ゲーミングPC Lab.

コンパクトな高性能ゲーミングPC「ASUS ROG GR8」

ASUS ROG GR8

 ASUSの「ROG GR8」は、家庭用ゲーム機並みの筐体サイズにミドルレンジクラスのGPUを搭載したゲーミングPC。2014年12月、ASUSのゲーミングブランドR.O.G.(Republic of Gamers)シリーズのデスクトップPCとして発売された後、2015年11月には、OSをWindows 10に刷新した2015年秋モデルが発売された。

 今回お届けするのは、Windows 10を採用したROG GR8の2015年秋モデル「GR8-R109Z」の試用レポートである。

家庭用ゲーム機並みの筐体サイズが特徴のゲーミングPC

 ROG GR8(GR8-R109Z)は、ASUSのゲーミングブランドR.O.G.のデスクトップPCで、本体サイズは60×245×238mm(幅×奥行き×高さ)という、家庭用ゲーム機並みのコンパクトな筐体を特徴とするゲーミングPC。直販サイトでの販売価格は164,800円(税別)。

【表1】ROG GR8(GR8-R109Z)の主なスペック
CPUCore i7-4510U
メモリ16GB DDR3L-1600 (8GB×2)
GPUGeForce GTX 750 Ti 2GB
HDD1.0TB
SSD128GB
光学ドライブなし
OSWindows 10 Home
販売価格(税別)164,800円

 CPUは、第4世代Coreプロセッサ(Haswell)の超低消費電力モデル「Core i7-4510U」。定格2GHz、Turbo Boost時最大3.1GHzで動作する、TDP 15Wの2コア4スレッドCPUだ。

 メインメモリは16GB(DDR3L-1600、8GB×2枚)、ストレージはSATA接続の1.0TB HDDと128GB SSDという構成で、試用したPCではHDDにOSがインストールされていた。

 ゲーミングPCの最重要パーツと言っても過言ではないGPUには、NVIDIAのGeForce GTX 750 Tiを搭載。動作クロックは1,020MHz(ブーストクロック1,020MHz)、専用VRAMとして5GHz相当で動作する2GBのGDDR5メモリを備える。

 GR8が備えるGeForce GTX 750 Tiは、ノートブック向けGPUであるGeForce GTX 860Mを独自にカスタマイズしたもので、CUDAコア数など、GPUの規模としてはGeFroce GTX 750 Tiと同等だが、ブーストクロックとメモリクロックが若干低くなっている。

 電源は専用のACアダプタを使用。その他、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の無線LAN、Miracastレシーバを備える。

 ROG GR8には本体以外に、マウスとキーボードが付属する。キーボードの「M801」は全キー同時押し対応の日本語92キー(テンキーレス)キーボード、マウスの「ROG Gladius」は6,400dpi対応の光学式マウス。いずれも有線式USB接続となっている。

筐体正面。USB 2.0×2基、電源ボタン、Miracastボタン、音声入出力
筐体背面。USB 3.0 ×4基、HDMI、DisplayPort、Gigabit Ethernet、電源入力、音声入出力
筐体上面
筐体底面
筐体左側面。横置き用に4カ所にインシュレータが取り付けられている
筐体右側面
筐体右側面のパネルは、背面方向にスライドすることで取り外せる
メモリスロット。容量8GB、DDR3L-1600対応SO-DIMMが2枚搭載されている
2.5インチストレージベイ。SATAの2.5インチストレージを取り付け可能で、標準では1.0TB HDDが取り付けられている
ACアダプタ。出力は19V/6.32A
ケース正面、電源ボタンの下に配置されたMiracastボタン。このボタンを押すとMiracastレシーバが起動する。MiracastレシーバはWindowsの動作状況を問わず起動できる
Miracastレシーバーを起動した状態。Miracastに対応したスマートフォンなどの画面をHDMIで接続したディスプレイに表示できる
キーボード「M801」。テンキーレスの日本語キーボード。インターフェイスはUSB(有線)
マウス「ROG Gladius」。光学式マウスで解像度は6,400dpi。インターフェースはUSB(有線)

ベンチマーク結果

 ROG GR8で各種ベンチマークテストを実行した結果を確認していく。実行したベンチマークテストは「3DMark v1.5.915」、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 5.1.0」。

 ベンチマークテストの結果をみてみると、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークでは、1,920×1,080ドットの最高描画設定(DirectX 11)で「快適」の評価を獲得するなど、フルHD解像度でゲームを動かせるだけのパフォーマンスを持っていることが確認できる。

 CPUのCore i7-4510Uがモバイル向けの2コア4スレッドCPUのため、CPUのマルチスレッド性能についてはそれほど高いわけではないものの、CINEBENCH R15のシングルコアテストでは100cbを超えるスコアを記録しており、Turbo Boostによりクロックが上昇する条件では、高いコア性能が期待できる。

【表2】ベンチマークスコア
3DMark v1.5.915 - Fire Strike
Score3,793
Graphics score4,411
Physics score4,128
Combined score1,746
3DMark v1.5.915 - Sky Diver
Score10,258
Graphics score14,077
Physics score4,408
Combined score9,831
3DMark v1.5.915 - Cloud Gate
Score9,424
Graphics score27,353
Physics score2,861
3DMark v1.5.915 - Ice Storm Extreme
Score42,067
Graphics score45,596
Physics score33,103
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(DirectX 11)
1,920×1,080ドット/最高品質4,324(快適)
ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0
1,920×1,080ドット/簡易設定58,684
CINEBENCH R15
OpenGL76.12 fps
CPU248 cb
CPU(Single Core)104 cb
CrystalDiskMark 5.1.0、1.0TB HDD
CrystalDiskMark 5.1.0、128GB SSD

実際のゲームでのパフォーマンスをチェック

 ベンチマークテストではなく、実際のゲームを動かしてみた時の性能もチェックしてみた。試したゲームは「League of Legends」、「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」、「ウィッチャー3 ワイルドハント」の3本。

 今回は、NVIDIA GeForce Experienceを使い、各ゲームタイトル毎に描画設定の最適化を実行し、性能をチェックしてみた。

 MOBA(Mutiplayer Online Battle Arena)の代表的なタイトルであるLeague of Legendsは、GeForce Experienceによって、1,920×1,080ドットの画面解像度で最高クオリティが適用された。

 この描画設定でもフレームレートは100fpsを大きく超えており、ROG GR8はMOBAを高い描画品質かつ高フレームレートで快適にプレイできる実力を備えていると言える。

League of LegendsのGeForce Experienceの最適化設定。画面解像度1,920×1,080ドット、クオリティ最優先の設定となった
League of Legendsのプレイ画面。フレームレートは130~150fps程度となっており、高フレームレートでのプレイが可能

 METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAINでは、1,920×1,080ドットの画面解像度で、ややクオリティよりの設定が適用された。この設定でのフレームレートはおおよそ40fps台となっており、垂直同期をとれば30fpsで固定できる。

METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAINのGeForce Experienceの最適化設定。画面解像度1,920×1,080ドット、描画設定はややクオリティ寄り
METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAINのプレイ画面。フレームレートは40fps台

 今回試したゲームタイトルの中で最も描画負荷の高いウィッチャー3 ワイルドハントでは、GeFroce Experienceが画面解像度を1,366×768ドットに落とす設定を推奨してきた。この設定でのフレームレートは50fps前後となる。

 画面解像度を手動で1,920×1,080ドットに設定した場合、GeForce Experienceの推奨描画設定はパフォーマンス最重視の設定が適用される。この場合のフレームレートも40fps前後となる。

ウィッチャー3 ワイルドハントのGeForce Experienceの最適化設定。描画設定はややクオリティ寄りだが、画面解像度は1,366×768ドットに下げることを推奨された
ウィッチャー3 ワイルドハントのゲーム画面。フレームレートは50fps前後
ウィッチャー3 ワイルドハントのGeForce Experienceの最適化設定から、手動で画面解像度を1,920×1,080ドットに引き上げた場合の設定。描画設定はパフォーマンス最優先に設定される
1,920×1,080ドット設定のゲーム画面。フレームレートは40fps前後

 最新のゲームタイトルを60fps以上のフレームレートで動かせるという訳ではないが、30Hzで垂直同期をとることで、多くのPCゲームを1,920×1,080ドットの画面解像度で楽しむことのできる性能は持っている。

 ゲームを楽しめる性能を備えたPC本体に、ゲームに使えるキーボードとマウスが付属するROG GR8は、これからPCでゲームを始めようとするユーザーにとって、必要なものが一通り揃ったPCだ。PCゲームのスタートアップに好適な1台と言えるだろう。

(三門 修太)