平澤寿康の周辺機器レビュー

Crucial 「RealSSD C300」追加検証
~AMD 890GXの内蔵SATA 6Gbps経由で最も高速に



RealSSD C300



 前回、SATA 6Gbps対応の、Crucial製高速SSD「RealSSD C300」を取り上げ、パフォーマンスを検証した。その時には、SATA 6Gbps拡張カードを利用して検証を行なったが、今回SATA 6Gbpsを内蔵するAMD製チップセット「AMD 890GX」搭載マザーボードを入手したので、そちらを利用して再度RealSSD C300のパフォーマンスを検証してみることにした。

●SATA 6Gbps対応チップセット「AMD 890GX」で速度をチェック

 AMDの最新チップセットである「AMD 890GX」は、DirectX 10.1対応のグラフィックス機能「Radeon HD 4290」が統合されているという点が最大の特徴だが、それ以外にもう1点大きな特徴がある。それは、AMD 890GXと組み合わせて利用されるサウスブリッジ「SB850」に、SATA 6Gbps(SATA 3.0)が6ポート内蔵されているという点だ。つまり、AMD 890GX+SB850の組み合わせは、SATA 6Gbpsを標準サポートする初のチップセットでもあるわけだ。

 SATA 6Gbpsがチップセットに内蔵されているため、ボトルネックとなる部分がなくなり、拡張カードを利用するよりもSATA 6Gbps対応のHDDやSSDの速度を引き出しやすくなる可能性が高い。そこで、SATA 6Gbps拡張カード経由で接続した場合と比較して、速度に違いがあるか検証してみることにした。

 今回用意したAMD 890GX搭載マザーボードは、ASUS製の「M4A89GTD PRO/USB3」だ。このマザーボードに、CPUはPhenom II X4 965 Black Edition、メモリはPC3-10600 DDR3 SDRAMを4GB(2GB×2)を組み合わせて検証を行なった。詳しいテスト環境は下に示す通りである。

 また今回は、AMD 890GX搭載マザーボードだけでなく、Core 2世代のチップセット「Intel P45 Express」に内蔵されているSATA 3Gbpsポートに接続した場合の速度と、PCI Express 1.1準拠のPCI Expressスロットに取り付けたPCI Express x1仕様SATA 6Gbps拡張カード「玄人志向 SATA3I2-PCIe」経由の速度も同時に計測してみた。それらのテスト環境は下に示す通りだ。

【表】テスト環境

オンボードSATA 6GbpsオンボードSATA 3Gbps(PCIe 1.1)オンボードSATA 3Gbps(PCIe 2.0)
CPUPhenom II X4 965 Black EditionCore 2 Quad Q8200Core i5 750
マザーボードASUS M4A89GTD PRO/USB3GIGABYTE EP45-UD3RIntel DP55KG
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×2PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
グラフィックカードAMD 890GX内蔵 Radeon HD 4290Radeon HD 2400 PRORadeon HD 4670
HDDWestern Digital WD3200AAKS(OS導入用)
OSWindows 7 Ultimate

●AMD 890GX内蔵SATA 6Gbps経由で最も高速なデータ転送速度を確認

 今回利用したベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 3.0と、HD Tune Pro 3.50の2種類だ。

 ではまず、CrystalDiskMark 3.0の結果から見ていこう。結果を見ると一目瞭然だが、AMD 890GX内蔵のSATA 6Gbpsポート経由の結果が最も高速となっており、シーケンシャルリードは最高で341MB/sec、シーケンシャルライトは最高で221MB/secに達している。当初の予想どおり、拡張カード経由よりもチップセット内蔵機能経由の方が高速ということが確認できた。

SATA 6Gbpsでの100MBの結果SATA 3Gbps(P45)での100MBの結果SATA 3Gbps(P55)での100MBの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での100MBの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での100MBの結果
SATA 6Gbpsでの1000MBの結果SATA 3Gbps(P45)での1000MBの結果SATA 3Gbps(P55)での1000MBの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での1000MBの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での1000MBの結果
SATA 6Gbpsでの4000MBの結果SATA 3Gbps(P45)での4000MBの結果SATA 3Gbps(P55)での4000MBの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での4000MBの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での4000MBの結果

 この傾向は、HD Tune Pro 3.50の結果でも同じで、AMD 890GX内蔵SATA 6Gbps接続時の最高速度は、CrystalDiskMark 3.0の結果とほぼ同じとなっている。

SATA 6Gbpsでの64KB Readの結果SATA 3Gbps(P45)での64KB Readの結果SATA 3Gbps(P55)での64KB Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での64KB Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での64KB Readの結果
SATA 6Gbpsでの64KB Writeの結果SATA 3Gbps(P45)での64KB Writeの結果SATA 3Gbps(P55)での64KB Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での64KB Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での64KB Writeの結果
SATA 6Gbpsでの512KB Readの結果SATA 3Gbps(P45)での512KB Readの結果SATA 3Gbps(P55)での512KB Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での512KB Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での512KB Readの結果
SATA 6Gbpsでの512KB Writeの結果SATA 3Gbps(P45)での512KB Writeの結果SATA 3Gbps(P55)での512KB Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での512KB Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での512KB Writeの結果
SATA 6Gbpsでの8MB Readの結果SATA 3Gbps(P45)での8MB Readの結果SATA 3Gbps(P55)での8MB Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での8MB Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での8MB Readの結果
SATA 6Gbpsでの8MB Writeの結果SATA 3Gbps(P45)での8MB Writeの結果SATA 3Gbps(P55)での8MB Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1での8MB Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0での8MB Writeの結果
SATA 6GbpsでのRandom Readの結果SATA 3Gbps(P45)でのRandom Readの結果SATA 3Gbps(P55)でのRandom Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1でのRandom Readの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0でのRandom Readの結果
SATA 6GbpsでのRandom Writeの結果SATA 3Gbps(P45)でのRandom Writeの結果SATA 3Gbps(P55)でのRandom Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 1.1でのRandom Writeの結果SATA 6Gbpsカード+PCIe 2.0でのRandom Writeの結果

 1つ注目したいのが、SATA 6Gbps拡張カードをPCI Express 1.1に挿した時と、PCI Express 2.0に挿した時の差だ。特にシーケンシャルライトとランダムライトが大幅に向上している。とはいえ、マザーボードのSATA 3Gpbs経由よりも遅く、SSD本来のパフォーマンスが引き出されていないだけと考えた方がいい。SATA 6Gbps拡張カード経由でも読み出し速度はSATA 3Gbpsの上限を超える速度なので、書き込み速度が遅いのは、単純に拡張カードを経由することによるボトルネックが存在するということではなく、ドライバに起因するものと考えた方が自然だろう。

 Intel P45 Express内蔵のSATA 3Gpbsポートは、Intel P55 Express内蔵SATA 3Gbpsポートとほぼ同等の速度が発揮されていることがわかる。読み出し速度はRealSSD C300の最大性能を引き出せないものの、十分な高速性は発揮できている。

 それに対し、PCI Express x1仕様のSATA 6Gbps拡張カードをPCI Express 1.1準拠のPCI Expressスロットに取り付けた場合には、速度が大きく落ち込んでしまった。これなら、マザーボードのSATA 3Gpbsポートに接続した方がマシで、SATA 6Gbps拡張カードを取り付ける意味が完全に失われてしまう。PCI Express x1仕様のSATA 6Gbps拡張カードを利用する場合には、必ずPCI Express 2.0対応スロットに取り付けて利用するべきだ。

 今回の結果から、AMD 890GX内蔵のSATA 6Gbpsは、ドライバも含めたサブシステム全体のポテンシャルが十分に高いと考えて良さそうだ。現状では、SATA 6Gbps拡張カードにはボトルネックがあるようなので、RealSSD C300のような、SATA 3Gpbsのデータ転送速度の上限を超す性能を最大限引き出したいと考えているなら、AMD 890GX搭載マザーボードはもっとも良い選択肢の1つと言える。

バックナンバー

(2010年 4月 14日)

[Text by 平澤 寿康]