【ベスト10】

パーソナル向け機種からBest10を選出
Under VGAクラスでは、Best3を初登場機種が独占

山田久美夫が選ぶ
デジタルカメラ・ランキング

'97/12/24版

【ランキング】

【総評】

 デジタルカメラの世界にとって、激動の'97年がいま終わろうとしている。その意味で今回のデジタルカメラランキングはまさに'97年の締めくくりといえる。

 まず、この一年を振り返ると、今年はVGAクラスの充実とメガピクセルクラスの台頭という2つの動きに要約される。期せずして、いずれもが今年年始に掲載した記事での予想通りの展開となったわけだ。

 もっとも、この年末にもう少し激しい展開があるのではないかと思われたが、とくにメガピクセルクラス(なかでも130万画素前後)の本格展開は来年前半に持ち越されたようだ。

 また、VGAクラスはこの一年でかなり充実した印象があり、この秋には3倍ズーム搭載機や超小型モデル、さらにお楽しみ機能を満載したものやフロッピー採用機など、実に豊富なバリエーション展開となった。価格的にも実販3万円前後のモデルが数多く登場し、かなり手軽に購入できるようになった点も今年の目立った動くといえよう。

 さて、来年の動きだが、基本的には今年の延長上の展開となるだろう。しかし、来年前半には主だったメーカーからメガピクセルモデルが続々登場することが予想され、後半には価格的にも今年の平均的なVGAモデルに近いレベルになる可能性が高い。もちろん、来年のメインは高画素クラスに移行するわけだが、そのクラスも「80~110万画素クラス」と「120~200万画素クラス」という2つのカテゴリーに大別されることが予想される。

 一方、VGAクラスはさらに“VGAらしさ”を追求した展開になると思われ、楽しさや便利さ、手軽さなどを重視したモデルが登場することだろう。

【Under VGAクラス】
順位
(前回順位)
メーカー名 機種名 画質 機能 操作性 デザイン 携帯性 ソフト コスト 関連記事
1
()
富士フイルム DS-30 ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★ ★★★★1/2 DS-30
2
()
リコー DC-3Z ★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★★ DC-3Z
3
()
ソニー DSC-F3 ★★★ ★★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 dscf3
4
(1)
富士フイルム DS-20 ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★★ DS-20
5
(8)
松下寿 COOLSHOT II
(LK-RQ1Z)
★★★ ★★★ ★★★1/2 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 coolshot2
6
(2)
リコー DC-3 ★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 DC-3
7
(4)
ソニー MVC-FD7 ★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★ - ★★★ MVC-FD7
8
(3)
シャープ VE-LC2 ★★★ ★★★ ★★★1/2 ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 VE-LC2
9
(6)
三洋電機 DSC-V1 ★★★1/2 ★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★ SANYO DSC-V1
10
(9)
カシオ QV-700 ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★ ★★★ ★★1/2 カシオ QV-700

【ランク理由】

 この年末に向け意欲的なモデルが続々登場したVGAクラス。そのため、本ランキングも上位機種の大半が入れ替わるという激動のランキングとなっている。

 まず、No.1は今回久々に入れ替わり「富士フイルム DS-30」とした。実は、本ランキング更新にあたって、先週の時点までは今回No.2とした「リコー DC-3Z」をトップにする予定だった。しかし、DS-30の実販価格が予想外に手頃な価格(5万円前後)になったため、その値頃感と基本機能の充実度を考えて、今回はごく僅差ではあるが、「DS-30」をトップとした。このモデルはオートフォーカス式の3倍ズーム搭載機であり、光学式と液晶(低温ポリシリコンTFT)モニターの両方を採用した高級機。電源は専用のリチウムイオン式で本体充電もできる(ACアダプターも標準付属)ため、ランニングコストも安い(もっとも、専用電池なので充電し忘れると使えないし、旅先で困ることもあるが)また、記録媒体のスマートメディアも5Vと3.3Vの両方が利用できる。スマートメディア搭載機は、フロッピードライブで読み込める「FlashPath」も登場し、使い勝手が大幅に向上した点も大きなポイントといえる。画質もなかなか良好で見栄えのするものとなっているが、赤や黄色などの輪郭に独特な乱れがでる点とスミアがでやすい点など、やや機能的には不満が残る。
【10/15】富士写真フイルム「DS-30」ベータ機サンプル画像

 No.2は同じく3倍ズームの「リコー DC-3Z」。実力的にはトップの「DS-30」と肩を並べるほどのモデルであり、標準小売価格も1万円以上安価なモデルだが、量販店では実販価格が「DS-30」と同等かやや高いため、お買い得度という点で今回はNo.2とした。本機の場合、3倍ズームでも望遠側重視(35mmカメラ換算で約45~135mm相当)のため、遠方のものをアップにするというズームならではの楽しさという点では、ややワイド寄りのDS-30よりも楽しめる(もっとも、屋内撮影では困るケースも多い)。また、リコーの歴代モデル同様接写には強く、ワイド側ではAFのままでもレンズ前1cmまでOKという点も魅力。さらに、電池が普通の単三型という点も旅先などでは安心だ。一方、ベースとなっているモデルが「DC-3」(今後も併売される)というベーシックモデルのため実用性を重視したものとなっており、液晶モニターの表示品質や画像の記録時間(約6秒。DS-30は約3秒)など、日常的な使用感を左右する部分で、DS-30に比べると物足りなさを感じる。
【11/21】リコー「DC-3Z」使用レポート

 No.3は三代目サイバーショット「ソニー DSC-F3」。外観は前モデルとほとんどかわらないが、内容は心臓部といえるCCDも1/3インチから1/4インチへと変更されるなど、大幅に改良されている。なかでも、内部処理の高速化や大容量バッファーメモリーの搭載により、高速連写機能や簡易動画撮影機能などを実現しており、従来のデジタルカメラとは一線を画すほどの魅力を備えている。また、パソコン接続キットに同梱されている「Pic`n Roll」というきわめて多機能なアプリケーションを利用することで、画像転送や画像データのブラウザはもちろん、パノラマ合成やアニメGIF生成、簡易ホームページ作製などもできる点も大きな魅力といえる。まあ、内蔵メモリー専用機という点はやや物足りない感じもするが、内蔵メモリーが8MBに増えたことで、スタンダードモードでも約100枚、エコノミーモードなら200枚前後の撮影ができるため、撮影時にはさほど支障を感じない。
【12/2】吹っ切れた三代目Cyber-Shot『DSC-F3』実写レポート

 No.4は、前回までトップだった「DS-20」。おとなしいモデルではあるが、今も単焦点タイプのなかでトップクラスの実力を備えたモデルであり、いまや実販で3万円を割るほどのお買い得モデル。予算が3万円前後なら、いまも一番のオススメ機種といえる(プラス1万円でFlashPathを購入すれば無敵だ)。
【5/19】富士フイルム「DS-20」ファーストインプレッション

 No.5は、この秋にモデルチェンジされたばかりの超小型の液晶付きモデル「New COOLSHOT II」。このモデルは今春発売された初代「COOLSHOT II」のフルモデルチェンジ版で、外観はさほど変わっていないように見えるが、機能的にはかなり向上しており、メモリーは内蔵専用からCFカードになり、ファインダーも液晶式だけなく光学式も内蔵。ストロボもオプションながらも超小型のものが用意されている。さらに、記録時間も従来の約20秒から約6秒へと短縮化されており、液晶モニターのレスポンスも先代より向上し実用レベルになっているうえ、電池の持ちも遥かに向上している(詳しくは使用レポートを参照されたい)。そのため、先代モデルは超小型ではあるが、我慢を強いられる部分が多いモデルだったが、今回のモデルでは十分に日常的な使用に耐えるものに成長している。もっとも、画質、とくにピントの切れ味の甘さ、マクロモードでの撮影距離が40cmと長すぎる点など不満な点もあるが、とくに携帯性を重視する人にオススメしたい、なかなか魅力的なモデルといえる。
【11/26】松下「New COOLSHOT II(PalmCam)」&EPSON AMERICA「PhotoPC 550」実写レポート

 No.6は、リコーの普及型モデル「DC-3」。このモデルは35万画素で内蔵メモリーと液晶ファインダー専用機というシンプルなモデルだが、使い勝手はなかなか良好で価格もこなれている。また、画質もなかなかよく、マクロ撮影にも強く、ストロボも内蔵するなど、デジタルカメラの楽しさを気軽に体験するのに適したモデルといえる。もっとも、予算さえ許せばやはり3倍ズームの上級機「DC-3Z」をオススメしたい。
【7/31】リコー「DC-3」レポート

 No.7は、ソニーのデジタルマビカ「MVC-FD7」。10倍ズーム搭載でしかもフロッピー記録、しかも電池の持ち時間も2時間近くで500枚程度の撮影ができるという、なかなか魅力的なスペックを備えた超個性派モデル。サイズこそ大きいが、実用性が高く、超望遠撮影やマクロ、モノクロやセピアなど楽しめる要素も多く盛り込まれている。今回は魅力的な新機種が上位に食い込んだことで7位になったが、「一課に一台」というキャッチフレーズ通り、とくに業務用途で威力を発揮するモデルであり、超望遠撮影などを楽しみたいユーザーにもオススメできるモデルといえる。
【7/30】ソニー Digital Mavica「MVC-FD7」レポート

 No.8は、シャープの液晶付き小型モデル「VE-LC2」。内蔵メモリー専用機ながらも、2.5インチTFT液晶と回転式のレンズ部を採用しながらも、楽にポケットに入るほどの小型化を実現した魅力的なモデルだ。さすがにCFカード採用でしかもさらに小型の「COOLSHOT II」のようなモデルが登場した現在では、ややインパクトに欠けるきらいもあるが、質感もよく、価格もこなれていることを考えると、なかなかいい選択肢といえそうだ。もっとも、ピントがやや甘めで、暗いシーンではゲインアップでかなりノイズっぽくなる点はやや気になる部分もある。

 No.9は、サンヨーの「DSC-V1」。内蔵メモリー専用機ではあるが、軽快な操作感と完成度の高さという点では、VGAクラスでもピカイチといえるほど。だが、サイズも大きく、価格もやや高めである点を考慮すると、現時点ではやや魅力薄なことは確かだ。もっとも、シリアル転送やボディーサイズなどが気にならない人には、画質もよくて使いやすいVGAモデルとして十分オススメできるモデルといえる。
【3/27】三洋電機「DSC-V1」ファーストインプレッション

 No.10は、カシオのVGAモデル「QV-700」。本機は約1秒という高速記録やモノクロ、セピア化、レンズ回転時にも利用できる内蔵ストロボ、CFカードの採用、2.5インチTFT液晶の搭載など、なかなか意欲的なモデル。残念ながら、画質面では現行の標準的なモデルにくらべ見劣りする部分もあり、サイズも結構大きめ。さらに、CFカードながらも同社独自のCam形式のファイルを採用しているため汎用アプリケーションで開けないという欠点はあるものの、実際に使ってみると、大型液晶の採用やクラストップレベルの連写性能のため、結構軽快に撮影できるモデルといえる。
【10/1】カシオ「QV-700」サンプル画像

【Over VGAクラス】
順位
(前回順位)
メーカー名 機種名 画質 機能 操作性 デザイン 携帯性 ソフト コスト 関連記事
1
(1)
オリンパス C-1400L ★★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★1/2 ★★★ ★★★★ C-1400L
2
(2)
コダック DC210 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★1/2 DC210
3
()
コニカ Q-M100 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ Q-M100
4
()
オリンパス C-1000L ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★1/2 ★★★ ★★★ C-1000L
5
(3)
エプソン CP-500 ★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★1/2 CP-500

※今後、新製品の登場、既存機種のメリット&デメリットの新規発見、実販価格の変動などにより、随時ランキングが変わりますので、ご了承ください。




【ランク理由】

 徐々に機種数が増えてきたOver VGAクラス。来年はこのクラスのニューモデルが続々登場することが予想されるが、現時点でもなかなか魅力的なモデルが揃いつつある。

 No.1は、前回同様、「オリンパス C-1400L」。やはり画質、なかでも解像度の高さが要求されるこのクラスでは、現時点ではダントツの性能を備えたモデルといえる(詳細は実写レポート参照)。この価格のモデルで、これだけ高精細な画像が得られれば十分に満足できるものといえる。とくに、2/3インチという大きなCCDがもたらすメリットには大きなものがある。また、市販品の一部に画像の傾きがあるという問題が発生しているが、被写体により目立たないケースもあるため、メーカー側では“非公式ながら”も「約1度までは許容範囲」という一応の指針を設けているという。現時点では独走体制といえるが、来年のライバル機の登場が期待される。
【9/17】オリンパス「C-1400L」ファーストインプレッション

 No.2も前回と同じく「コダック DC210」とした。本機については発表直後に実写レポートをお届けしているが、市販品の実力を確かめるべく、最新モデルでの実写を行ったところ、発表当時のベータ版モデルよりも解像度が若干向上していたことをまず報告しておこう。このモデルはいまや実販5万円台で、しかも109万画素の2倍ズーム搭載機と、他の高画素モデルを圧倒するほどのコストパフォーマンスを備えている。もちろん、パンフォーカス式のため、撮影距離によってはピントの甘さを明確に感じることもあるが、これだけの画質もカメラがこの価格帯で購入できるのは、やはり大きな魅力といえる。
【9/17】コダック「DC210 ズーム」β版 サンプル画像続報(晴天版)
【9/16】コダック「DC210 ズーム」β版ファーストインプレッション

 No.3は、初登場の「コニカ Q-M100」。このモデルは108万画素の補色系CCDを採用したモデルで、オートフォーカス式の単焦点レンズを採用していることもあって、解像度の点ではDC210を上回り、C-1400Lに迫るほどのシャープネスを誇るモデルといえる。また、ボディーサイズも比較的コンパクトで携帯性もよく、操作性もカメラ風で使い勝手もいい。また、光学ファインダーの見え味が実に良好なうえ、画像の記録時間も約6秒と高速で、なかなか軽快な使用感を実現している点は大きな魅力といえる。また、あまり目立たない機能だが、接続キットを利用することで、カメラの機能をカスタマイズできたり、付属のPhotoshopプラグインである「PC暗室」では写真的な視点からの画像補正が実に容易にできるといった点も好感が持てる。もっとも、液晶モニターの表示品質(レスポンスや見え味)が今一つな点と、98,800円という高めの価格設定(実販価格でも接続キット込みで7万円台)は、やはりマイナスポイントといえる。おとなしいモデルではあるが、肩肘張らずに気軽に使えるメガピクセル機が欲しい人に、とくにオススメしたい魅力的なモデルといえる。
【11/6】メガピクセルデジタルカメラ「コニカ Q-M100」ファーストインプレッション

 No.4も、同じく初登場の「オリンパス C-1000L」。このモデルはC-1400Lの姉妹機の85万画素モデルで、画素数とCCDサイズ以外の機能面ではほぼC-1400Lと同一と考えていい。しかし、レンズが同じでCCDサイズが小さいため、写る範囲が35mmカメラ換算で50~150mm相当と望遠寄りな点がやや気になるが、画素数が少ない分、画像の記録速度も7秒前後と早く、撮影枚数もC-1400Lより多い。さらに、感度もC-1400Lの1.8倍もあり、カメラブレの影響が少ないという大きなメリットもある。また、写りもだいぶ異なり、解像度こそC-1400Lには及ばないが、本機の方が色再現性が自然で見た目に近い素直さを備えている点には好感が持てる。ただ、やはり日常的に利用するにはボディーサイズが大きい点と、価格差から考えるとやはりC-1400Lのほうがお買い得感があるため、今回は4位とした。

 No.5は、81万画素モデル3機種のなかから「エプソン CP-500」を選んだ。同機は先だって20MBカードに対応し(以前は15MBカードまで)、PM-750CやPM-700Cなどにカメラを直結しダイレクトプリントできるソフトをプリインストールしたマイナーチェンジが施されている。(アップグレードも可、詳細はこちら)実力的には「サンヨー DSC-X1」「オリンパス C-820L」と同等といえるが、ほぼ同じ価格で、接続キットや豊富な付属ソフトまで同梱されており、お買い得感がある。
【9/3】対決!! 81万画素モデル エプソン CP-500 VS オリンパス C-820L
【5/1】エプソン「カラリオ CP-500」ファーストインプレッション

□エプソン CP-500無償アップグレードサービスのご案内
http://www.i-love-epson.co.jp/products/tp/camera/cp500/upgrade/cp500_up.htm

■過去のランキング

■参考記事

■注意■

[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp