンがない1枚プレート型。パームレストも含め十分な面積が確保され扱いやすい。

 15.6型のディスプレイは、開いた瞬間、色域が広いことがわかり、また明るい。非光沢なので眼に優しく、コントラスト、発色、視野角も十分以上でとても綺麗だ。

 i1 Display Proを使い特性を測定したところ最大輝度は372cd/平方m。標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-6が122cd/平方m、-7が100cd/平方m。従って前者で計測している。これまでのノートPCでは13xcd/平方mにするケースばかりだったが、初めてほぼ120cd/平方mとなった。黒色輝度は0.101cd/平方m。つまり、(目視可能かは別として)若干黒が浮く。リニアリティは、R・G・Bが微妙にねじれているものの、ほぼ直線的となかなか良い。ただし、補正前後で比較すると、補正前は少しマゼンタ被りしている感じだ。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 ノイズや振動は、後述するARMOURY CRATEで作動モードをサイレント、パフォーマンスにしている分には気にならないが、ターボにすると結構ファンの金切り音が煩い。発熱は負荷をかけるとキーボードの上/左/右のスペース、裏側面、右側面がかなり熱くなり、キーボードやパームレストにまで熱を感じる。ここまで熱を持つと個人的には嫌な感じだ。

 サウンドはスピーカーが裏にあるため、机などに音が反射して聴こえるタイプだ。15.6型なので幅がありステレオ感は十分、またノートPCとしては珍しくピラミッドバランスで低音に迫力がある。パワーも(あと一歩欲しいところだが)十分。音楽、映像、ゲームも本体だけで楽しめる。

Core i7-10750H + GeForce GTX 1650と比較してざっくり倍の3Dパフォーマンス

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。ASUSグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。

 第10世代のCore i7、メモリ16GB、RAID0のSSD、そしてGeForce RTX 2070 with Max-Q Designの構成と言うこともあり、一般的なノートPCよりかなり快適に作動する。

 ストレージは512GB SSDを2つ使ったRAID0で構成されている。実際はBIOSから「INTEL SSDPEKNW512G8」を搭載しているのがわかる。仕様ではSequential Read (up to) 1,500MB/s、Sequential Write (up to) 1,000MB/sとなっているが、RAID0なので、CrystalDiskMarkの値は倍近く出ている。

 C:ドライブのみの1パーティションで約934.54GBが割り当てられ空き892GB。BitLockerで暗号化されている。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製。GeForce RTX 2070はCUDAコア2,304、メモリ8,192MB/GDDR6なのがわかる。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。ASUSグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙の変更のみとシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはRAID0で1TB、Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
BIOSのRAID 0(ストライピング)設定
BIOS/RAID設定。SSDは「INTEL SSDPEKNW512G8」を使用
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約934.54GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア2,304、メモリ8,192MB/GDDR6

 おもなプリインストールのソフトウェアは、「ARMOURY CRATE」、「GameFirst VI」、「AURA Creator」、「i-フィルタ6.0」、「McAfee Personal Security」、「Sonic Studio 3」、「Thunderboltコントロールセンター」、「WPS Office」……など。ARMOURY CRATEは、ゲーミングPCらしく、本機の集中コントローラだ。

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 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。ARMOURY CRATEで作動モードをサイレント、パフォーマンス、ターボと設定できるので標準のパフォーマンスで測定。Sky Diverのみ3パターン掲載した。

 少し前に掲載したG-Tune P5は、プロセッサが同じで、dGPUがGeForce GTX 1650(4GB/GDDR6)。3DMarkを比較(Time SpyからFire Strikeまで)するとざっくり倍違う。さすがGeForce RTX 2070 with Max-Q Designといったところか。ARMOURY CRATEでの作動モードの違いは、3回試したが、なぜかターボの方がパフォーマンスより若干劣る結果となった。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは6時間30分(キーボードバックライトOFF。明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様上は最大9時間だが、テスト内容が重いので、妥当なところだろう。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2177
PCMark 10 Score4,794
Essentials8,547
App Start-up Score10,085
Video Conferencing Score8,091
Web Browsing Score7,653
Productivity7,498
Spreadsheets Score8,796
Writing Score6,392
Digital Content Creation4,667
Photo Editing Score9,949
Rendering and Visualization Score2,749
Video Editting Score3,718
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,405
Creative Accelarated 3.03,684
Work Accelarated 2.04,476
Storage4,966
3DMark v2.12.6964
Time Spy6,339
Fire Strike Ultra4,099
Fire Strike Extreme7,799
Fire Strike14,802
Sky Diver26,668 / 29,395 / 29,195
Cloud Gate38,437
Ice Storm Extreme63,292
Ice Storm45,141
CINEBENCH R20
CPU2,813 pts(6位)
CPU(Single Core)3944 pts(3位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード2,986.586 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,809.424 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード671.579 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト425.333 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード382.999 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト416.454 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード51.022 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト115.652 MB/s

 以上のようにASUS「ROG Zephyrus M15 GU502」は、Core i7-10750H、メモリ16GB、ストレージRAID0 SSD 1TB、GeForce RTX 2070 with Max-Q Design、そしてパネルが狭額縁の非光沢15.6型4K(3,840×2,160ドット)/60Hz/AdobeRGB 100%と、ノートPCとしてはなかなか強力な構成だ。さらに最薄部18.9mm、重量約2kgと取り回しが楽、Wi-Fi 6やThunderbolt 3対応もポイントが高い。

 負荷がかかったとき、全体的に熱くなる以外は、試用した範囲でとくに気になる部分もなく、ゲーマーはもちろん、クリエイターも含め、薄型で軽量のゲーミングノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。