VGAデジカメの次世代スタンダード? 「Che-ez! SPYZ」

9月下旬発売

購入価格:7,980円



 ニチメンからZippoサイズのデジタルカメラ「Che-ez! SPYZ」が発売された。弊誌でも既に9月の発表時にレポートしているが、改めて発売された実機では、その小ささだけでなく、画質や機能の点でも注目に値する製品となっていた。ここではその機能や、実際の撮影画像などを中心に簡単なレポートをお送りする。


■スパイカメラ? 「Che-ez! SPYZ」買ってみました

パッケージもアルミボックスとなっている。USBケーブルやユーティリティディスクが同梱される

 編集部に「Che-ez! SPYZ」が来たのは、先週の木曜日。といってもメーカーから借りたわけではなく、AKIBA PC Hotlineの石橋編集長が買ってきたものだ。とりあえず新しいものということで、編集部員がわらわらと集まる。まず、手にとって真っ先に気づくのは、小ささはもちろんながら、そのアルミ製ボディの高級感。ブルーとシルバーの2色が用意されているが、ともにアルミの光沢をうまく活かしたデザインとなっており、非常に高級感が高い。また、画質もVGAデジカメの中ではかなり高く感じた。2月にレポートしている無印良品のVGAカメラより色味がよく、特にVGAカメラでつぶれがちな文字などもきっちりと撮影できる点などが興味を引いた。

 ということで、休日の新宿のヨドバシカメラに買いに行く。店頭に見あたらなかったので「ニチメンの小さいデジカメでSPYZ(スパイゼット)ってありますか?」などと店員に聞くと「ZippoサイズのChe-ez! SPYZ(チーズスパイシー)ですね」と言い直される。スパイでなく小粒でぴりりと辛いというあれね、と妙に納得しつつ、即単4電池を入れて即撮影してみる。ちなみに購入価格は7,980円(税込み8,379円)で、電池は付属しない。


■盗撮対策のビープ音も? --画質は思いのほか良い

 とても小型なため、シャツの胸ポケットにいれて、撮りたい時にすぐ取り出して利用できる。慣れれば、歩きながら人の流れにあわせてシャッターを切ってもそこそこの画質でとれるし、地図や看板を撮るなどビジュアルメモ代わりに利用することもできる。

本屋の陳列棚を撮影。
わざわざカメラを取り出す手間が省けるほか、文字もきちんとよめ、ビジュアルメモとしても使える

 一応ファインダーも付いているのだが、とても見ずらい。若干こちらが意図した構図と違い上端が切れているように思えたが(撮り方が悪いともいうが)、簡単なスナップを撮るだけならば、慣れればどうにかなるようだ。

 盗撮防止のためか、撮影時には小さなビープ音がするが、新宿周辺の雑踏ではほとんど音を感じられない。電車内で中吊り広告を撮影するときなど、300万画素級のデジタルカメラをいちいち取り出して撮影するのはなんとも恥ずかしいが、SPYZではカメラを取り出し、構えるという一連の動作を必要としないため、あまり恥ずかしい思いをしなくてすむ(かもしれない)。

 デジタルカメラとしての機能は、レンズにはCMOS 35万画素を採用しており、記録解像度は640×480(HIGH)/320×240(LOW)ピクセル。記録枚数はHIGHで26枚、LOWで107枚。レンズは35mm換算44mmの単焦点となっている。

 画質については、普通のVGAカメラよりちょっと上という印象を持った。たとえば2月にレポートしている無印良品のVGAカメラだと色の濃淡がうまく再現できず、常に曇りのような画像となっているのだが、こちらはちょっと派手すぎるぐらいな絵作りだ。CASIOの「LV-20」などと比べても、だいぶきれいにとれるようになっていると思う。気づいた欠点としては、撮影する対象(と撮影者のスキル)にもよるが、色の境界で若干にじみやジャギーが目立つほか、白色蛍光灯下など、明るい環境で撮影した際に白く飛んでしまう傾向があるように感じた。

 なお、「SPYZ」のデータ形式はBMPとなっているため、掲載画像はPhotoshop 6.0で最高画質でJPEG圧縮している。

ビッグピーカン 車のテールランプもきれいに撮れる 蛍光灯下ではあまりうまくとれなかった


■動画機能やPCカメラ機能も搭載

USBミニBコネクタを装備

 インターフェイスは、USB ミニBコネクタを装備。データの吸い出しは付属のユーティリティ「Che-ez! Manager」で行なえる。対応OSはWindows 98/Me/2000、Mac OS 8.6~9.1。

 動画撮影機能も備え、640×480ピクセルで約8秒、320×240ピクセルで約28秒の撮影が可能。さらに特徴的なのは、Windows環境ではUSB接続のPCカメラとして利用できる。解像度は、VGA(640×480)/CIF(352×288)/QVGA(320×240)/QCIF(176×144)/QSIF(160×120)/SQCIF(128×96)が選べる。フレームレートは1~15fps。記録形式はAVI(Quicktime)。NetMeetingにも対応しWebカメラとして活用することもできる。

 基本的に普通のPCカメラとしての機能はほとんど備えており、カメラの付加機能としてはとても高機能。三脚用の穴もついており、特に動画撮影時には重宝する。

 また、USBコネクタが標準のミニBコネクタとなっていることや、三脚用の穴なども独自規格でなく、標準的なものとなっており、汎用の製品が流用できることもポイントが高い。


■若干の不満点もあるがトータルの満足度は高い

暗いところではシャッターが切れない

 不満点としては、暗いところではシャッターがまったく切れないこと。カメラが暗いと判断すると、ビープ音を発し撮影できなくなってしまうのだが、夕暮れ時には街灯の下など、ある程度光量を得られるような場所でないとシャッターを切れず、また、やや暗い地下鉄のホームでも場所によっては撮れないことがあった。これには盗撮防止という側面もあるのかもしれないが、若干残念なところだ。

 また、特に白色蛍光灯下での撮影では、人肌が白く飛んでしまいがちで苦労した。よくあるシチュエーションだけにこのあたりはもう少しどうにかして欲しいところだ。

 もう一つ気になるのは内蔵メモリがSDRAMのためか、電池がすぐになくなってしまうこと。カタログスペックでは、スタンバイモードで約2週間稼働が可能となっているが、100枚以上の撮影を行ない、動画撮影などを繰り返し行なった結果、5日で2度の電池交換が必要となった。また、電池が無くなると撮影画像が消えてしまうため、撮影したデータをすぐにPCに吸い出すなどの配慮が必要だ。


 しかし、細かな不満点はあるものの、この小ささと画質、機能を8,000円程度で実現したパッケージングのよさは、同クラスのデジタルカメラでは群を抜いている。群雄割拠のVGAデジタルカメラだが、「Che-eZ! SPYZ」、新たなスタンダードとなりうる力を持った製品に仕上がっている。


■ついでなので分解してみました

 ということで、PC Watch周辺では、購入者が続出している「Che-ez! SPYZ」だが、AKIBA PC Hotline!の青山氏が購入後分解していたので、分解写真もお届けする。注目されるのは、内蔵メモリ(8MB)としてSDRAMを1チップ搭載していることだ。

分解: aoyama@impress.co.jp
撮影: aoyama@impress.co.jp

□製品情報
http://www.che-ez.com/
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【9月4日】ニチメン、Zippoライターサイズの小型デジカメ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010904/nichimen.htm
【2月13日】良品計画、“無印良品”ブランドのデジタルカメラを発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010213/muji.htm

(2001年11月1日)

[Reported by usuda@impress.co.jp/aoyama@impress.co.jp]

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