ギア推し

あ、これゲームをやめられないやつだ 240Hz対応ARグラス「ROG XREAL R1」

ROG XREAL R1

 ARグラス最大の魅力は携帯性。視聴距離によって画面サイズは変わるので、「100型超え」などのセールス文句はちょっと大げさだとは思うが、ノートPCやデスクトップPCのモニターと同程度の距離で見ると仮定すれば、30型前後の大画面でゲームを楽しんだり、作業を行なったりできる(もちろん製品によって異なる)。

 少し大きめのメガネケースの中に、ノートPCの画面サイズを大きく超える画面を入れて持ち運べるのだ。そう考えると、ARグラスの携帯性は非常に大きなメリットと言えよう。

 その中でも今回の「ROG XREAL R1」は、ゲーミングモニターに搭載されているような機能も利用でき、さらにリフレッシュレートも最大240Hzに対応。専用ドック「ROG Control Dock」を通じてHDMIやDisplayPortから映像を入力できる。ARグラスは数多く発売されているが、ゲーム用途で購入するのなら、ROG XREAL R1は特に注目したい製品なのだ。

大画面でゲームの世界に没入。ただしタイトルは選ぶ

 今回は、本機を使って映像が美しい「サイバーパンク2077」をプレイしてみた。正直なところ、デフォルト設定で使い始めたときはARグラスならではの体験という感想は得られなかったのだが、画面サイズを200%、表示距離を2mに設定すると、一気に体験が変わる。

 画面がぐっと近づき、そして大きく表示されるので、まっすぐ見ているときに見えるのはゲーム画面の正面だけ。本機は3DoF(首振りや傾きの検知)に対応しており、そこで顔を前後左右に動かすと、周囲を見ることができる。つまり、ゲームへの没入感がグッと高まるのだ。

 もちろん完全なVRとは体験が異なる。しかし、「サイバーパンク2077」の世界に入り込んだかのような感覚は、新鮮な味わいである。

 ただし、サイバーパンク2077は移動しながら視点も動かすFPSゲームであるため、プレイしながらさらに顔を上下左右に動かすと、視点移動の違和感からかなり強い3D酔いを感じる。操作を少し抑えるなど、加減は必要だ。

 一方で今回の設定は、そもそも激しい視点移動が発生しないビジュアルノベルタイプのゲームなどであれば、キャラクターにより近づき、周囲を見回せるので、相性がよいのではないだろうか。ぜひお試しいただきたい。

3DoFでは顔の向きを変えても、グラス内の画像は固定されて動かない

 6DoF(首振りや傾きと移動の検知)には対応していないので、自分が移動しても画面は一定の距離を保ったままついてくる。机に座って利用している分には、特に違和感を覚えることはない。

 3DoFまでの対応であることは、本製品の使い勝手における大きなメリットだ。画面の位置を固定しておけば、頭を動かしても画面は空間上の同じ位置にとどまる。

OSDメニューの「空間スクリーン→空間ロック」を有効にすると、画面の位置がロックされる

 画面ロックをオフにした際は、頭が少し動いただけなら画面はその場にとどまり、そこから大きく上下左右に顔を動かすと、わずかなタイムラグを置いて画面が追従してくる。細かな揺れは発生せず、動きが非常に自然なため、長時間着用していても酔いにくい。単に3DoFに対応しているだけでなく、その挙動に巧みなチューニングが施されていることが、他社製品に対するROG XREAL R1の大きなアドバンテージだと感じた。

 画質についても、ARグラスとしては高いレベルである。解像度がフルHDと聞くと、物足りなく感じる方もいるかもしれない。しかし、前述の通り、一般的にモニターを設置するぐらいの距離感で、30型前後の大きさとして見る分には、文字に多少のジャギーは見えるものの、個人的には解像度不足を感じなかった。

 特にゲームプレイや映像鑑賞中であれば、解像感に不満を覚えることはまずないと思う。明るさも十分に余裕があり、電子調光によるレンズの暗さも3段階で変えられるので、周囲の明るさに応じて、さらに暗くすることが可能だ。

明るさと、エレクトロクロミック(電子調光)は個別に調整可能。室内灯下であれば、デフォルトの明るさが7、エレクトロクロミックは2で画像を十分鮮やかに感じられる

 装着感については、筆者は頭囲が64cmとかなり頭が大きいのだが、テンプルが外側へ15度開く設計になっているため、強い圧迫感はなかった。今回使用した限りでは、2~3時間程度の連続使用であれば、窮屈に感じることはなかった。

テンプルは上下に±3.5度、外側に15度、内側に5度動かせる。頭囲64cmの筆者でも2~3時間の装着で痛みは感じなかった

専用ドックでHDMI接続も可能。スマホやゲーム機も大画面で

 本製品のさらなる特徴は専用ドック「ROG Control Dock」がセットになっていることだ。ROG XREAL R1は単体でもスマートフォン、タブレット、ノートPCと接続できるが、ROG Control Dockを利用することで、照準の表示、FPSのリアルタイム表示などのゲーミング機能が追加される。

 しかし、筆者がこのドックに注目している理由は、USB Type-C経由だけでなく、HDMIとDisplayPortから映像信号を入力できるからだ。従来のARグラスでもHDMI信号を入力すること自体は可能だったが、そのためにはサードパーティ製の変換アダプタなどを用意する必要があった。

前面には映像出力用のUSB Type-C×1が配置されている
背面にはHDMI 2.0 2基、DisplayPort 1.4の映像入力端子と、USB 2.0 Type-C(電源入力、データ通信)、USB Type-C(電源入力)を用意

 ROG Control Dockは、当然ながらメーカー純正のデバイスだ。相性問題が起きる可能性は皆無と言ってよく、接続や設定で悩まされにくいという安心感がある。スマートフォン、タブレット、ノートPCだけでなく、デスクトップPCや家庭用ゲーム機も接続できることは、本製品の用途を大きく広げるメリットだと考えている。

 加えて、3台の機器を同時に接続し、接続先を素早く切り替えられることが挙げられる。デバイスと直結する一般的なARグラスであれば、機器を切り替えるたびにケーブルを抜き差ししなければならない。その点、ROG Control Dockはスティック操作で入力を切り替えられる。実際に使ってみると、これは非常にお手軽だ。

ROG Control Dockにはスマホ、ゲーミングノートPC、家庭用ゲーム機を同時接続可能。ケーブルを抜き差しせずに、スティック操作で接続先を切り替えられる

 もう1つのポイントは、各種設定を操作しやすいこと。ROG XREAL R1は単体でも利用できるが、その場合はテンプルに設けられた小さなボタンで操作する。慣れれば難しくはないものの、初めてARグラスを使う方にとっては、手元に置いたROG Control Dockのスティックやボタンで操作するほうが直感的だろう。

グラスのテンプル部のボタンは手探りで操作しなければならない
ドックはボタン、スティックの刻印が見えるので、直感的に操作できる

専用アプリのUIや発熱が気になるポイント

 本製品には、いくつか不満点もある。最大の不満は、ARグラス単体で使うときと、ROG Control Dock経由で使うときで、UIが異なることだ。

 ドック経由では利用できる機能が増えるので、それに合わせてメニューが追加されるのは当然である。しかし、UIのデザインだけでなく、メニューのデザイン、構成まで異なるため、それぞれの階層構造や順序などを覚えなければならない。

 ARグラス単体のUIを、XREAL製ARグラスのUIを踏襲するのであれば、ROG Control DockのUIもそれに寄せたほうが分かりやすかったと思う。

ドック接続時は設定画面のメニュー構成が異なるので、混乱しやすい

 もう1つは、グラス本体がそれなりに温かくなることだ。本製品にはXREALが独自開発した「X1チップ」が内蔵されており、3DoFの処理や映像表示、設定管理などを担っている。夏場だと、やや不快に感じることもあるだろう。

 最後は製品の欠点というより注意点だが、ゲームタイトルによっては相性が悪いことがある。マウス操作に対して視点が素直に動くゲームでは酔いにくい一方、よろめきやダメージ表現として画面を細かく揺らすゲームでは、その演出が酔いを招きやすい。

 これはARグラス全般とゲーム側の演出との相性問題だが、購入直後に苦手意識を持たないためにも、最初は画面の揺れが少ないゲームから試すことをおすすめする。

 なお、ROG XREAL R1の外観は非常にクールだ。未来的な形状で、テンプル部分にはLEDライトも内蔵されている。ただし、その分かなり目立つ。屋外や電車内で使うには、少し勇気が必要なガジェットといえよう。

ROG XREAL R1は未来的なデザインだ。ちょっとオッサンには恥ずかしいというのが正直なところではある

持ち歩ける大画面が魅力。

 ROG XREAL R1は、eスポーツプレイヤーには正直向いていないと思う。リフレッシュレートを240Hzに設定できるとはいえ、eスポーツ系ゲームでは、見やすさ、快適さ、操作のしやすさという点で、適度なサイズのゲーミングモニターのほうがマッチすると感じた。

 しかし、画面サイズと表示距離を自由に設定できることは、ゲームへの没入感という意味では大きなメリットがある。ビジュアルノベルゲーム以外にも、三人称視点のRPGやシミュレーションゲームなど、動きが激しくなく大画面で没入感を高められるゲームであれば、大きなメリットがあるはずだ。そういう点で、ゲームへの没入感を重視するゲームプレイヤーに、本製品は向いている。

 ちなみに、本製品の価格は14万1,550円で、ARグラスとして考えれば、高価であることは間違いない。しかし、本製品にはARグラス本体だけでなく、ROG Control Dockも付属している。このドックにより、家庭用ゲーム機やデスクトップPCとも直接接続できるわけだ。

 自宅では家庭用ゲーム機やデスクトップPC用のゲーミングモニターとして利用し、外出先ではスマートフォンと接続して映像コンテンツを楽しめる。ノートPCにつなげば、周囲の人に画面を見られることなく作業することも可能だ。

 自宅で利用できるゲーミングモニターと、外出先へ持ち出せるARグラスという、複数の用途を1台でこなせることを考えれば、14万1,550円という価格も単純に高いとは言い切れない。ニッチな製品であることは間違いないが、場所を選ばず、両手をふさがずに大画面を利用したい方には、非常に魅力的な製品である。

 特に、家庭用ゲーム機やデスクトップPCでもARグラスを使いたい人にとっては、有力な選択肢の1つと言えるだろう。

【表】ROG XREAL R1の主なスペック
製品名ROG XREAL R1
ディスプレイパネル0.55型1,920×1,080ドットOLED(片目あたり)
リフレッシュレート120Hz、240Hz(ブースト時)
応答速度0.01ms
輝度最大700cd/平方m
自由度3DoF
瞳孔間距離(IPD)57~66mmまたは66~75mm(モデルによる)
インターフェイスUSB Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)
サイズ153×49×166mm
重量90g
ライター: ジャイアン鈴木
PC雑誌出身のIT系ライター。PC、スマホを中心に、アクションカメラ、ドローン、デジタルトイ、エアソフトガンなどなど、さまざまなデジタルガジェットが大好物。属性としては物欲系で、記事を書いている途中にポチることも多々ある。漫画、ゲームも大好き。最近は毎週必ずサバゲーへ。いま特に注目しているのはARグラス系。これからはデバイスに一切触れず、目線、指のジェスチャー、声だけで、あらゆるデジタルガジェットを自在に操作したい。滑舌がいまいちなのが悩みだが、テスターとしてはもってこいかも?