ASUSTeK Computer 「All-in-One PC ET2400XVT」
~地デジ、3D、光学式タッチパネルなど、全部入り一体型PC



ASUSTeK Computer 「All-in-One PC ET2400XVT」

発売中
価格:209,800円



 ASUSTeK Computerは、23.6型ワイド液晶搭載の一体型PC「All-in-One PC ET2400XVT」を発売した。液晶パネルは120Hz駆動でNVIDIA 3D Visionに対応するとともに、光学式タッチパネルも搭載。さらに、3波対応デジタルチューナやBlu-ray Disc(BD)コンボドライブも標準搭載するなど、まさに全部入りPCとなっている。

●省スペースボディに高性能パーツを詰め込む

 ASUSTeK Computerは、液晶一体型PCとして比較的低価格な「Eee Top PC」シリーズと、性能面に優れる「All-in-One PC」シリーズの2シリーズを展開しているが、今回取り上げるAll-in-One PC ET2400XVT(以下、ET2400XVT)は、後者の中で最上位に位置付けられる製品だ。

 筐体は、特に凝った装飾や奇抜なデザインは採用されておらず、どちらかというと液晶一体型PCとしてオーソドックスなデザインだが、光沢感の強いブラックボディと相まって落ち着いた印象が強い。サイズは、搭載液晶パネルが23.6型ワイドとやや大きいこともあり、582×495mm(幅×高さ)と比較的大ぶりだ。ただし、奥行きは90mm(本体部分のみ)と短く、設置面積は24型の液晶ディスプレイと同等と考えていい。この中に、PC機能の全てが内蔵されているのだから、十分に省スペースと言える。

 ET2400XVTの特徴は、この省スペースボディに高性能パーツが詰め込まれている点だ。システムは、チップセットがIntel HM55 ExpressにCPUがCore i7-740QMと、ノートPC向けのものが採用されている。Sandy Bridgeが登場した現在としては、少々見劣りするかもしれないが、それでも4コア8スレッド処理に対応するCore i7-740QMは、幅広い用途に優れたパフォーマンスを発揮するため、十分と言える。

 グラフィック機能としてGeForce GTX 460Mが標準搭載されている点も見逃せない。液晶一体型PCでは統合グラフィック機能を利用する製品が少なくないが、ET2400XVTは、3Dゲームも快適にプレイできる3D描画能力が発揮される。この点は、他の液晶一体型PCに対する優位点となるはずだ。

本体正面。液晶サイズが23.6型と大きいため、本体も582×495mmと比較的大きい。デザインはシンプルで落ち着いている左側面。奥行きは90mmと十分に薄い。また、スタンドは背面で支えるタイプとなる液晶面は、30度近くまで角度を調節できるが、この場合には奥行きもかなりのスペースを必要とする
背面。主要なコネクタ類は背面にまとめて配置されている右側面。こちらには光学式ドライブが搭載されている

●液晶は3D Vision対応で光学式タッチパネルも搭載

 ET2400XVTのもう1つの特徴となるのが、液晶パネルだ。1,920×1,080ドット表示に対応する23.6型ワイド液晶は、液晶一体型PCとしては比較的大型。液晶表面は光沢処理が施されているため、外光の映り込みがやや気になる点と、上下の視野角がやや狭い点は気になるが、発色は鮮やかで、表示品質は満足できる。また、単体の液晶ディスプレイのような、表示品質設定用のOSDメニューが用意されている点は面白い。

 この液晶パネルは、120Hz駆動をサポートしており、NVIDIAの立体視システム「3D Vision」に対応。3D Visionの専用レシーバは本体に内蔵され、アクティブシャッターメガネも付属。これにより、標準で3D立体視が楽しめるわけだ。本体にはBDコンボドライブが標準搭載されているので、ゲームからBlu-ray 3Dまで立体視での視聴も可能だ。

 液晶一体型PCで3D立体視をサポートする製品はすでにいくつかあるが、そのほとんどは偏光方式を採用しており、立体視時の解像感が失われるという欠点がある。しかし、ET2400XVTは3D Visionの採用により、立体視のクオリティは他の製品を大きく凌駕している。

 さらに、この液晶パネルには、光学式タッチパネルも搭載されている。光学式は、液晶表面にタッチセンサーの膜を取り付ける必要がないため、液晶の表示品質が失われない。タッチ操作は、マルチタッチ操作をサポートする。

 ただし、Windows 7は、標準でタッチ操作をサポートしてはいるが、タッチ操作を前提としたUIではないので、タッチ操作だけでは、使いづらいと感じる場面が少なくない。そこでET2400XVTでは、専用のランチャーを標準でインストールし、タッチ操作でも軽快な利用が可能なように工夫されている。

 また、ET2400XVTにはHDMIとミニD-Sub15ピンの入力端子が用意されており、外部映像機器の映像を表示させることも可能となっている。家庭用ゲーム機やBDレコーダなどを接続して楽しめるのは、特に一人暮らしなどに好適だろう。ただし、HDMI入力は3Dに対応していない。この点は少々残念だ。

23.6型ワイド液晶を搭載。この液晶は120Hz駆動に対応し、3D Visionに標準対応。また、光学式タッチパネル機能も搭載している液晶表面は光沢処理が施され、発色は鮮やかだが、外光の映り込みは気になる。また、上下の視野角もやや狭い3D Visionのレシーバ機能は本体に内蔵されている。130万画素Webカメラも搭載している
3D Vision専用アクティブシャッターメガネも標準添付。ゲームの3D表示や、内蔵光学式ドライブを利用して、Blu-ray 3Dの視聴が可能だ内蔵PCの映像だけでなく、背面に用意されているHDMIとアナログRGBの映像入力端子に接続した映像機器の映像も表示可能。表示切替は、右側面のボタンで行なう一般的な液晶ディスプレイと同様のOSDメニューを備え、表示設定のカスタマイズが行なえる
タッチ操作に最適化したランチャーソフトが標準でインストールされており、タッチ操作でも快適に利用できる

●3波対応デジタルチューナも標準搭載

 では、基本スペックを確認していこう。

 CPUおよびチップセットは、冒頭で紹介したとおり、Core i7-740QMとIntel HM55 Express。メインメモリは標準でPC3-10600対応DDR3 SDRAMを4GB搭載。本体背面に用意されているB-CASカードスロットを外すと、メインメモリ用のSO-DIMMスロットが4本現れ、標準で2スロットが空きとなっているが、メーカーはメインメモリの増設は行なえないとしている。

 ストレージデバイスは、1TBの3.5インチHDDを搭載(試用機では、Seagate製のST31000528AS)。光学式ドライブは、BDメディアの読み出しに対応したスリムBD-ROM/DVDスーパーマルチドライブを採用し、本体右側面に搭載する。ネットワーク機能は、Gigabit EthernetとIEEE 802.11b/g/n対応無線LANを搭載。また、Bluetooth 3.0+HSも標準搭載されている。

 これらに加え、地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタルの3波に対応するデジタルチューナも搭載。視聴ソフトには、Windows 7のWindows Media Centerを利用するため、録画番組の編集などは行なえず、見る、録るの基本的な機能のみとなる。また、せっかく液晶パネルが3D Visionをサポートしているものの、一部BS放送やCS放送で行なわれている3D放送の視聴には対応しない。地デジ関連機能は、他の液晶一体型PCよりやや弱いと言える。

 ポート類は、左側面にUSB 3.0が2ポートとSDカードリーダ、ヘッドフォン/マイク端子。背面には、電源コネクタ、Gigabit Ethernet、USB 2.0が4ポートに加え、映像入力用のHDMI端子とアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)が用意されている。

 付属のキーボードとマウスは、どちらも無線方式となっている。ただ、利用に際して、USB接続の専用レシーバを本体に取り付けなければならない点は少々気になった。同様に、付属のMedia Centerリモコンも、USBレシーバを取り付ける必要がある。利便性やデザイン性を高めるという意味で、本体に内蔵してもらいたかった。

 もう1点気になったのは、付属のACアダプタが非常に大きいという点だ。家具の裏など、見えない場所に置けば問題ないが、3.5インチHDDの2倍ほどの体積があるため、結構かさばる。

左側面には、SDカードスロットとUSB 3.0が2ポート、ヘッドフォン/マイク端子を用意する背面には、電源コネクタ、Gigabit Ethernet、映像入力用のHDMI端子とアナログRGB端子、内蔵デジタルチューナ用のアンテナ端子、USB 2.0が4ポート用意されている背面ポート上部のフタを開けると、B-CASカードスロットが現れる
B-CASカードスロットの下には、メインメモリ用のSO-DIMMスロットがある。計4スロットあり、2スロットは空きとなっている右側面には、スリムBD-ROM/DVDスーパーマルチドライブを搭載。また、液晶表示のON/OFFおよび表示入力切換ボタンが用意されている付属のキーボードとマウスは、双方とも無線方式のものだが、USBレシーバを取り付けなければ利用できない点は残念
Media Centerリモコンも、専用のレシーバを別途取り付ける必要があるテレビ機能は、Windows Media Centerを利用するため、機能面はやや弱い電源は内蔵しておらず、付属のACアダプタを利用する
ACアダプタは、体積が3.5インチHDDの2倍ほどとかなり大きく、少々かさばる

●高機能な液晶一体型PCを探している人におすすめ

 では、パフォーマンスをチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」と「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」に加え、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】」、「バイオハザード5ベンチマーク」、「ロストプラネット2ベンチマーク」を利用した。比較用として、筆者が利用している自作PCでも同じテストを行なった。その自作マシンの仕様は表にまとめたとおりだ。

【ベンチマーク結果】
 All-in-One PC ET2400XVT自作PC
CPUCore i7-740QM(1.73GHz/2.93GHz)Core i5-750(2.66/3.20GHz)
チップセットIntel HM55 ExpressIntel H55 Express
ビデオチップGeForce GTX 460MRadeon HD5770
メモリ4GB4GB
ストレージ1TB(Seagate ST31000528AS)320GB(Western Digital WD3200AAKS)
OSWindows 7 Home Premium 64bitWindows 7 Ultimate
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite61246420
Memories Suite46695585
TV and Movies Suite42754498
Gaming Suite68836983
Music Suite42615638
Communications Suite50485900
Productivity Suite53415440
HDD Test Suite35573627
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/A9959
CPU Score74209585
Memory Score718810401
Graphics Score1015614096
HDD Score59415331
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1280×1024ドット
3DMark Score817710280
GPU Score66799636
CPU Score2498412855
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ7.17.3
メモリ5.57.5
グラフィックス6.97.4
ゲーム用グラフィックス6.97.4
プライマリハードディスク5.95.8
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】
1,280×720ドット59479564
1,920×1,080ドット28405424
バイオハザード5ベンチマーク DX10
(アンチエイリアス:8X、モーションブラー:オン、影品質:高、テクスチャ品質:高、画面クオリティ:高)
1,280×720ドットベンチマークテストA58.688.6
ベンチマークテストB58.592.5
1,920×1,080ドットベンチマークテストA33.552.7
ベンチマークテストB37.363.1
ロストプラネット2ベンチマーク DX11
(アンチエイリアス:CSAA8X、モーションブラー:on、影品質:HIGH、テクスチャ品質:HIGH)
1,280×720ドットテストタイプA23.032.2
テストタイプB16.232.8
1,920×1,080ドットテストタイプA15.323.0
テストタイプB10.823.3

 結果を見ると、デスクトップPC向けのCPUやビデオカードを搭載する筆者の自作PCと比較しても、遜色のない結果が得られていることがわかる。筆者の自作PCは、ビデオカード以外はスペック的にそれほど新しいものではないため、比較用として適当ではないかもしれないが、これだけのパフォーマンスが発揮されていれば、どういった用途でも不満を感じることはないはずだ。

 もちろん、3Dゲームに関しては、最新のヘビー級タイトルをプレイするには少々厳しい。それでも、モンスターハンターフロンティアならフルHD解像度で、バイオハザード5でも解像度を落とせば十分快適に楽しめる。少なくとも、統合グラフィックス機能を利用している一般的な液晶一体型PCでは難しいゲームプレイも視野に入れられるはずだ。

 ET2400XVTは、Sandy Bridgeを搭載するPCではないものの、4コア8スレッド処理対応のCore i7-740QMと、外部GPUとしてGeForce GTX 460Mを搭載することで、十分に優れたパフォーマンスを実現しており、現時点でも十分に魅力のある製品だ。その上で、3D Vision対応のタッチパネル液晶を採用して3D映像を楽しめる点や、3波対応デジタルチューナを標準搭載したり、外部映像入力端子を備え外部映像機器を接続して利用できる点など、液晶一体型PCとして充実した機能を実現。地デジ機能に関しては、他の製品にやや劣る点もあるが、全体的にはよくまとまったマシンという印象が強い。3D視聴も含め、機能の充実した液晶一体型PCを探している人におすすめしたいマシンだ。また、PC、TV、録画機、ゲーム機用ディスプレイを1台でまかないたいと考えている人にもうってつけだろう。

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(2011年 1月 25日)

[Text by 平澤 寿康]