ASUSTeK「UX30」
~薄型でスタイリッシュなCULVノート



ASUSTeK「UX30」

発売中



 ASUSTeKは、Intelのコンシューマ向け超低電圧版プロセッサ(CULV)を搭載するノートPC「Uシリーズ」の新モデル「UX30」を発売した。13.3型ワイド液晶を搭載しながら、最厚部19.6mm、重量1.40kgという薄型軽量ボディを実現するとともに、側面ポート類を隠すことでデザイン性を追求した、スタイリッシュなアルミニウムボディが特徴となっている。

●邪魔なものを徹底的に排除したシンプルなデザイン

 個人的に、今年発売されたASUSTeKのノートPCは、Eee PC Seashellシリーズを筆頭に、従来と比べデザイン性が大きく向上したように思う。そして、今回取り上げるUX30も、本体デザインは優れている。

 まず目をひくのは、非常に薄く、かつ無駄なものを徹底的にそぎ落としたかのようなシンプルなボディだ。素材としてアルミニウムが採用され、表面にヘアライン処理を施すとともに、カラーは素材そのものの色であるシルバーをそのまま利用。天板のASUSロゴ以外の余計な装飾は一切施されておらず、見た目は非常にシンプルであるにも関わらず、高級感も十分に感じられる。本体のデザイン性を崩さないよう、側面に用意されるUSBや有線LAN、映像出力などのポート類のほとんどがフタで隠されている点も大きなポイントで、これによってどこから見てもすっきりとした印象となっている。

 また、本体サイズも大きなポイントだ。本体サイズは、328×222×6.8~19.6mm(幅×奥行き×高さ)。13.3型ワイド液晶を搭載していることもあり、フットプリントはそこそこの大きさだが、圧倒的な薄さを実現。また、手前や側面は中央部よりも薄くなるようなカーブが施され、Eee PC Seashell同様に、液晶を閉じた状態では貝殻のようなイメージとなっている。もちろん、先ほど紹介した、ポート類のフタも、そのイメージを強めているのは間違いない。

 本体重量は、実測値で1,451g。これは、同クラスの薄型ノートPCと比較しても十分に魅力のある数字で、本体の薄さと合わせ、本格的なモバイル用途にも十分に対応できるはずだ。

本体正面。正面や側面が曲面となり、側面に行くほど薄くなる貝殻のようなデザインを採用している左側面。最厚部でも19.6mmと、ボディは非常に薄い本体背面。中央部が黒くなっているが、バッテリが見えているわけではない
右側面。ポート類がフタで隠されており、すっきりとした印象だ天板部分。素材はアルミニウムを採用。ヘアライン加工が施されるとともに、ASUSロゴ以外の余計な装飾もなく、高級感があるフットプリントは、328×222mm。搭載液晶サイズが大きいため、モバイルノートとしては大きい部類に入る
底面には、内蔵メモリにアクセスするフタもなく、こちらもすっきりしている。バッテリは本体内蔵となる重量は、実測値で1,451g。本格的なモバイル用途にも十分対応できる軽さだ

●13.3型ワイド液晶を搭載、キーボードはアイソレーションタイプ

 UX30に搭載される液晶ディスプレイは、1,366×768ドット表示に対応する、13.3型ワイド液晶だ。液晶表面は光沢処理が施されており、発色は鮮やかで表示品質は申し分ない。ただ、外光の映り込みがやや激しい点と、上下の視野角がやや狭い点は気になった。

 ところで、この液晶はかなり薄く、5~6mmほどしかない。これだけ薄いと、堅牢性にやや不安があるかもしれないが、液晶部を開閉したり軽くねじったりしても、大きくたわむと言ったことはなく、不安感はほとんど感じない。耐圧性能などの具体的な堅牢性は公表されていないが、堅牢性は十分保たれていると言っていい。

 キーボードは、キーとキーの間が離れたアイソレーションタイプのキーボードを採用。キーピッチは18mmと十分に広く、タッチタイプも容易だ。キー操作時にややカチャカチャと音がする点は少々気になったが、ストロークは十分に深く、タッチも適度な堅さがあり、扱いやすさは申し分ない。

 ポインティングデバイスのタッチパッドは、デザイン性を重視し、パームレスト部とほぼ一体となっている。パッド面はパームレストと全く同じ高さで、左右の境界部分に溝が掘られているだけだが、表面に小さな突起が施され、手触りだけでパッド面を認識できるように配慮されている。ただ、その小さな突起によるざらざらとした指触りが少々気になった。また、クリックボタンも左右がつながった一体型となっている点は使いづらく感じる。この点は改善を期待したい。

1,366×768ドット表示対応の13.3型液晶を搭載。上下の視野角の狭さと、表面の光沢が強く外光の映り込みがやや気になるが、表示品質は悪くない液晶上部中央には、130万画素のWebカメラが搭載される液晶は45度ほどの角度まで開くことが可能だ
キーボードは、キーの間が離れたアイソレーションキーボードを採用。タイピング時のカチャカチャという音がやや気になったが、使い勝手は申し分ないキーピッチは18mmと十分広く、タッチタイプも余裕で行なえるポインティングデバイスのタッチパッドは、パッド面がパームレストと一体型となっている。クリックボタンが左右一体型で、やや使いづらい
パッド面は細かな突起が施され、ざらざらとした指触りが気になる

●基本スペックはCULV薄型ノートとして標準的

 UX30の基本スペックは、最近多数登場しているCULV薄型ノートとほぼ同等だ。CPUは、超低電圧版Core 2 Duo SU9400(1.40GHz)、チップセットはIntel GS45 Expressをそれぞれ採用。メインメモリは、PC2-6400 DDR2 SDRAMを標準で3GBで、オンボードで1GB、SO-DIMMが2GBが搭載されている。HDD容量は320GB。無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANと、Bluetooth 2.1+EDRを標準搭載。また、1000BASE-T対応の有線LANも内蔵する。

 側面のポート類は、左側面にMini VGAおよびHDMIの2系統の映像出力と、1000BASE-T対応の有線LAN、USB 2.0×1を、右側面にヘッドフォン出力およびUSB 2.0×2をそれぞれ用意。Mini VGAコネクタは、付属のミニD-Sub15ピン変換コネクタを利用することで、アナログRGB出力が可能となる。これらポートは、冒頭でも紹介したようにフタで隠されている。本体正面に用意されているSDカードスロットはフタで隠されていないが、ダミーカードを取り付けることで目立たないように工夫されている。

 OSは、Windows Vista Home Premiumを採用し、Windows 7優待アップグレードキャンペーンの対象となっている。ASUSTeK製の一部のマザーボードやUX50Vなどでも採用されている、Device VM社開発のLinux OS「Splashtop」をベースとした「ASUS Express Gate」も搭載する。

 付属のACアダプタは、このクラスのノートPCに付属するものとしては非常に小型のものとなっている。重量も電源ケーブル込みで196g(実測値)と軽量だ。ただ、やや発熱が大きい点は気になった。

左側面には、Mini VGA、HDMI、1000BASE-T対応の有線LAN、USB 2.0×1の各ポートが用意されているMini VGAポートは、付属のミニD-Sub15ピン変換アダプタを利用することで、アナログRGB出力が行なえる右側面には、ヘッドフォン出力と、USB 2.0×2が用意されている
本体正面には、SDカードスロットを用意。また、横のスリットはスピーカで、Altec Lansing製のステレオスピーカーが搭載されている付属のACアダプタは非常に小型で、携帯性に優れる。ただし利用時の発熱の多さは少々気になるACアダプタは、電源ケーブル込みで196gと軽い
USB接続の光学式マウスも付属する

●ネットブックよりスペックを重視する人におすすめ

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.0」と「PCMark05 Build 1.2.0」、「3DMark06 (Build 1.1.0)」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の4種類。比較用として、ASUSTeKのUシリーズ上位モデルとなる「UX50V」の結果を加えてある。

 結果を見ると、外部GPUとしてNVIDIA GeForce G105Mを搭載していることもあり、UX50Vの方がグラフィック関連の結果がかなり優れている。また、メモリやCPUの結果もUX50Vの方が若干ながら優れているようだ。これは、UX30ではオンボード1GB+2GB SO-DIMMという、メインメモリ搭載量の違いが要因と考えられる。とはいえ、その差は小さく、体感差はほとんどないと言っていいだろう。当然だが、ネットブックと比べるとパフォーマンス差はかなり大きく、実際に利用していても、ネットブックのような処理の重さを感じるシーンは非常に少なく、非常に快適だ。

【ベンチマーク結果】

ASUS UX30ASUS UX50V
CPUCore 2 Duo U9400(1.40GHz)Core 2 Duo U9400(1.40GHz)
チップセットIntel GS45 ExpressIntel GS45 Express
ビデオチップGMA 4500MHDGeForce G105M
メモリPC2-6400 DDR2 SDRAM 3GBPC2-6400 DDR2 SDRAM 4GB
OSWindows Vista Home Premium SP2Windows Vista Home Premium SP2
PCMark Vantage Build 1.0.0
PCMark Suite23732554
Memories Suite13401663
TV and Movies Suite20762079
Gaming Suite13882250
Music Suite24592605
Communications Suite23182330
Productivity Suite21462187
HDD Test Suite30203400
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score33664004
CPU Score34753690
Memory Score33723689
Graphics Score14542895
HDD Score47114854
3DMark06 Build 1.1.0
3DMark Score6571880
SM2.0 Score206736
HDR/SM3.0 Score256665
CPU Score12131288
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
Low21796103
High14924165
Windows Vistaパフォーマンス評価
プロセッサ4.64.6
メモリ4.94.9
グラフィックス3.23.6
ゲーム用グラフィックス3.34.7
プライマリハードディスク5.55.8

付属の省電力ユーティリティ「Power4Gear」。CPUや内蔵デバイス、ディスプレイ輝度など細かな省電力設定が行なえる

 次に、バッテリ駆動時間のチェックだ。こちらは、UX30に付属する省電力ユーティリティ「Power4Gear」を利用し、フルパワー動作となる「HighPerformance」モードに設定するとともに、液晶バックライトも最高にし、無線機能も全て有効にした状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させた場合と、Power4Gearで最も省電力となる設定の「Battery Saving」にセットするとともに、液晶のバックライト輝度は約40%に、無線機能は無線LANのみを有効にした状態で、海人氏製作のバッテリベンチマークソフト「BBench V1.01」を利用し、Web巡回とキー入力をONにして測定した場合の2通りを行なった。

 結果は、HighPerformanceモード時が約1時間59分、Battery Savingモード時が約4時間27分であった。フルパワー時にはさすがに2時間弱とかなり短くなってしまったが、省電力モード時には約4時間半と、フルパワー時の2倍以上の駆動時間が確認された。最近では、駆動時間が10時間を超えるモバイルノートが登場していることを考えると、少々見劣りするのも事実だが、省電力モードで4時間半の駆動時間があれば、モバイルノートとして納得できる範囲内で、十分満足できる。

 ちなみに、バッテリはリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、取り外しや交換は行なえない。大容量バッテリの搭載や、予備バッテリへの交換などが行なえない点は少々残念だ。

 UX30は、実売価格が99,800円前後。CULVノートにはより安価な製品もあるが、超低電圧版Core 2 Duoを搭載するCULVノートとしては最も安価な部類であり、価格的な魅力があるとともに、スタイリッシュかつ薄型・軽量なボディも大きな魅力がある。個人的には、タッチパッドの使い勝手は改善の余地があると感じたが、それ以外は大きな不満はなく、全体的には十分おすすめできる製品という印象だった。ネットブックよりもパワーは必要だが、コストパフォーマンスも重視してモバイルノートを選択したいという人なら、選択肢として考慮すべき製品と言える。

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(2009年 10月 14日)

[Text by 平澤 寿康]