東芝、パソコン事業が海外で苦戦
~9月中間期は赤字、通期見通しも赤字転落へ

岡村 正社長(左)と
島上 清明副社長(右)
10月26日発表



 株式会社東芝は26日、2001年度9月中間期決算を発表した。

 売上高は前年同期比11.2%減となる2兆5,106億8,700万円、営業利益はマイナス983億9,200万円、税引き前利益はマイナス1,965億5,300万円、当期純利益はマイナス1,231億3,700万円の赤字決算となった。

 東芝は8月27日に業績の下方修正発表を行なっているが、米国の同時多発テロの影響などで半導体の売価がさらに下落した。9月に入り8月以上に収益が悪化したこともあり、「今年度見通しは8月の発表時点から、さらに下方修正しなければならなくなった。この未曾有の業績悪化に対しては経営トップとして真摯に立ち向かう覚悟であり、前回発表した“01 アクションプラン”を完全に実行していくことが重要だと考え、全社あげてそれに取り組んでいく。一部については予定を前倒しして実行する」(岡村 正社長)と、積極的に構造改革を進めていく姿勢を強調した。

 ただし、追加のリストラは行なわず、人員削減はすでに発表している、従業員の1割削減にとどめる考え。

 また、通期売上高見込みは、前回発表に比べて2,900億円のマイナスとなる5兆4,600億円、営業利益も前回の0を修正しマイナス1,100億円、税引き前利益がマイナス3,000億円、当期純利益はマイナス2,000億円として、通期での赤字決算となる見通しであることを示した。

 通期見通しの赤字化については、半導体を含む電子デバイスがマイナス1,500億円、パソコンを含むデジタルメディア部門がマイナス600億円、社会システム部門がマイナス50億円、重電システム部門がマイナス150億円、家庭電器部門がマイナス100億円、そのほかの部門がマイナス300億円となり、150億円の利益を出す見込みの情報・通信システムを相殺してもマイナスが上回る見込みだ。

 マイナス1,500億円と赤字決算の主要因となった半導体事業は、システムLSI、DRAM、液晶ともに価格が大幅に下落するなど、厳しい状況はさらに続いており、リストラについても1年前倒しで実施することを決定し、来年3月までに3,000人削減を実施する。

 デバイスメディア部門の赤字の原因となったパソコンは、米国でのシェアが高いことが災いし、米国でのIT需要の激減が大きく影響した。

 「デスクトップパソコンは大きな需要減となり、当社の主力製品であるノートブックについても伸び率の鈍化が見込まれる。今後の減収減益は避けられないものの、下期にはWindows XP、ネットワーク需要の増大が見込めるなど、明るい材料もある」(島上 清明副社長)としている。

 パソコンの通期売上高見込みは8月時点より400億円少ない6,600億円で、前年比7%減となる。

 出荷台数は上半期は国内47万台、海外105万台の計152万台。通期見通しは国内が前年比10%増の110万台、海外が11%減の240万台で、合計で5%減の350万台としている。

 8月27日の“01 アクションプラン”の発表では、パソコン事業の下期回復に言及していた岡村社長だったが、今回の決算発表では、むしろ、今後の苦戦を予測する発言へと変わっていた。海外でのパソコン事業の落ち込みが予想以上に大きかったといえるだろう。だが、国内に関しては、依然として前年比2桁増の大きな伸び率を予測している強気な姿勢には注目しておきたい。


□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/er200110/japanese/index_j.htm
□01 アクションプランについてのホームページ
http://www.toshiba.co.jp/toshiba/actionplan_j.htm
□関連記事
【8月27日】東芝、1,200億円のリストラ。17,000人を削減
~メモリ事業の売却も視野に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010827/toshiba.htm

(2001年10月26日)

[Reported by 大河原克行]

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