鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第72回:3月29日~4月2日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


3月30日

■■マイクロソフト、Office 2000をこの夏発売。IME最新バージョンも公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990330/ms.htm

IME(Input Method Editor)
アイエムイー

 漢字などの複雑で多様な文字や記号を、標準キーボードなどを使って入力できるようにするためのプログラム。

 MS-DOS時代のFEP(Front End Processor)に相当するもので、かな漢字変換ソフトとも(現在のIMEは特に日本語専用ではないが)。Macintoshなどでは、単にIM(Input Method)と呼んでいる。

 一般には、キーストロークを監視し、選択されている入力フォーム(かな入力やローマ字入力)にしたがって入力を解釈。ユーザーが必要としている文字を予測し、その候補を順に表示したり一覧選択させるなどの方法で適切な文字に変換し、アプリケーションに渡す機能を提供する。

 ちなみに、MS-DOS時代の変換ソフトは、アプリケーションの一部、もしくはアプリケーションとキーボードの間に割り込む特殊なプログラムとして作られていたが、現在は、システムが提供するサービス(※1)と、システムに付属する、あるいはサードパーティが提供する変換モジュール、それを利用して入力を受け取るアプリケーションという独立した構成になっており、キーボード入力のみならず、手書き入力や音声 入力などへのアプローチも行なわれている。

(※1)WindowsではInput Method Manager(IMM)、Mac OSではText Services Managerと呼ばれる。

【参考】
□FEP(Front End Processor)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971216/key11.htm#FEP



 
■■AOpen製マザーボード「AX6B」に不具合、Pentium III使用時に発熱
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990330/aopen.htm

電圧レギュレータ(voltage regulator)

 出力電圧が一定になるように制御するデバイス(レギュレータは、調節器、調整器という意味)。PCでは、電源や電源回路に使われている安定化用の素子を指す。

 電圧レギュレータは、回路に挿入した制御抵抗を調節して出力電圧を調整するタイプと、トランジスタを使って回路を高速にスイッチングするタイプ(※1)とに大別される。前者はリニアレギュレータ(linear regulator)といい、一般に、余分な電圧を制御トランジスタで吸収するスタイルがとられる(※2)。後者はスイッチングレギュレータ(switching regulator)といい、PCをはじめ家電製品の大半は、このスイッチングタイプの電源を使用している。

 素子としての電圧レギュレータは、入力、出力、グラウンド(接地)の3本の足が出た、3端子レギュレータと呼ばれるタイプが広く使われており、PCの場合には、電源ユニットの内部やマザーボード上に、放熱器などに固定される形で取り付けられている。

(※1)電源を高速にON/OFFすることによってパルス化し、そのパルス幅で出力電圧をコントロールする(パルス幅を狭くすれば電圧は低く、広くすれば高くなる)。変換効率がよく電源を小型化できるのが特徴だが、スイッチングに伴うノイズが発生しやすい欠点がある。ちなみに、入出力間をトランスなどで絶縁するタイプをラインオペレート(line operating)型、絶縁しないタイプをチョッパ(chopper)型という。

(※2)基本的には余分な電力を消費して降圧する仕組みなので、効率が悪く発熱量も大きいが、スイッチング電源のようなノイズは発生しない。ちなみに、負荷に対し制御抵抗を直列に挿入するタイプをシリーズレギュレータ(series regulator)、並列に挿入するタイプをシャントレギュレータ(shunt regulator)という。


3月31日

■■元麻布春男の週刊PCホットライン
  RAGE 128をリテール版「Rage Fury」で再チェック
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990331/hot033.htm

Motion Compensation(動き補償)

 動画圧縮に使われる、フレーム間予測符号化技術。
 ある値を、関連性を持つ別の値を使って表わすことを予測符号化という。例えば、写真などの自然画では、隣接する画素は似たような輝度や色合いを示すことが多いため、1つ1つ個別に符号化していくよりも、既に符号化された値からこれから符号化する値を予測(計算)し、その誤差を符号化していく方が、より効率のよい符号化が行なえる。

 動画の場合には、前後のフレーム間にも強い相関性があるため、この予測符号化をフレーム間にも適用することができる(※1)。もっとも単純なものは、単にキーとなるフレーム(※2)との差分をとって符号化していくだけだが、MPEGなどでは、一定のブロック単位(※3)で位置を調整し、差がもっとも小さくなるようにしてから符号化を行なう方法を採用。このような、調整のことを動き補償と呼んでいる。

(※1)静止画と同じ、ピクセル間の相関性を利用した空間方向の圧縮をフレーム内圧縮、フレーム間の相関性を利用した時間方向の圧縮をフレーム間圧縮という。

(※2)フレーム間圧縮を行なわず、単独で全ての情報が復号化できるフレームのことをキーフレームあるいはリファレンスフレームといい、このキーフレームに対する差分情報をとるフレームをデルタフレームという。

(※3)MPEGの場合は8×8ピクセルのブロック4個(16×16ピクセル)がフレームを構成する基本となるブロックで、これをマクロブロックと呼び、動き補償はこのマクロブロック単位で行なっている。

【参考】
□MPEG(Moving Pictures Experts Group)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981007/key49.htm#MPEG-1
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981015/key50.htm#MPEG_2
□JPEG(Joint Photographic Experts Group)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980715/key38.htm#JPEG
□DCT/iDCT(Discrete Cosine Transform/inverse Discrete Cosine Transform)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981225/key59.htm#DCT



 
フィーチャーコネクタ(feature connector)

 MPEG再生カードやTVチューナ、3Dアクセラレータなどのアドオンカードを接続するために用意された、ビデオカード上の補助コネクタ。

 今ではあまり見かけなくなってしまったが、ビデオカードとアドオンカード間で同期信号などを共有したり、データ転送などが行なえるように用意された汎用のコネクタで、古くは、IBMがPS/2用のVGAカードに20ピンのエッジコネクタ(※1)として実装。その後VESAが、これを拡張する形で26ピンのコネクタ(※2)を規定し、一時は多くの製品に採用されていた。

 VESAではその後、ポートを16bitや32bitに拡張したVAFC(VESA Advanced FeatureConnector)をはじめ、VMC(VESA Media Channel)、VIP(VESA Video Interface Port)、EVC(VESA Enhanced Video Connector) など、ビデオカードと協調して動作する周辺デバイス向けの様々な規格を標準化しているが、かつてのフィーチャーコネクタほどに普及しているものはない。

(※1)拡張カードのスロットに挿すコネクタと同じ、基板がそのまま端子になっているタイプのコネクタ。

(※2)エッジコネクタではなく、ハードディスクなどのコネクタと同じタイプのヘッダコネクタを基板上に取り付けるスタイルになっている。


4月1日

■■パソコンのある家庭は32.6%、企業は73.7%、郵政省調査
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990401/mpt.htm

ウィルス、コンピュータウィルス(virus, computer virusMotion Compensation)

 狭義では、プログラムなどに寄生し(他のプログラムなどに付着したり、その一部または全部に置き換わって)、感染・増殖(自分自身を複製)するプログラムを指し、病原体のウィルス(ウイルス、ヴィールス、ヴァイラス)にたとえてこう呼ばれている。

 現在は一般に、より広義な解釈がされており、例えば'95年に出された通産省の告示(通商産業省告示第429号)では、第三者のプログラムやデータべースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムで、次の機能を一つ以上有するものと定義。その検査、予防、修復のいずれかの機能を含むソフトウェア(いわゆるアンチウィルス[AntiVirus]ソフト)をワクチンと定義している。

(1)自己伝染機能
   自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、他のシステムに伝染する機能

(2)潜伏機能
   発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能

(3)発病機能
   プログラム、データ等のファイルの破壊を行なったり、設計者の意図しない動作をする等の機能

 すなわち、ユーザーの意に反したことを意図的に行なうように作られたプログラムの総称で、ウィルス本来の特徴である伝染機能を持たないトロイの木馬(Trojan Horse)や、プログラムなどの宿主を必要とせず、システムやネットワークの機能を使ってそれ自身で移動するワーム(worm)などもひっくるめてウィルスと呼ぶのが一般化している。

 また、近年特に多いタイプとして、アプリケーションがサポートするマクロ機能(プログラミング機能)を使って作られ、ドキュメントに埋め込まれた形で配布されるものがあり、こちらは特にマクロウィルス(macro virus)と呼ばれている。

【代表的なアンチウィルスソフトのベンダー】
□ネットワークアソシエイツ株式会社
http://www.nai.com/japan/
□株式会社シマンテック
http://www.symantec.co.jp/
□トレンドマイクロ株式会社
http://www.trendmicro.co.jp/

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp