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プロカメラマン山田久美夫の

富士フイルム「DS-20」ファーストインプレッション



「DS-20」  先日発表されたばかりの富士写真フイルムの新鋭機「DS-20」の、実写可能なベータ版モデルが早くも入手できた。人気モデル「DS-8」の後継機として注目されるモデルだけに、その実力はかなり気になるところ。そこで今回は本当のファーストインプレッションをお届けしよう!

 届いたモデルはまだ製品版ではなく、ボディーの細部はまだ未調整ということだが、画質に関してはほぼ最終版に近いものという。そこで、一番気になる写りについて、DS-8と比較してみた。

注:今回掲載の「DS-20」の画像はベータ版モデルで撮影されたものであり、最終版ではありません。



●一目瞭然の画質の差、彩度が高い色調

「DS-20」サンプル

「DS-8」サンプル

【DS-20で撮影】 【DS-8で撮影】
 結果はもう一目瞭然。「DS-20」のほうが圧倒的にキレイで自然だ。もともと、DS-8も写真的なきれいさを備えたモデルだと思っていたが、今回のDS-20はまさに写真!という感じの、実に自然で緻密な描写となっている。とくに、従来から富士の悪しき(失礼!)伝統だと思っていた、輪郭の甘さが見事に解消されている点には感心する。とにかく、この画像を原寸大で表示して見れば、そのクォリティーの高さが容易に理解できるだろう。

 色味もDS-8とやや異なっており、どちらかというと「エプソン CP-200」や「サンヨー DSC-V1」に近い、やや彩度が高めの、明るい色調になっている。また、階調の再現性もDS-8より滑らかになっており、好感が持てる。これくらいの違いがあると、たぶん、ブラインドテストをしても、DS-20を選ぶ人が大多数を占めそうだ。



●機能も向上、3.3Vスマートメディアに対応

「DS-20」サンプル

「DS-8」サンプル

【DS-20で撮影】 【DS-8で撮影】
 機能面でも大きく進化している。詳細は追ってレポートするが、その要点だけを紹介すると、まず、記録時間が従来の半分近くまで短縮化されている。実際、ファインモードで約5秒、ノーマルモードでは約3秒となっており、軽快感が増している。これなら、光学ファインダーを使ったスピーディーな撮影にも何とか対応できそうだ。しかも、本機はスマートメディア(旧名:SSFDC)の3.3V仕様に対応しているため、将来登場する8MBカードも安心して利用できる、16MBカードはまだ未確認とのことだがまず問題ないだろう。(もちろん、現行の5V仕様のカードもOKだ)。


「DS-20」タングステン光

「DS-20」デーライト

【タングステン光 モード】 【デーライト モード】
 撮影モードにはマニュアル設定モードが追加され、明るさ調整(露出補正)やストロボの光量調整(調光補正レベル)が設定できる。さらにホワイトバランスもオート以外に、デーライト(日中光)、タングステン光、蛍光灯(2種類ある)にマニュアル設定することができる。そのため、従来のようにオート専用で、夕焼けや電灯光が赤く写らなかったという欠点もきちんとカバーされている。

 なお、このモードでは、シャッターボタンを押しても、即座に画像が記録されず、まず補正した結果が液晶にプレビュー画像として表示される。それを見て確認したあと、実行ボタンを押して記録することもできるし、キャンセルして再調整して撮影することもできる。この機能を利用すれば、無意味なカットをいちいち記録することがなく、あとで削除する手間も省けるわけだ。

 新設されたセットアップモードでは、ストロボの発光モードや記録モード(今回はファイン専用ポジションはなく、ここでセットする)、の設定はもちろんのこと、「シャープ、ノーマル、ソフト」という画質設定までできる。つまり、内部処理での輪郭強調の度合いを自分で設定できる機能まで備わっている(今回はすべて、ファインモードで画質はノーマルで撮影した)。


「DS-20」サンプル

「DS-8」サンプル

【DS-20で撮影】 【DS-8で撮影】
 そして、今回はファイル名の連番機能も追加された。従来機種ではスマートメディア1枚ごとにファイル名が00001からふられていたため、パソコン転送時にオーバーライトして以前の画像を消してしまう可能性があったが、DS-20では連番機能が追加されており、カード交換時の最後の番号をもとにファイル名を連番として記録してくれる。

 連番は3万番までは自動的にふられるので、同じディレクトリーにファイルをどんどんコピーしていっても安心というわけだ。



●久々の大本命モデル

「DS-20」サンプル

「DS-20」サンプル

【DS-20で撮影】 【DS-20で撮影】
 まだ、実機を手にして2日しか経っていないので、詳しい実写レポートは追ってお届けするが、とにかく短期間使用しただけでも「DS-8」を上回るほどのポテンシャルの高さは明確に感じ取れる。また、今回は確かめられなかったが、電池の持ち時間もかなり改良されているという。

 もっとも、いまだに絞り値が手動切り替えである、液晶がMIM式で視認性に限界がある、単3型電池4本仕様のため厚みがそれなりにあるなど、いくつかの欠点は依然残っており、必ずしもパーフェクトなモデルではない。

 だが、少なくとも、現行の35万画素モデルのなかでもトップレベルの画質と機能を備えた、かなり魅力的なモデルであることは確実! 来月の発売が待ち遠しい、久々の大本命モデルといえそうだ。



□富士写真フイルム株式会社のホームページ
http://www.fujifilm.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj198.html

□参考記事
【5/13】富士フイルム、ストロボ、光学ファインダー内蔵の普及型デジカメ「DS-20」を発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970513/fuji.htm
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

■注意■

('96/5/19)

[Reported by 山田 久美夫 ]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp