Hothotレビュー
コンパクトで高性能。eスポーツに最適なユニットコム「ガチくんに!」コラボゲーミングPC
2018年9月28日 11:00
今回取り上げるのは、ユニットコムのゲーミングPCグランド「LEVEL∞」で展開されている「LEVEL-C0B6-i7-TXR-IeC」。この製品は、好評配信中のeスポーツ配信番組「ガチくんに!」コラボゲーミングPCだ。視聴されたことがある方はピンとくるかもしれない。配信で使われているあのコンパクト・ゲーミングPCだ。
LEVEL∞には採用する筐体ごとにいくつかのモデルがあるが、LEVEL-C0B6-i7-TXR-IeCは「C-Class」に属するモデル。デスクトップ型のゲーミングPCの定番は、やはり拡張性豊富なATXモデルであるが、ここ数年、小型でコンパクトかつゲーミングPCとしての性能にも妥協しないモデルが続々と登場している。
コンパクトという定義自体はやや曖昧だが、LEVEL∞のC-Classなら机の上に置いてもこじんまりと収まり、一方でIntelの最上位のCPU、NVIDIAの最上位GPUを搭載できるほどに性能も追求できる。
「ガチくんに!」で取り上げているゲームががストリートファイターVとあって、コラボモデルについては価格と性能を調整しており、Core i7-8700+GeForce GTX 1070 Ti搭載ビデオカードを採用している。BTOに関するオプションも若干調整されているようだ。ただ、このスペックなら格闘ゲームはもちろん、そのほかのeスポーツタイトルを楽しむ用途も十分にカバーできる。
インパクトあるデザインなのになぜかしっくり馴染むコンパクト筐体
筐体サイズは幅177mm、奥行き388mm、高さ296mm。ATXミドルタワーのR-Classを例に挙げれば、幅190mm、奥行き477mm、高さ432mmなので、高さだけでなく幅や奥行きについてもC-Classはコンパクトだ。机の上に置いたさいも、天板の位置は水平の目線よりも下になる。PC部屋もより広く感じられるだろう。
C-Classで特徴的なのが前面パネルの造形。左右非対称デザインで、左はブラック、右はシルバーの色分け。そして下部の左寄りに、そこを中心に盛り上がる丸い給気口が設けられており、ここが一見するとエジプト神話の「ホルスの目」のようでもある。造形的にはこのように独特なのだが、カラーリング的には落ち着きがあり、一般的なプライベートルームにもなかなか馴染みこむように思える。
前面インターフェイスは、本体右側面手前に縦に配置されている。電源ボタン、USB 3.0×2、ヘッドフォン、マイク端子といった並びだ。背面は左寄りにI/Oパネル、下にビデオカード、そしてI/Oパネル横に9cm角ファンがあり、そのすぐ上に電源用のコンセントがある。つまりマザーボードは一般的なケースと同様の配置で、ビデオカードについても小型ケースにありがちなライザを介した配置ではないことが分かる。また、電源は一般的なケースのように背面で固定する配置ではない。
天板はほぼフラットで、わずかに設けられた段差の部分が通気口となっているようだ。フラットなので物を置くこともできる。また、底面は内部のビデオカードの長さプラスαといった長さの通気口が設けられ、スライド式フィルターが装着されている。ビデオカードの冷却は主にこの通気口が用いられる。
左右側板はともにメッシュ仕様だ。筐体が小さいと理論上では大型筐体と比べると温まりやすい。そこをメッシュの通気口で外気を取り入れ、あるいは内部の熱を外部に放出している。ケースの6面すべてを見てきたが、全体的に非常に高い通気性を目指した設計だ。通気性がよければ、ケースが小さいことのハンデを克服して、高性能なパーツを搭載できる。
小さいのにメンテナンス性がよく、ストレージベイがとにかく充実
左右側板は一般的なPCケースと同様、後部のネジ(片側2本ずつ)を外してスライドさせて開くことができる。手回しネジが採用されているので、取り外しは簡単だ。
左側板を取り外してすぐにあるのは、縦にレイアウトされたストレージトレイ。トレイの背面寄り半分は12cm角ファンを搭載。ちょうどCPUクーラーの直上で、効率的に冷却できる。前寄り半分はストレージベイ。ここに3.5インチ1基と2.5インチ2基のシャドウベイが用意されおり、標準構成では3.5インチHDD×1基、2.5インチSSD×1基が搭載されていた。
ストレージトレイはネジ3本で固定されており、これを外せば上辺を軸に跳ね上げられ、マザーボード搭載スペースにアクセスできる。一般的なATXケースよりはひと手間あることは確かだが、サイズの割に手間は少ない。市販の小型PCケースのほうが複雑な構造をしていることも多いからだ。
手間を減らしているのはケース内部前方寄りにATX電源を置くレイアウトだろう。小型PCケースではCPUクーラーの真上に電源をレイアウトするものもある。その場合、電源を固定するネジ4本を外さなければマザーボードまでたどり着けない。ストレージトレイは電源よりも軽く、軸を設けている分簡単に脱落することもない。このように非常にメンテナンス性がよい点が印象に残った。
マザーボードはMini-ITXのものを採用している。このPCを検討する場合、ここがポイントになるだろう。Mini-ITXの拡張スロットはPCI Express x16が1本のみで、本製品の場合はここにビデオカードが搭載されているので、これ以上拡張カードは搭載できない。
もっとも、今現在は多くの周辺機器がUSBを通じて接続できる。ストレージはもちろんオーディオ機能などもUSB接続が一般的になってきているため、そこまでハンデはないのだが、拡張カードを挿したいという考えがあるならLEVEL∞でも、ほかのClassを検討するのがよい。
電源にATX電源を採用しているのはコストに配慮してだろう。小型PCケースでは、ATX電源よりも小さなSFX電源を用いることが多いが、ATX電源と比べると選択肢が少なく割り高である。本製品では、ATX電源のなかでも、奥行きの短めのタイプ、少し変換効率のよい80PLUS Bronze認証、コストを抑えたケーブル直付けタイプ、そして出力はハイエンドビデオカード1本に対応できる500Wのものを採用している。
ケーブルは直付けで、本筐体の場合は裏面配線スペースもないのだが、比較的キレイにまとまっていた。1本1本バラしたケーブルは柔軟で、要所要所はケーブルタイでまとめられている。
なお、GeForce GTX 1080 Ti搭載モデルもラインナップにあるように、PCI Express補助電源コネクタは6+2ピン+8ピンの構成だ。もし、将来的にビデオカードを交換する場合も、ある程度のハイエンドまで対応できる。もっとも、ビデオカードの高さ方向にそこまで余裕がないので、リファレンスカードが無難だろう。
ケース内前方には、縦に配置するスリム光学ドライブベイがあり、必要ならここに搭載することができる。天板はスライドできる構造になっているのはこのためだ。また、このスリム光学ドライブを使わない場合には、2.5インチシャドウベイとしても利用できる。この時点で3.5インチベイが1基、2.5インチベイが3基、さらにマザーボードベースの裏のスペースにも2.5インチシャドウベイがあり、合わせて4基、加えてマザーボード上にM.2スロットもあるため、ストレージで困ることはそうそうないだろう。
高性能かつコストに優れたパーツ構成。普段の作業、eスポーツはもちろん最新ゲームまで
製品型番 | LEVEL-C0B6-i7-TXR-IeC |
---|---|
OS | Windows 10 Home |
CPU | Core i7-8700(3.20~4.60GHz、6コア/12スレッド) |
GPU | GeForce GTX 1070 Ti |
メモリ | PC4-21300 DDR SDRAM(DDR4-2666) 16GB(8GB×2 デュアルチャネル) |
マザーボード(チップセット) | Intel B360チップセット搭載 |
ストレージ | Cドライブ:250GB SSD(Serial ATA 3.0)+Dドライブ:1TB HDD(Serial ATA 3.0) |
光学ドライブ | なし |
インターフェイス | USB 3.1×2(Type-A×2[背面])、USB 3.0×4(Type-A×2[背面]、Type-A×2[前面])、PS/2×1、HDMI×1、DisplayPort×3、DVI-D×1、1000BASE-T、オーディオ入出力 |
本体サイズ | 177×388×296mm |
税別価格 | 169,980円(執筆時点) |
搭載パーツの詳細を見ていく。まずCPUは前述のとおりCore i7-8700。「K」の付かないOC非対応モデルだが、安定性重視、定格運用が重要なゲーミングPCでコストと性能を両立させるならよい選択だ。クロックも若干抑えられているが、6コア12スレッドの性能はゲームを楽しむ上で十分だ。
CPUクーラーはトップフロー型。ストレージトレイもあるので高さを抑えたトップフローがベストな選択だろう。
評価機のマザーボードはASRock製で、チップセットはIntel B360だ。Intel Z370チップセット搭載モデルよりもコスト的にメリットがあり、一方で本製品はOC対応CPUではないのでちょうどよいのではないだろうか。SATAポートは4ポート搭載されている。先程、3.5インチベイが1基、2.5インチベイが4基(うち1基はスリム光学ドライブベイ)あると紹介したが、そのまま利用できるのは4台が上限となる。
メモリはDDR4-2666のスタンダードモジュールで、8GB×2枚の構成だ。コストを抑えたDDR4-2400ではなく、しっかりサポート上限のDDR4-2666であるところがよい。
一応、購入後にメモリ交換をする場合に備えて1つ指摘しておくと、本製品ではマザーボード上のCPUソケットとメモリスロットの間隔はATXマザーボード等と比べて狭いため、あまり大きなヒートシンクのメモリは、CPUクーラーと干渉する可能性もある。それ以外はMini-ITXマザーボードであるため2スロットしかない点が注意点だ。つまり16GB×2枚の32GBが上限となる。
ビデオカードはMSI製でリファレンスカードに近いデザインのGeForce GTX 1070 Tiカードが搭載されていた。GeForce GTX 1070 Tiは、GTX 1080とGTX 1070の中間に位置するGPUで、ややGTX 1080寄りの性能が得られる。GeForce GTX 1080 Tiは4Kゲーミングを視野に入れたGPUであるのに対し、GTX 1070 TiはフルHD・高画質設定でのゲーミングがメインになる。
SSDは250GBのWD Blue 3D NAND SATA SSDが、HDDは1TBでSeagate ST1000DM010が搭載されていた。どちらもSATA接続だ。とはいえSSD側はOSを搭載した状態でシーケンシャルリードが558MB/s、同ライトが523MB/s、ランダム4K Q1T1もリード29MB/s、ライト54MB/sと、十分に速いレスポンスが得られている。
eスポーツはもちろん、1,920×1,080ドットでは主要タイトルほとんどで60fpsを満たせる性能
それでは、今回の評価機によるベンチマークスコアを見ていこう。まずは「PCMark 10」、「3DMark」、「VRMark」、「CINEBENCH R15」といったソフトで基本性能をチェックした。
PCMark 10については、7000ポイント台半ばというCore i7-8700とGeForce GTX 10770 Tiによる高いスコアが得られた。CPUが効くテストでは動作クロックの分Core i7-8700K搭載モデルなどと比べるとわずかに低いが、そこが体感できるのはごく限られたアプリケーションになるだろう。
3DMarkもGeForce GTX 1070 Tiカード搭載機としてのスコアが出ている。GeForce GTX 1080のスコアに近く、フルHDまでのテストでは十分なスコアが得られている。4KテストはGeForce GTX 1080 Tiと比べるとやや低いものの、ここは組み合わせるディスプレイや、価格とのバランスで決断したい。
VRMarkも高いスコアで、負荷の軽いOrange Roomは10000ポイントを超えていた。
CINEBENCH R15についても十分に高いスコアである。小型PCということで、冷却およびそれに関するブーストの動作を注視してみたが、通気性がよいこともあり、十分にターボブーストが効いているようだ。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.1.1739 | |
Extended Score | 7322 |
Essentials | 8625 |
App Start-up Score | 11412 |
Video Conferencing Score | 6181 |
Web Browsing Score | 9099 |
Productivity | 7868 |
Spreadsheets Score | 9757 |
Writing Score | 6345 |
Digital Content Creation | 8143 |
Photo Editing Score | 8958 |
Rendering and Visualization Score | 10624 |
Video Editing Score | 5675 |
Gaming | 14057 |
Fire Strike Graphics Score | 19064 |
Fire Strike Physics Score | 17728 |
Fire Strike Combined Score | 8677 |
3DMark v2.5.5029 | |
TimeSpy Extreme | 2977 |
TimeSpy Performance | 6506 |
FireStrike Ultra | 4696 |
FireStrike Extreme | 8672 |
FireStrike Performance | 16890 |
SkyDiver Performance | 39063 |
CloudGate Performance | 36677 |
IceStorm Unlimited | 196839 |
IceStorm Extreme | 156327 |
IceStorm Performance | 169244 |
VRMark | |
Blue Room | 1982 |
Cyan Room | 5281 |
Orange Room | 10280 |
CINEBENCH R15 | |
Rendering (Multiple CPU) | 1055.33cb |
Rendering (Single CPU) | 189.48cb |
続いて、実際のゲームタイトルのビルトインベンチマークを試し、映像の感触を紹介しよう。利用したのは「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「Assassin's Creed Origins」、「Far Cry Primal」、World of Tanksのベンチマークである「World of Tanks enCore」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」。
まずTom Clancy's Ghost Recon WildlandsとAssassin's Creed Originsについて。平均フレームレートで60fpsを超え快適ラインに入るのは、1,920×1,080ドットの最高画質設定といったところだ。Far Cryも同様だ。1,920×1,080ドット、最高画質なら100fpsを超えて余裕がある。このくらい負荷の高いタイトルで、1,920×1,080ドットが最高画質かつ60fpsを満たせるため、主要なeスポーツタイトルは勝ち抜きに求められる120fpsを満たすことができるだろう。
World of Tanks enCoreも、3つのプリセットとも「高い性能・レーティング」が得られている。カスタム設定で超高画質準拠、3,840×2,160ドット解像度で試してみたが、それも「高い性能・レーティング」評価だった。
かなり負荷の重いFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク。3,840×2,160ドットは軽量品質でやっと「やや快適」、標準品質では「普通」といった評価にとどまるが、1,920×1,080ドットなら高品質で「快適」評価が得られた。1つ古いファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークなら、3,840×2,160ドットのどの設定も「とても快適」以上が得られている。
ゲームベンチ結果 | |
---|---|
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands | |
3,840×2,160ドット、「ウルトラ」画質 | 26.60fps |
3,840×2,160ドット、「非常に高い」画質 | 36.89fps |
3,840×2,160ドット、「高」画質 | 41.53fps |
3,840×2,160ドット、「中」画質 | 45.28fps |
3,840×2,160ドット、「低」画質 | 62.69fps |
1,920×1,080ドット、「ウルトラ」画質 | 57.00fps |
1,920×1,080ドット、「非常に高い」画質 | 85.66fps |
Assassin's Creed Origins | |
3,840×2,160ドット、「最高」画質 | 33fps |
3,840×2,160ドット、「超低」画質 | 56fps |
1,920×1,080ドット、「最高」画質 | 76fps |
Far Cry Primal | |
3,840×2,160ドット、「最高」画質 | 38fps |
3,840×2,160ドット、「低い」画質 | 53fps |
1,920×1,080ドット、「最高」画質 | 101fps |
World of Tanks enCore | |
超高品質(1,920×1,080ドット、TSSAA HQ) | 26744 |
中品質(1,920×1,080ドット、AAなし) | 54097 |
最低品質(1366×768ドット、AAなし) | 109975 |
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク | |
3,840×2,160ドット、高品質 | 2974(やや重い) |
3,840×2,160ドット、標準品質 | 3437(普通) |
3,840×2,160ドット、軽量品質 | 4773(やや快適) |
1,920×1,080ドット、高品質 | 7176(快適) |
1,920×1,080ドット、標準品質 | 9294(とても快適) |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク | |
3,840×2,160ドット、最高品質 | 5705(とても快適) |
3,840×2,160ドット、高品質(デスクトップPC) | 6442(とても快適) |
3,840×2,160ドット、標準品質(デスクトップPC) | 12316(非常に快適) |
小型で高性能、長期的なコストも抑えられるところが魅力
このように、1,920×1,080ドットまでに限れば、比較的新しいタイトルでも60fps超の快適なプレイが見込める。多少負荷の軽いタイトルでは3,840×2,160ドットでも60fps超が得られる。そして、本製品の狙うeスポーツタイトルなら120fps超が狙える。こうした性能をここまで小型の筐体で実現しているのが本製品の魅力である。筆者が昨今のPCならMini-ITXサイズで十分という視点にあるため多少バイアスがかかっていることは承知だが、そうした小型PC好きの胸にはズキュンと刺さるゲーミングPCだ。
もう1つ挙げるなら、価格と将来的なアップグレードを見越した場合のコストについても触れておきたい。一般的に小型のPCはSFX電源をはじめ特殊なパーツを選び抜いて高価になりがちだ。そこをマザボード以外ではATX準拠のパーツとすることで、価格上昇を抑え込んでいる点にも本製品の魅力がある。ATX準拠であることは、169,980円に抑えられた初期投資に加え、今後長く使っていくなかでも、選択肢が豊富でパーツ交換コストも抑えられるメリットがある。
全体的に小型PCとしては非常によくまとめられているので、プライベートルームに置くゲーミングPCとして非常によい選択となるのではないだろうか。