COMDEX/Fall '98会場レポート1

H/PC Pro、Socket 370、250MB Zip driveが登場

COMDEX/Fall '98会場風景 会期:11月16日~11月20日

会場:Las Vegas Convention Center, Las Vegas Hilton, Sands Expo & Convention Center


 米国Las Vegasで16日(現地時間)、「COMDEX/Fall '98」が開幕した。2,000社を超える企業が出展しており、かなり大規模なイベントだ。会場は、例年どおり広大で「Las Vegas Convention Center」と「Sands Expo & Convention Center」の全てと、「Las Vegas Hilton」の一部を占めている。
 来場者も日本人を含め世界中から集まっており、初日の会場はかなりの混雑を見せた。特にMicrosoftのブースは、発表間もないWindows 2000を実際に動かしながらプレゼンテーションを行なっており、開場直後から多くの人を集めていた。

 初日は、大企業の出展が多いLas Vegas Convention Centerで展示されている製品の全体的な傾向をレポートする。




 
●H/PC Proなど携帯機器が多数出展

 会場では、発表されて間もないH/PC ProベースのH/PCや携帯向けのミニノートパソコンが目立っている。

 H/PC Proとしては、シャープやHP、NEC、VADEM、三星、LG電子などが出展。中でもシャープの「PV-6000(Mobile TriPad)」は、使用形態に応じて液晶パネルとキーボードの位置関係を調整でき、ノートパソコン型、あるいはペン入力コンピュータに「変形」できるという特徴を持つ。会場内では、各種H/PC Pro対応製品のデモに使用されることも多く、特に目立った存在となっていた。搭載CPUはMIPSベースで、搭載メモリは16MB、9.4インチのDSTNカラー液晶(640×480ドット)を装備している。シャープによれば「近日中に米国で出荷する予定で価格は999ドル」という。なお、VADEMの「Clio」はPV-6000と同じデザインの製品だが、2製品の関係については明らかにされなかった。

250MB ZIP Pro-FD Pro-FD Pro-FD
HPのH/PC Pro NECのH/PC Pro シャープのH/PC Pro
ノートパソコンのように使う場合
シャープのH/PC Pro
ペン入力機として使う場合

 また、H/PC Proについては「Windows 98搭載ノートパソコンとの価格差が小さいため、汎用性が要求される個人向け市場ではH/PC Proの需要は少ない」との指摘もある。これに対し、シャープやHPでは「(両社が予定している)999ドルという価格は、従来型ノートパソコンとは一線を画す低価格のため、個人向けでも充分需要はある」との考えで、企業向けだけではなく個人向けにも積極的に販売していくという。しかし、Microsoft Partner Pavilionで出展していたWindows CE関連メーカーの多くがH/PC Proの適用分野として企業向け市場をあげており、展示内容もバーコードリーダーや業務向けソフトなどが目立っていた。

 なお、業務向け以外のH/PC Pro対応製品としては、ADAPTECがZIP/Jazドライブ接続用PCカードSCSIインターフェイス「SLIMSCSI 1460」を出展していたほか、CompaqがWindows CE 2.0でも使用可能なClik!ドライブを出展していた。

 ミニノートパソコンではMediaGXを搭載した製品が目立つ。既に発表されているCASIO「FIVA」が展示されていたほか、MAGやSOYOなどもMediaGXを搭載した製品の展示を行なっており、価格の安さをアピールしていた。このほかにも、既発表のFranklin Electronic Publishers製PDA「REX PRO」や人気の3COM「Palm III」など、多数のPDAが展示されており、「携帯向けコンピュータ」という点では製品数の多い展示会となっている。

Clik! MediaGX搭載ノート REX PRO
Compaqブースの
CE 2.0対応Clik!ドライブ
NECのMediaGX搭載ミニノート REX PRO

□米シャープのPV-6000ニュースリリース(英文)
http://www.sharp-usa.com/daa.asp?bname=1866
□VADEMのホームページ(英文、Clioの製品情報あり)
http://www.vadem.com/
□Franklin Electronic PublishersのREX PRO製品情報(英文)
http://www.franklin.com/rex/rexpro5ds/rexpro5ds.asp



 
●各社新CPUを出展。Socket 370対応マザーボードも登場

 展示会場では、Cyrixが大きなブースを構え、自社製CPU「M II」と「MediaGX」をアピール中。新CPUは「M II-366」だけだったが、会場内には各社のM II/MediaGX搭載機がずらりと並べられており、搭載モデルが増えつつあることを強調していた。

 これに対し、AMDはプレス向け限定ながらも次世代CPUのK7や2次キャッシュ内蔵型のSharptoothのデモを行なっている。デモに使用されているのはK7 500MHz(ベースクロック200MHz×2.5倍)とSharptooth 400MHz(100MHz×4)。特にSharptoothのデモでは、Pentium II 450MHzと並べてのパフォーマンスデモも行なわれ、パフォーマンス面で遜色がないことを強調していた。なお、発表が行なわれたばかりのK6-2/366やK6-2/380、K6-2/400に関しては特にデモなどは行なわれなかった。

 また、新たなx86互換CPU「mP6」を設計するファブレスメーカーRiseでは、小ぶりなブースでmP6を展示中。
 mP6は「マルチメディア環境を廉価に実現する」ことを売りにしたCPU。速度クラスを表わす「266」などの数値も、マルチメディアソフトの実行速度を元にした「目安値」のため、実際の動作クロックとは必ずしも一致しない。同社では、「現在最上位のmP6-266ではソフトDVDプレーヤーでDVDビデオをフルフレームで再生できる」としており、実際に動作デモも行なっていた。
 また、mP6の出荷時期と価格が今回初めて公開された。発表されたのは以下の3モデルで、いずれもSocket 7に対応し、CPUコアの動作電圧は2.7Vとなっている。量産出荷は今年の第4四半期中という。

動作クロック価格(1,000個ロット時)
mP6-166 166MHz(ベースクロック83MHz×2)50ドル
mP6-233 190MHz(ベースクロック95MHz×2)60ドル
mP6-266 200MHz(ベースクロック100MHz×2)70ドル

NEC M II搭載機 mP6 mP6デモ
NECのM II搭載機 mP6 mP6-266でDVD再生中

 なお、IntelやIDTは商談向けブースなどがあるのみで、特に目立った展示などは行なわれていない。しかし、低価格帯PCをターゲットにしたCeleron用のSocket 370対応マザーボードは、SOYO、EPoX、TYAN、FIC、ENPCといった各メーカーから多数出展されていた。
 採用されているチップセットも440BXや440LX、440ZXのほか、Apollo Proとバリエーションに富んでいる。対応するFSBクロックについても66MHzだけのものから、133MHzまで対応するものも存在する。出荷時期については、Intelの正式発表が行なわれていないこともありほとんどのメーカーが明確な回答を避けた。しかし、SOYOのみが12月に出荷すると断言しており、この言葉を信じればSocket 370対応のCeleronは、年内に発売されることが予想される。

SOYO EPoX TYAN ENPC
SOYO Socket 370マザーボード EPoX Socket 370マザーボード TYAN Socket 370マザーボード ENPC Socket 370マザーボード



 
●リムバーブルメディアの新製品が複数出展

 リムーバブルメディアの新製品としては、Iomegaが16日に発表したばかりの、Zipドライブの容量を250MBにした「250MB Zip drive」を展示しており、実際にその動作をデモンストレーションしている。

 また、NECではIomega製リムーバブルメディア「Clik!」のUSB対応版を参考出展している。主にH/PC向けの周辺機器という用途を想定しており、本家のIomegaの製品よりもかなりコンパクト。出荷は'99年第2四半期を予定しているという。

 新しい規格としては、Samsungが12日(現地時間)に発表した、従来のFDと互換性があり容量123MBの「Pro-FD」を展示。しかし、展示はケース越しで、実際の動作を見ることはできなかった。インターフェイスはATAPI。発売は'99年第3四半期で、価格は未定としている。

 そのほかでは、Philips、SONY、RICOHなど6社が、書き換え可能なDVD規格「DVD+RW」のロードマップを発表している。DVD+RWは、現在発売されているDVD-RAMの対抗となる規格。片面3.0GB容量の規格を'97年9月に発表しており、これに沿った製品が'99年春に発売され、その後、4.7GB容量の規格を国際標準規格へ提案するとしている。
 なお、発表会場では、DVD+RW搭載例として、マイクロタワー型のVAIOにドライブを組み込んで展示していた。

250MB ZIP Pro-FD DVD+RW DVD+RW
Iomegaの250MB Zipドライブ SamsungのPro-FD タワー型VAIOにDVD+RWドライブを組み込んでデモ DVD+RWメディア


□COMDEX Fall'98のホームページ(英文)
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=248

('98年11月17日)

[Reported by suzuki-k@impress.co.jp/furukawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp