ギア推し

足音の方向まで分かるスゴさ。FPSゲーマーにこそ使ってほしい「INZONE Buds」

 マルチ対戦ゲーム――特にFPS/TPSなどのシューターでは、“音の聞き取り”が大切だ。足音や銃声などの環境音を確実に捉え、得られた情報を正確に分析し、いかにプレイングに生かすかが、ゲームの成績に大きく作用するのである。FPS/TPSゲーマーならば、その重要性を痛感していることだろう。

 そこで注目したいのが、今回紹介するソニー「INZONE Buds」である。低遅延の2.4GHz無線やFPS特化のイコライザ、立体音響技術など、ゲーム向け機能の数々を盛り込んだ高性能ワイヤレスイヤフォンだ。本稿では、新色のグラスパープルを試用。ゲーミングPCでの使い心地をレビューする。

遅延30ms未満の2.4GHz無線に対応

クリアパーツを使った新色グラスパープル
イヤフォン、充電ケース、USBレシーバまでクリアパーツが多用されている

 INZONE Budsは、プロeスポーツチーム「Fnatic」の協力を得て開発したという、本格的なゲーミングワイヤレスイヤフォンだ。今回試用したグラスパープルは、INZONEのブランドカラーである紫を基調とした新色。クリアパーツを取り入れたデザインとなっていて、なかなかクールである。

 INZONE BudsにはUSB Type-C接続のレシーバが付属しており、遅延30ms未満をうたう2.4GHz無線接続に対応する。eスポーツタイトルのようなゲームを楽しみたいのであれば、低遅延で音ズレが少ない2.4GHz無線は必須だ。INZONE BudsはBluetooth(LE Audioのみ)にも対応しているが、特別な理由がない限り、ゲーミングPCとは2.4GHz無線で接続するのがよいだろう。

 イヤフォンとUSBレシーバはペアリング済みで、USBレシーバをPCに挿すだけで、特別な設定をせず即座に2.4GHz無線接続できる。また、Windows向け設定アプリとして「INZONE Hub」が用意されているので、公式サイトからダウンロードし、インストールすれば事前準備は完了だ。

 USBレシーバにはスライドスイッチがあり、これを切り替えることで、PS5やスマートフォンとも接続可能。スマートフォンとの接続時は、設定アプリとして「Sound Connect」を使用する。

さすがソニーな高音質。ゲーム機能もバッチリ

遅延を感じず高音質。装着感も良好
イヤフォンはエルゴノミック・サーフェス・デザインを採用。装着感は良好だ

 使ってみて分かるのは、その音質の良さだ。筆者の個人的な感想になるが、2万円台半ばで購入できるワイヤレスイヤフォンとしては、十分満足のいくサウンドを聴くことができた。ノイズキャンセリング機能も秀逸で、エアコンの稼働音やPCの騒音、キーボードの打鍵音などは、ほとんど気にならないレベルにまで抑制される。このあたりの完成度の高さは、さすがはソニーといったところだろう。

 2.4GHz無線接続であれば、ゲーム音の遅延はまず感じられない。遅延30ms未満は音ズレを知覚できない速さなのだ。実際、プレイ中は音ズレにまったく気づくことなく、ストレスなしでゲームに集中できた。

 装着感については、ソニー独自の「エルゴノミック・サーフェス・デザイン」により、圧迫感を軽減して快適性を高めたとしている。実際に着けてみると、耳の凹凸に当たらず自然な形で装着でき、長時間でも疲れずに使い続けることができた。なお、イヤーピースはSS/S/M/LLの4サイズを同梱している。

INZONE Hubから各種設定が可能
INZONE Hubのメイン画面。イコライザ、立体音響、ノイズキャンセリングなどを設定可能だ

 INZONE Budsの設定は、INZONE Hubから行なう。INZONE Hubでは、PCに接続されたINZONEのゲーミングギアがすべて表示され、一元的に管理できる。INZONE Budsの場合は、イコライザやノイズキャンセリング、立体音響、音量などをカスタマイズ可能。これらの設定はプロファイルとして個別に保存することもできる。

 イコライザに関しては、FPS/TPS向けのプリセットが3種類も用意されている点がおもしろい。足音や銃声などを強調するFPS-1、銃声を強調しつつバランスを取ったFPS-2、大きな効果音を抑えるFPS-3があり、ゲームによって適したプリセットを選択できるわけだ。このほか、RPG/Adventure、Bass Boost、Music/Videoプリセットも用意されている。

 FPS/TPSをプレイする場合は、FPS-1プリセットと立体音響の組み合わせをオススメしたい。足音がよく聞こえるようになり、また音の定位感も増すため、敵の動きを把握しやすくなるからだ。また、ダイナミックレンジを「低」に設定し、小さい音を拾いやすくするのもよいかもしれない。設定の組み合わせをアレコレ試し、自分なりの答えを見つけるのも楽しいところだ。

アプリ連動設定も用意
事前に設定しておけば、プログラムとプロファイルを連動させられる

 バトルフィールド6で上記の設定を試してみると、音の空間的な広がりが感じられ、より高い臨場感を得られるのが分かる。小さな物音にもいち早く気づくことができ、その方向や距離も判断しやすい。敵は右から回り込んでくるか、それとも左か。どのくらい接近しているか――そうした緊迫した状況で機先を制し、撃ち勝てる場面が明確に増えるのだ。もちろん、エーペックスレジェンズやVALORANTなどでも同様である。

 前述した通り、変更した設定はプロファイルとして保存できる。特筆すべきは、プロファイルとプログラムを連動させられる点だ。INZONE Hubのアプリ連動設定からプロファイルとプログラムをリンクしておけば、そのプログラムを起動するたびに、関連付けたプロファイルが自動的に有効化されるようになる。このゲームはこのプロファイルでプレイしたいといった場合に、手動で切り替える手間がなくなるわけで、ぜひ活用したい便利機能である。

USBレシーバはPC以外にも接続可能
スマホにも装着できるが、縦持ちならともかく、横持ちだと操作の邪魔になりそうだ

 スマートフォンとはPCと同じく、USBレシーバによる2.4GHz無線、もしくはBluetooth LE Audioで接続する。ただし、USBレシーバは操作の邪魔になるし、持ち運びには紛失の危険もともなうため、モバイル用途ならLE Audio一択だと個人的には考える。LE Audio接続によるプレイは快適で、いくつかスマートフォン向けゲームを試してみたのだが、音の遅延もあまり気にならずに遊ぶことができた。

BluetoothはLE Audioのみ。ここが惜しい

 INZONE Budsの性能に不満はないのだが、BluetoothがLE Audioのみの対応であり、従来のClassic Audioに対応していないのが弱点だ。LE Audioは省電力/低遅延を特徴とする比較的新しい技術であり、非対応のデバイスも多い。手持ちのデバイスがINZONE BudsとBluetooth接続できるとは限らないのだ。

 筆者が試した限りでは、Pixel 7(Bluetooth 5.3)はINZONE BudsとBluetooth接続できたものの、Galaxy A25 5G(Bluetooth 5.4)は不可であった。また、Bluetooth 5.4搭載のミニPCも接続できなかった。Bluetoothのバージョンが新しければ接続できるわけではなく、デバイスごとに対応が異なっているのが現状なのだ。

LE Audioの対応状況は要確認
対応情報が公開されているので、手持ちのスマホが接続可能かを調べられる
Windowsの場合は設定からLE Audio対応かどうか確認できる

 したがって、手持ちのデバイスがLE Audio対応かを確認しておく必要がある。スマートフォンの場合は、INZONE Budsの公式サイトで対応表が公開されているので、そちらを参考にしよう。Windows PCの場合は、設定→Bluetoothとデバイス→デバイスと辿り、デバイスの設定の欄に「使用可能な場合はLEオーディオを使用する」の項目があれば、LE Audio対応と判断できる。もちろん、各デバイスの公式サイトを調べてみるのも手だ。

 デバイスがLE Audioに非対応であった場合は、2.4GHz無線で接続することになる。より手軽なBluetooth接続を利用できないのは、モバイル用途ではけっこう痛い。ここはINZONE Budsの惜しいところである。

マルチ対戦ゲーマーなら間違いなく「買い」だ

 INZONE Budsのカラーバリエーションには、2023年10月発売のホワイトとブラック、2026年4月発売のグラスパープルの計3色が用意されている。Amazonでの実売価格は2万6,000円前後といったところだ。ブラックフライデーなどの大型セールを狙えば、2万円台前半で購入できる場合もある。

3色のカラーバリエーションを用意
ホワイト、ブラック、グラスパープルの3色から選べる

 INZONE Budsは、すべてのゲーマー、特に対戦ゲームを好むコアゲーマーにオススメしたいワイヤレスイヤフォンだ。ゲーム向け機能から得られるアドバンテージは大きいし、WF-1000XM5ゆずりの高音質、強力なノイズキャンセリング機能も素晴らしい。ゲーム用途をメインに、動画や音楽も楽しみたいという向きにうってつけといえるのが、このINZONE Budsなのだ。

 ただし、前述したようにLE Audioに対応しているかといったBluetoothの仕様には気を付けたい。この点さえクリアできるなら、INZONE Budsはゲーマーにとって、間違いなく「買い」のゲーミングワイヤレスイヤフォンである。

【表】INZONE Budsの主なスペック
製品名INZONE Buds
接続方式2.4GHz無線、Bluetooth 5.3(LE Audioのみ)
ドライバユニット8.4mmダイナミックドライバーX
ノイズキャンセリング対応
外部音取り込み対応
防滴性能IPX4相当
バッテリ駆動時間2.4GHz無線時: 最大12時間(ケース込み最大24時間)
Bluetooth時: 最大24時間(ケース込み最大48時間)
イヤフォン重量
(イヤーピースMを含む)
ホワイト、ブラック: 約6.5g(片側)
グラスパープル: 約6.7g(片側)
ライター: 影山 巧

自作系PC誌の編集者を経て、現在はフリーで活動中のライター。普段からPC自作を嗜んでおり、歴代のゲーミングPCも、パーツを一つ一つ厳選しビルドした自作機だ。ゲームは特にFPS/TPSが大好物。バトルフィールドシリーズは初代「バトルフィールド1942」から全作をプレイしているほか、「PUBG: BATTLEGROUNDS」「エーペックスレジェンズ」などのバトルロイヤルや、「Escape from Tarkov」「ARC Raiders」などの脱出シューターもやり込んでいる。やり込んでいる割に大して上手くもないのが悲しいところ。