西川和久の不定期コラム

FRONTIER「NSMシリーズ」

~第8世代Kaby Lake-R搭載の狭額縁14型ノートPC

NSMシリーズ

 FRONTIERは9月7日、従来の13.3型と同等の筐体へ14型パネルを収めたノートPCを発表した。

 編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

狭額縁14型非光沢FHD、4コア8スレッド、M.2 SSD

 昨今のスマートフォンでは狭額縁が流行っているが、ノートPCのパネルも技術的に狭額縁が可能となり、その結果、14型のパネルが13型クラスの筐体へ収納可能となった。

 AcerやASUSなど、多くのメーカーからこれに該当するモデルが登場している。実際に見たり持ったりすると、この約1型の違いは大きく、数値以上のインパクトがある。

 少し面白いのは、狭額縁は上左右の3辺で、下辺に関してはどれも間延びした空間があることだ。これはキーボードの奥行き方向を確保するためで、またスペース的に上側に入らなくなったWebカメラが下側になるケースも多い。

 今回ご紹介するFRONTIER「NSMシリーズ」もまさにこのタイプ。おもな仕様は以下のとおりだ。

FRONTIER「NSMシリーズ」の仕様
プロセッサCore i5-8250U(4コア8スレッド/1.6GHz~3.4GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W)
メモリDDR4-2400 8GB(8GB×1)
ストレージM.2 SSD 256GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ狭額縁14型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢無し、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620、HDMI
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×2、92万画素カメラ、メディアカードスロット、音声入出力、2W+2Wスピーカー、マイク、指紋センサー
バッテリ/駆動時間15.2V/3,290mAh/50Wh、約10時間(充電約3時間)
サイズ/重量約322×222×15.95mm(幅×奥行き×高さ)/約1.2kg
税別価格99,800円から

 プロセッサは第8世代Kaby Lake-RのCore i5-8250U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大3.4GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。

 AMDとの競争により、この世代からi5は最大4コア/4スレッドまでという、これまでのルールが崩壊している。ユーザーにとっては嬉しい限りだ。また、上位モデルとしてCore i7-8550U(4コア8スレッド、1.8GHz~4GHz)も用意されている。

 メモリはDDR4-2400 8GB(8GB×1)。カスタマイズは不可で、8GBモデルか16GBモデルかを選ぶことになる。ストレージはM.2 SSDで256GBまたは512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。これはカスタマイズでWindows 10 Proも選択可能だ。

 ディスプレイは、狭額縁の14型非光沢フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには対応していない。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵UHD Graphics 620。外部出力用にHDMIを装備する。確認したところ、2つあるType-CはDP Alt Modeには対応していなかった。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応とBluetooth 4.2。有線LANは非搭載となっている。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×2、92万画素カメラ、メディアカードスロット、音声入出力、2W+2Wスピーカー、マイク、指紋センサー。

 このクラスとしては、Type-Cが2つあるのは珍しいところか。なお、キーボードはバックライトも搭載している。

 サイズは約322×222×15.95mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.2kg。15.2V/3,290mAh/50Whのバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約10時間。

 税別価格は99,800円から。内容を考えると10万円切りはリーズナブルな価格だろうか。上記に説明したとおり、プロセッサ/メモリ/ストレージの組み合わせは、Core i5-8250U/Core i7-8550U、8GB/16GB、256GB/512GBとなる。どれも実用的なパターンだ。

前面。パネルは上左右が狭額縁。上にWebカメラを付けるスペースがなく下にあるのが分かる
斜め後ろから。トップカバーにはロゴもなく、シンプルなヘアライン仕上げのシルバー
左側面。電源入力、HDMI、Type-C、音声入出力
右側面。USB 3.0×2、Type-C、メディアリーダー、ロックポート。ロックポートが手前にあるのは珍しい
裏面。手前左右側面にスピーカー、ゴム足は中央も含め5つ。メモリなどにアクセスできる小パネルはない
キーボードはバックライト搭載のアイソレーションタイプ。タッチパッドは1枚プレート型で左上に指紋センサー
キーピッチは実測で約19mm
ACアダプタは約105×45×30mm(同)、重量215g。出力19V/3.42A。コネクタがミッキータイプ
重量は実測で1,171gと、若干仕様よりも軽い
横から。ゴム足からキーボードまでの厚みが約1.5cmとスリム。パネルはもうギリギリの薄さか

 筐体はアルミ合金製のシルバー。なかなか質感も良く雰囲気があり、写真からも分かるように天板にロゴもなく「どこのノートPCだろう?」という期待感も醸し出す。また重量も実測で1,171gと軽く、パッケージから楽々取り出すことができた。

 前面、パネルは狭額縁だ。上にWebカメラを付けるスペースがなく、下にあるのが分かる。真横から見ると、パネル部分が限界かと思われるほど薄い。

 左側面に電源入力、HDMI、Type-C、音声入出力。右側面にUSB 3.0×2、Type-C、メディアリーダ、ロックポートを配置。ロックポートが手前にあるのは珍しい。ゴム足からキーボードまでの厚みは約1.5cmとスリムだ。

 裏は、手前左右側面にスピーカー、ゴム足は中央も含め5つ。メモリなどにアクセスできる小パネルはない。

 バッテリは内蔵式で着脱できない。付属のACアダプタは、サイズ約105×45×30mm(同)、重量215g。出力19V/3.42A。コネクタがミッキータイプになっている。一時期よりは一般化しているが、やはりメガネタイプの方が何かの時に安心。この点だけ惜しいところか。

 14型のディスプレイは非光沢で見やすい。明るさ、コントラスト、視野角は良好。発色は少し原色系が地味な大人しい感じだ。パネルは180度まで傾けることができる。

 キーボードは88キーのアイソレーションタイプ。仕様上、キーピッチは約19.2mm/ストロークは約1.15mm±0.2mm。[|]、[_]、[無変換]、[変換]のキーピッチはかなり狭いものの、そのほかは大丈夫なので、とくに問題にはならないだろう。

 19mmのキーピッチを確保していると俄然入力しやすくなる。4段階の明るさに調整できるキーボードバックライトも搭載する。

 タッチパッドはボタンのない1枚プレート型だ。加えて左上にWindows Hello対応の指紋センサーがある。タッチパッド、パームレストともに少し長細いものの、それなりの面積が確保され扱いやすい。

 振動とノイズは、試用した範囲でまったく問題なし。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード右上のメッシュ部分が若干暖かくなる程度で、放熱も十分できているようだ。

 サウンドは左右側面にスピーカーがあるため、サイズの割にステレオ感がある。音質はクラス相応だが、パワーはそこそこあり、音楽や映像を本体だけでも楽しめる。

 総じてなかなか好印象で、とくに気になる部分はなかった。あえて挙げれば、ACアダプタのコネクタがミッキータイプなのと、キートップ刻印の書体が少し一般的でなく、慣れるまで落ち着かない程度だ。完成度は高い。

快適な性能とバッテリ駆動約10時間

 OSは64bit版のWindows 10 Home。4コア8スレッドのCore i5、メモリ8GB、M.2 SSDなので、非常に快適。軽い用途が主としても、予算が許せばこのクラスは欲しいところだ。

 初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループなどはなく、標準のままだ。デスクトップは壁紙の変更はないが、今どき珍しく左側には多くのショートカットが並んでいる。

 ストレージはM.2 SSD 256GBの東芝「KSG60ZMV256G」。実質Cドライブのみの1パーティションで約222.14GBが割り当てられ、空きは202GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。とくに追加されたグループなどはなく標準のまま
起動時のデスクトップ。壁紙は変わらずだが、今どき珍しく多くのショートカットが並ぶ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはM.2 SSD 256GBの東芝「KSG60ZMV256G」。Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約222.14GBが割り当てられている
SYSTEM CONTROL MANAGER

 プリインストールのソフトウェアは、「WPS Office」、「ウィルスバスタークラウド」と、「SYSTEM CONTROL MANAGER」、IntelやSynapticsなどのシステム系だ。とくに解説する必要はないだろう。

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを実施。結果は以下のとおり。

ベンチマークテスト
PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score3,329
Essentials6,852
App Start-up Score8,332
Video Conferencing Score6,151
Web Browsing Score6,279
Productivity5,468
Spreadsheets Score6,906
Writing Score4,331
Digital Content Creation2,672
Photo Editing Score3,043
Rendering and Visualization Score1,859
Video Editting Score3,374
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.02,995
Creative Accelarated 3.03,147
Work Accelarated 2.04,404
Storage4,961
3DMark v2.4.4264
Time Spy379
Fire Strike Ultra240
Fire Strike Extreme434
Fire Strike951
Sky Diver4,189
Cloud Gate7,485
Ice Storm Extreme43,276
Ice Storm58,672
CINEBENCH R15
OpenGL40.29 fps
CPU540 cb
CPU(Single Core)146 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード545.954 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト341.950 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード339.357 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト281.744 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード207.814 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト171.233 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード12.961 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト73.497 MB/s
BBench(キーボードバックライトOFF、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量5%まで10時間46分12秒(仕様では約10時間)

 プロセッサが4コア8スレッド、クロック1.6~3.4GHz、そしてM.2 SSDということもあり、なかなかのハイスコアだ。ゲーミング用途でない限り、十分なパフォーマンスと言える。

 バッテリ駆動時間は残5%で、10時間46分12秒。仕様上は約10時間なので、ほぼその通りとなった。ただ輝度0%は結構暗いので、実質25%以上で運用すると若干短くなるだろうか。

 いずれにしても、このクラスでこれだけの長時間駆動ができれば、多くのモバイル用途では十分だと思われる。


 以上のようにFRONTIER「NSMシリーズ」は、13.3型の筐体へ14型の狭額縁パネルを搭載したノートPCだ。

 第8世代Kaby Lake-R、M.2 SSD、8GBまたは16GBメモリ、バッテリ駆動約10時間、キーボードバックライト対応で約1.2kgと、スペックも申し分ない。加えて発熱は少なく、サウンドは良好。文句の付けどころがない仕上がりだ。

 先に挙げた、キートップ刻印の書体やACアダプタのミッキータイプコネクタなど、重箱の隅をつついた点以外、仕様上とくに気になる部分はなく、下位モデルは10万円を切る価格。

 メーカーを問わず、比較的安価でカッチリした内容の14型狭額縁ノートPCを探しているユーザーにお勧めできる製品だ。