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iiyama「ProLite T2336MSC」

~10点マルチタッチ対応の23型フルHD液晶

T2336MSC
液晶サイズ23型
パネル方式AH-IPS方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.265×0.265mm
表面処理グレア
タッチパネル静電容量方式10点マルチタッチ
バックライト方式LED
応答速度5ms(中間色)
コントラスト比1,000:1(標準、ダイナミックコントラスト有効時500万:1)
視野角上下/左右とも178度
輝度225cd/平方mm
表示色約1,677万色
走査周波数水平:30~80kHz/垂直:56~75Hz
チルト角度下5度/上90度
高さ調節120mm
スイベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D×1、HDMI×1、ミニD-Sub 15ピン×1、ステレオミニジャック、USB 3.0アップストリームポート
出力端子USB 3.0×4
スピーカー2W+2W
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力標準26W、最大55W
付属品DVIケーブル、HDMIケーブル、ミニD-Sub15ピンケーブル、USBケーブル、オーディオケーブル、電源ケーブル
本体サイズ561×186×120~395mm(幅×奥行き×高さ)
重量7.4kg

 株式会社マウスコンピューターは、iiyamaブランドの10点マルチタッチ対応静電容量方式タッチパネルを搭載する23型フルHD液晶ディスプレイ「ProLite T2336MSC」(以下、T2336MSC)を発売した。Windows 8/8.1でのタッチ操作に対応するとともに、スタンド部と液晶部の2カ所にヒンジを備える「ダブルヒンジスタンド」の採用で、液晶面を水平にして利用することも可能となっている。価格はオープンプライス、直販価格は60,800円だ。

本体デザイン

 T2336MSCの本体デザインは、タッチパネル搭載とはなっているが、目立つデザイン的な特徴もなく、どちらかというとオーソドックスなデザインとなっている。ただ、液晶部やスタンド部など、多くが直線的な形状となっていることもあってか、かなり重厚な印象を受ける。本体カラーはブラックで落ち着いており、一般ユーザーが家庭で利用するだけでなく、オフィスで利用する場合でも違和感がない。

 本体サイズは、561×186×120~395mm(幅×奥行き×高さ)。高さの最低値が120mmとかなり低くなっているのは、液晶面が水平まで倒れる構造となっているため。通常のアップライト状態では、23型液晶ディスプレイとして標準的なサイズだ。

 T2336MSCの特徴となるのが、液晶部とスタンドを接続するアームの構造だ。アームは、スタンド側と液晶部側それぞれに1軸のヒンジを備えており、それぞれ液晶面の高さ調節と液晶面の角度調節が可能となっている。そして、液晶側のヒンジは下5度から上90度まで、最大95度の範囲で動作するようになっており、液晶面を水平まで倒すことが可能。画面を水平にすることで、タッチ操作の対戦ゲームも楽しめる。

 このヒンジは比較的しっかりとした堅さとなっており、角度を変更してもぐらつきが非常に少ない。また、低い確度でタッチ操作する場合でも、操作時に角度が変わる心配もない。反面、片手での角度や高さ調節は難しく、両手を使って、やや強い力で調節する必要がある。

 電源ボタンや操作ボタンは、右側面下部に配置されている。物理ボタンのためしっかり押せるが、OSD操作時などはボタンが見えないこともあって、やや操作しにくく感じる場面がある。

液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の23型ワイド液晶を採用。パネルの方式はAH-IPS方式。視野角は上下/左右ともに178度と広く、多少視点を移動させても色合いや明るさの変化が非常に少ない点はIPS方式らしい特徴だ。

 T2336MSCではWindows 8/8.1対応のタッチパネルも搭載されている。タッチパネルの方式は静電容量方式で、10点マルチタッチもサポート。タッチパネル表面は、硬度7H、厚さ2.4mmの高硬度ガラスが採用されており、キズが付きにくいように配慮されている。

 タッチパネルは、USBケーブルでWindows 8/8.1 PCと接続するだけですぐに利用可能となる。実際にWindows 8.1搭載PCを接続して試してみたが、軽快にタッチ操作が可能だった。タッチパネル表面と液晶パネルの間隔がやや広いため、斜めから画面を見ている状態では細かな操作がしにくいと感じたが、正面から見ている状態ではほぼ気にならないだろう。ただし、タッチ操作を多用していると、指紋の痕が気になるようになるため、頻繁に表面を拭うなどの配慮が必要そうだ。また、表面は光沢処理となっているため、外光の映り込みがかなり激しい。

 バックライトはLEDで、輝度は225cd/平方mと必要十分。コントラスト比は標準で1,000:1、ダイナミックコントラスト有効時で500万:1と、こちらもIPSパネル採用の製品として標準的だ。応答速度は、中間色で5msと、TNパネルと比べると高速ではないが、まずまず問題のないレベルと言える。

接続端子

 映像入力端子は、DVI-D×1系統、HDMI×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の3系統を用意。端子数は必要十分で、大きな不満は感じない。端子は、液晶背面に下に向かって取り付けられているため、ケーブル接続は少々不便だが、液晶面を水平まで倒せば正面からコネクタが見えるようになるため、比較的楽に接続できる。

 映像以外の端子としては、サウンド入力端子とUSB 3.0ポートを備える。T2336MSCは2W+2Wのステレオスピーカーを搭載しており、HDMIとサウンド入力経由の音声を再生できる。音質は、このクラスの液晶ディスプレイとしては標準的。サウンド出力端子やヘッドフォン端子はないので、音質重視ならPCに直接外部スピーカーを接続した方がいいだろう。

 USB 3.0ポートは、アップストリーム×1、ダウンストリーム×4を備える。アップストリームポートとPCのUSBポートを接続することで、タッチパネルが利用可能になるとともに、ダウンストリームポート×4のHubとしても機能する。ちなみに、タッチパネルはPCのUSB 2.0ポートに接続した場合でも利用可能だったが、可能な限りUSB 3.0ポートに接続するべきだ。ダウンストリームポートは、下部に2ポート、左側面に2ポート用意されており、USBメモリなど周辺機器の利用も簡単だ。

OSD

 OSDは比較的シンプルな構成となっているが、このクラスとしては必要十分な設定項目が網羅されている。コントラストやガンマレベル、RGBの色合い調節などはしっかり用意。また、テキストや映画、ゲームなど、6種類のモードに最適の表示設定がプリセットされ、簡単に切り替えて変更できる点も便利だ。高度な設定項目は用意されていないため、プロ向けのグラフィックス用途の製品には見劣りするが、一般ユーザーをターゲットとした製品として考えると、十分に満足できる。

 ただし、OSDの操作性はやや難があると感じた。ボタンが右側面に用意されていることもあるが、操作時にボタンが見えず、どのボタンを押せばいいのか分からなくなり、誤操作が頻発してしまう。ボタン付近の液晶に操作ガイドを表示するだけで操作性が大きく向上すると思うので、今後の製品での改善を期待したい。

画質

 T2336MSCは、タッチ操作に対応しているということからも、基本的には家庭でPCを利用する一般ユーザーをターゲットとした製品だ。そのため、どちらかというと画質もビビッドな方向で調整しているように感じる。パネル表面が光沢処理ということもあるが、発色はかなり鮮やかで、メリハリのある表示品質だと感じる。液晶パネル表面のタッチパネルも透過率に優れるようで、曇ったような表示といった印象もない。周辺部の輝度ムラもほとんど感じられず、広視野角で視点を移動したり液晶面の角度を大きく変えても色合いの変化が少ない点も嬉しい。

 反面、外光の映り込みが激しく、それが気になる場面も少なくない。特に映像で暗いシーンなどでは、後ろのものがはっきり見えるぐらいに映り込むのはかなり気になる。特に、文字入力作業の多いビジネス用途での活用は、この映り込みの激しさを考えると少々つらいかも知れない。

 応答速度に関しては、IPSパネルとしては標準的だ。ゲームなど高速に動く映像を表示した場合や、横に流れるテロップなどでわずかに残像が気になる場面があったが、全体的には大きな不満はない。また、HDMI入力の表示遅延もほぼ気にならないレベルで、家庭用ゲーム機を接続して入力がシビアなゲームをプレイしてみても、ほぼ違和感なくプレイ可能だった。

 T2336MSCは、直販価格が60,800円と、金額だけを見ると23型フルHD液晶ディスプレイとしてはやや高価な印象を受ける。とはいえ、静電容量方式のタッチパネルを搭載し、Windows 8/8.1のタッチ操作に対応していることを考えると、十分に納得できる範囲内。また、単純にタッチパネルを搭載するだけでなく、特殊な構造のスタンドの採用で、液晶面を水平まで倒して利用できるというように、タッチ操作で幅広い用途に活用できる点も大きな魅力だ。Windows 8が登場して1年ほど経過しているが、タッチ操作対応の液晶ディスプレイはまだまだ製品数が少ない。そういった中で登場したT2336MSCは、十分な表示品質や特殊構造のヒンジ採用による使い勝手の高さなどを合わせ、タッチ操作対応液晶ディスプレイとして有力な選択肢になると言っていいだろう。

(平澤 寿康)