大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」
【新春恒例企画】2026年のPC産業は「PC Watch」が羅針盤に!?
2026年1月7日 06:08
2025年のIT・エレクトロニクス産業は、AIの活用が、さらに進展した1年となった。
AIの活用というと、外国語の翻訳や、文書の要約、挨拶文の作成などの活用に留まっていたが、2025年は、実際のビジネスにAIを活用するケースが増加。AIがビジネスや生活に浸透していることを実感する1年となった。
冒頭から、話がやや脱線気味になるが、2025年2月に、日本マイクロソフトが公開した日本ハムのAI活用の事例は、AI時代の本格的な到来を強く感じたことを思い出す。
日本ハムでは、大手コンビニチェーン向けプライベートブランド商品の開発を行なう際に、生活者へのインタビュー調査やアンケート調査を行ない、「N1分析」という手法を用いて、商品開発のヒントを得たり、コミュニケーションアイデアの創出につなげたりし、それをもとに新製品の提案をしていた。そのためには、500~1,000人を対象に調査を行ない、信ぴょう性の高いデータを導き出すために、1~2カ月の期間を要し、多くのコストもかけていたのである。これは、新商品の開発を行なう際に、多くの企業が共通して実施している手法ともいえる。
そうした中、日本ハムでは、生活者のデモグラフィックのほか、生活傾向、購買傾向など、70~80項目に渡って蓄積したデータをもとに、約3万人のプロファイルから、擬似人格をAIで生成。ここに質問をすれば、商品ターゲットとしたい属性に基づき、最適な1,000人を抽出し、わずか45分で調査を完了させ、コストもわずか100円強で済むという驚くべき事例を明らかにしたのだ。
調査する相手はAIなので、質問項目が増えても、途中で離脱することなく、全員が最後までしっかりと回答してくれるというメリットも見逃せない。そして、分析結果をもとに、実際に提案した商品は好調な売れ行きを見せ、商談の成約率を向上させたという実績も出ている。
こうしたAIによる仮想ペルソナの活用は、日本ハムだけでなく、すでにNTTや富士通などが一般企業に提案できる段階まできている。
これは、AIがビジネスに活用されている一例に過ぎない。2025年は、こうした実用的な事例が、社会や企業、生活に、ジワジワと浸透した1年であったことは間違いない。知らないところでAIは、かなり深いところにまで社会や企業、生活に浸透しているといっていいだろう。
キーワードはImpress PC Watch?
では、2026年は、どんな1年になるのだろうか。
毎年恒例となっているこの企画を通じて、言葉遊びによって今年1年を占ってみたい。
2026年の言葉は、なにか――。
それはズバリ、「Impress PC Watch」である。
つまり本誌そのものだ。果たして、どんな2026年のトレンドが、「Impress PC Watch」の中に、どのように埋め込まれているのだろうか。
今年も例年通りに、気軽な気分でお付き合いをいただきたい。
最初のImpressは?
まずは、Impressの「I」である。
ここでは、NTTが推進している「 IOWN 2.0 」を挙げておきたい。
IOWN1.0では、100Gbpsの専用線サービスなど、APN(オールフォトニクス・ネットワーク)として提供されたが、IOWN 2.0では、コンピュータ内部に使用する光電融合デバイスに技術を適用。NTTでは、光電融合スイッチを2026年に製品化することを明らかにしている。
PEC-2(Photonics-Electronics Convergence-2)の光電融合デバイスにより、ボード間の接続を光配線に置き換えることで、102.4Tb/sでの転送が可能になる。これは、最新のGPU間の通信速度である14.4Tb/sに比べても7倍以上の大容量であり、AI処理にも十分な性能を発揮。さらに、従来に比べて、8分の1の消費電力で動作する。NTTでは、まずは、月間5,000個の能力を持つ生産ラインを稼働させる考えだ。
IOWNは、2028年にはIOWN 3.0(PEC-3)として、CPUやGPUのパッケージ間を光接続へと進化させた光電融合デバイスを実現することになる。
2つ目は「M」だ。ここでは、昨今の メモリ価格の上昇 について取り上げたい。
本誌でも既報の通り、メモリおよびSSDの価格は、2025年後半から急上昇しており、2026年もこの傾向は続くと見られている。
メモリは、AIサーバー向け需要の急増によって供給が逼迫しており、これが、法人向けPCや個人向けPCの部材不足にも直結。データセンター向けのHBMメモリの需要が伸長していることにつられて、DDRの需要も増加しているという状況が生まれている。また、DDR4からDDR5への立ち上げおよび移行時期にあたり、供給が逼迫しやすいサイクルの中にあることも理由の1つとして見逃せない。
そして、その影響を受けているのがPC本体価格の上昇である。これも本誌で既報のように、約6割のPCメーカーが、2026年春までに値上げの意向を明らかにしている。PCメーカー各社のコメントをまとめると、10%以上の値上げは必至との見方が支配的だ。
また、部材不足の影響も深刻であり、品不足が国内PC市場の落ち込みに拍車をかけるとの予測も出ている。国内PC市場において、2026年の価格動向は最も注視しておくべき事象といえるだろう。
「P」については、インテルの新たなCPUである「 Panther Lake 」に注目したい。
Panther Lakeは、Intel 18Aプロセスを採用した最新CPUで、米国で製造されるCPUとして、初めて2nmを実現することになる。
2026年早々から、Core Ultraシリーズ3としてノートPCなどに搭載されるのにあわせて、インテル日本法人では、「優れたAI PCは優れたPCから始まる」とのメッセージで、積極的なプロモーションを展開することになる。「AI PC」の普及に弾みをつけ、PCおよびエッジ市場をリードできるかどうかがポイントだ。
そして、2025年3月からスタートしているリップ・ブー・タンCEOによるインテルの経営改革への取り組みが、2026年はどんな成果となって表れるのかといった点にも注目が集まる。
「R」では、 ロボティクス の動きがポイントになる。
米国や中国では、ヒューマノイドロボットの開発が進んでいるが、日本では、清掃ロボットや配膳ロボット、あるいは産業用途で利用されるアームロボットで先行しており、2026年は、ロボットの社会実装が、より進展する1年になるのは明らかだ。
日本では、労働人口不足が大きな課題となる中で、製造分野やサービス分野などを中心に、人とロボットが協調作業する領域での社会実装が進むことになり、社会課題の解決手段としても有効性が期待されている。
また、「R」という点では、 Rapidus (ラビダス)の動きにも注目しておきたい。2027年度には、2nmでの量産を開始する予定であり、それに向けて、2026年春には、チップレットのパイロットライン立ち上がる予定を公表している。量産に向けた準備が急ピッチで進められる1年になるだろう。日本の半導体産業の復活の狼煙(のろし)をあげる象徴的な動きになる。
「E」は、 EOS (サポート終了)を、挙げておきたい。
「いやいや、Windows 10のEOSは、2025年10月14日に終わっているよ」と思う読者もいるだろう。
実は、2026年も、いくつかのEOSを控えているので注意が必要だ。
身近なところでは、Microsoft Office 2021のサポートが、2026年10月13日に終了する。2025年10月にOffice 2019のサポートが終了した際に、Office 2021のユーザーは対象外だと安心したかもしれないが、今年は移行の準備をしなくてはならない。サポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムの提供が停止され、ウイルス感染や情報漏洩のリスクが高まるので注意が必要だ。
そのほかにも、教育機関向けノートPCである「Surface Laptop SE」に搭載されたWindows 11 SEが2026年10月に、Windows 10 2016 LTSBやWindows 10 IoT Enterprise LTSB 2016が2026年10月13日に、SharePoint Server 2016やSharePoint Server 2019、SQL Server 2016、Visual Studio 2022などが2026年7月14日に、それぞれサポートを終了する。
「S」は2つ繰り返されるが、最初の「S」では、クアルコムの「 Snapdragon 」を挙げておきたい。通称「スナドラ」は、スマホ向けのCPUとして高い評価を得ているが、Windows PCでは互換性などの問題もあり、敬遠される傾向があったのも事実だ。
だが、日本市場において最大の障壁となっていたジャストシステムのATOKが、2026年2月2日から発売するATOK for Windowsにおいて、Snapdragon Xシリーズに対応することを発表。Arm版Windows 11で、Armネイティブアプリ上での日本語入力が可能になる。
同社でも、グローバルトップ200のアプリのうち、99%以上が動作すると発言し、互換性の問題が解決されていることを強調。さらに、AI PCとして高い性能を実現していることや、長時間駆動のメリット、薄型軽量ノートPCの設計がしやすいこと、高い価格性能比を持ったPCを投入できることを訴求。
将来的には、日本において2桁のシェア獲得を目指す考えを示している。AI PCの普及とともに、台風の目になるのが「Snapdragon」だといえる。
もう1つの「S」では、エンタープライズ領域において関心が高まる ソブリンクラウド を挙げておきたい。
法律や規制への準拠や、経済安全保障の観点からも、政府や企業などが取り扱うデータの主権や、クラウド運用の主権、ソフトウェアの主権を自らが保持し、コントロールできるクラウドサービスであるソブリンクラウドが注目を集めている。世界情勢の不透明さが増す中、ソブリンクラウドの重要性が高まる1年になるのは間違いない。
PC Watchから導き出す2026年のトレンド
後半の「PC Watch」に行ってみよう。
最初の「P」は、なにかと話題の フィジカルAI (Physical AI)を挙げておきたい。
フィジカルAIは、センサーによる『知覚』によってデータを収集し、AIモデルによる『認知』によって分析し、それを、ロボットなどによる『行動』によって、課題を解決するというものだ。製造現場や物流現場、あるいは医療現場のような物理(フィジカル)空間において、センサー、AI、ロボットが連携し、自律的に動作することになる。
業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の漆間啓会長(三菱電機社長CEO)は、2025年12月に行なった会長会見で、「日本のデジタル赤字は、毎年拡大傾向にあるが、現場データや暗黙知を活用したフィジカルAIは、日本が得意とする分野であり、日本の独自性を発揮できれば、デジタル赤字の縮小に貢献でき、海外に進出するきっかけにもなる」と語っている。2026年は、フィジカルAIの社会実装がどこまで進むのかが楽しみだ。
「C」は、 サイバーセキュリティ (Cyber Security)である。
2025年は、アサヒビールやアスクルなど、日本の大手企業をターゲットとしたサイバー攻撃により、システム障害が発生し、情報漏洩や業務停止に追い込まれるといった事象が相次いだ。サイバー攻撃による被害が一企業の問題ではなく、社会活動全体に大きなダメージを与えることが証明された格好だ。2026年は、サイバーセキュリティへの取り組みを、より重視する姿勢が大切だ。
2026年に注目しておきたいのが、「予防型サイバーセキュリティ」の動きである。サイバー攻撃が発生する前にリスクを予測し、未然に防ぐアプローチであり、政府では、能動的サイバー防御の実現に向けた取り組みを強化。2026年には、「サイバー対処能力強化法」と「サイバー対処能力整備法」を施行することになる。サイバーセキュリティへの関心がより高まる1年となりそうだ。
「W」では、さまざまな言葉が当てはまるが、ここではあえて、IT/エレクトロニクス産業以外の言葉を使ってみたい。「W」は、2026年3月5日から開催される「 WBC (ワールド・ベースボール・クラシック)」である。ドジャースの大谷翔平選手などの参加が決定し、早くも盛り上がりをみせているところだ。エレクトロニクス産業が注目しているのは、WBCをはじめとした大規模スポーツイベントが、2026年に相次いで開催される点である。
WBCのほかにも、2月6日から開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピック、6月11日から開幕するサッカーFIFAワールドカップも控えている。大型スポーツイベントは、TV需要の創出に直結するものであり、その点でも期待感が高まっている。
だが、ここで、あえて「WBC」を取り上げたのには理由がある。WBCの全試合がNetflixによる独占中継となり、地上波で試合を楽しむことができない状況になっているからだ。視聴者にとっても大きな話題だが、それ以上に、放送業界には大きな激震が走っている。NetflixによるWBC独占中継により、日本におけるコンテンツ視聴環境が大きく変わる潮目となる可能性は捨てきれない。
「A」では、AIをあげてみたいが、ここでは少し絞り込んで、 AIエージェント および AIデータセンター に注目したい。
AIエージェントは、人が指示をしなくても、AIが自律的に考え、業務を実行し、タスクを完了してくれるもので、AIの進化を象徴するものといえる。2026年は、専門性を持ったAIエージェント同士が連携し、業務を遂行するといった動きが加速することになるだろう。
一方で、高性能GPUサーバーや高速ネットワークを備え、AIの計算処理やデータ解析に特化した「AIデータセンター」は、日本においても、建設ラッシュが進みそうだ。ソフトバンクやKDDIが、大規模なAIデータセンターを稼働させる計画を発表するなど、その動きは、ますます活発化している。AIの広がりとともに、AIデータセンターの設置は急ピッチで進むことになる。ここでは、メガクラウドベンダーの動きも気になるところだが、その一方で、電力問題も大きな課題になりそうだ。
「T」では、 TOPS をあげてみたい。つまり、「AI PC」の動きである。
TOPSはTera Operations Per Secondの略で、1秒間の演算回数を指す指標。マイクロソフトでは、AI PCの定義として、40TOPS(1秒間に40兆回の演算処理)以上の性能を持つNPUを搭載することを必須条件とするなど、AIの処理性能を示す指標として定着することになるだろう。
2025年は、AI PC元年ともいわれた。インテルによると、国内市場においては、2024年には29%だったAI PCのシェアが、2025年には37%にまで到達。これが、2026年には過半数を突破すると予測している。
だが、問題はAI PCの普及を加速するキラーアプリケーションが見当たらないことだ。いまのままだと、AI PCが出荷数量の過半数を突破しても、AI PCの機能を使いきれていないという状況が生まれかねない。これは、4K TVを購入しても、多くの人が4K放送を視聴していないという現状に近いものになる。NPUの性能を生かし切ることができるAI PCならではの用途提案が、PC業界に求められている。
「C」では、「 Chromebook 」を取り上げてみよう。GIGAスクール構想第2期において、これまで以上にChromebookの存在感が高まっているためだ。MM総研の調べによると、GIGAスクール構想第1期ではChromebookのシェアは42%であったものが、現在進行しているGIGAスクール構想第2期ではシェアが60%にまで上昇すると予測されている。いわば、教育市場における「定番」としての位置づけを担うことになりそうだ。
GIGAスクール構想第2期の端末導入は、2026年3月にピークを迎えそうであり、この勢いを、個人向けPCや法人向けPCでのシェア拡大につなげることができるかが次の挑戦になる。
最後の「H」は、 HPC (High Performance Computing)である。2025年には、次世代スパコンの「富岳NEXT」の概要が明らかになったが、2026年2月27日までに基本設計を完了させ、2026年3月以降に、いよいよ詳細設計が開始されることになる。2030年頃の稼働に向けて、着々と準備が進む1年になるだろう。
一方で、日本における量子コンピュータの取り組みにも大きな進展がみられる1年になりそうだ。特に、富士通は、2026年度中に、1,024量子ビットの国産量子コンピュータを、神奈川県川崎市のFujitsu Technology Parkに設置する計画を打ち出している。日本の技術を世界に発信することになるだろう。
2026年でPC Watchは30周年
2026年の新春恒例企画では、「Impress PC Watch」をキーワードに、1年間を占ってみた。
最後に、番宣のような締めになるが、2026年7月22日に、PC Watchは、創刊30周年を迎えることになる。この部分は、編集部から追記を頼まれたわけでもなく、勝手に記しているものであり、決して番宣ではないのだが、個人的にはどんな30周年企画が行なわれるのかを一読者として楽しみにしているところだ。
そして、PC Watchが、PC産業における羅針盤の役割を果たせるように、一人の外部ライターとして、及ばずながら貢献していきたいと考えている。




























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