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MICROPROCESSOR FORUM 2001開幕速報AMDの“Hammer”、Transmetaの“TM6000”など注目の技術を各社が公開
会場:Fairmont Hotel(カリフォルニア州サンノゼ)
初日となる本日は、午前中にマイクロプロセッサ関連の業界紙として有名なMICROPROCESSOR REPORT誌のアナリストによるセミナー、午後にはカンファレンスが行なわれ、PC用マイクロプロセッサメーカーによる新技術の発表が行なわれた。そこでは、IntelによるHyper-Threading TechnologyとBaniasに関する講演、AMDによるHammerの詳細、TransmetaによるTM6000、VIA/Centaur TechnologyによるC5X、CZAなどに関する発表が行なわれ、今後のPC用マイクロプロセッサの将来を占う上で非常に重要なイベントとなっている。 本レポートでは、各ベンダーの発表の概要を速報としてお届けする。
●「ユーザーの体感をあげていくことが大事」とIntelのラトナー氏
その中で、「すでに現在のCPUは消費電力がかなり大きくなっている。今後は消費電力をあまり上げることなく、CPUの処理能力を上げることができるHyper-Threading Technologyのようなアプローチが有効だ」と述べ、今後はスレッドレベルの並列実行を行なっていくことがトレンドになるだろうと指摘した。
引き続き、Pentium 4のマイクロアーキテクチャであるNetBurstマイクロアーキテクチャの開発チームの一人であるIntelフェローのグレン・ヒントン氏がHyper-Threading Technologyに関する説明を行なった。 Hyper-Threading TechnologyはIntel Developer Forum Conference Fall '01ですでに公開されている、CPUを仮想的にマルチプロセッサに見せかける技術で、2002年の前半にリリースされるXeon MPプロセッサで導入されることが明らかにされている。 基本的に公開された内容は、IDFで明らかにされたことの延長線上にあることだが、今回のプレゼンテーションでは、実際のアプリケーションを利用したベンチマーク結果が公開された。それによれば、Xeon MP 1.6GHz(L3キャッシュ:1MB)において、Hyper-Threading Technologyを有効にすると、無効にした場合に比べてLinuxのビルドで1.18倍、Windows 2000 ServerのActive Directryの処理が1.18倍、マイクロソフトのSQL Serverで1.22倍、Exchange Serverで1.22倍、IIS(Internet Information Service)で1.30倍というスコアがすでに出ているという。 なお、明日にはXeon MPのバリエーションの1つとしてNocomaというコードネームのCPUコアを発表する予定となっており、こちらも併せて注目を集めている。
●PC2700をサポートするDRAMコントローラを内蔵したHammer
最も大きな特徴は、CPUにDRAMインターフェイスが統合されていることと、システムバスにHyperTransportが採用されていることなどがあげられる。HyperTransportは3ポート用意されており、CPU同士の接続、I/Oチップの接続などに利用される。 ウェバー氏によれば「IPC(Instruction Per Clock、1クロックに実行できる命令数)とクロックでバランスがとれ、高性能が発揮できる製品となっている」とのことで、基本的には従来のAthlonと同じように、クロックを高めていくというよりは、IPCとクロックの両方をあげていき、トータルのパフォーマンスをあげていくというアプローチがとられているようだ。このため、Hammerになったとしても、Pentium 4にクロック周波数では勝てない可能性が高く、引き続きモデルナンバーのような取り組みを続けていく可能性が高いと考えていいだろう。
●Transmetaはサウスブリッジの機能を統合したTM6000を発表
TM6000は、従来別チップとしてALiなどから供給されていたサウスブリッジや、ビデオチップ(ただし2Dのみ)をCPUに統合したチップで、1チップでPCを構成することができる。これにより、TM5800、サウスブリッジ、ビデオチップにより構成されているシステムに比べて44%も消費電力を削減することができるという。 ディッツエル氏はこのTM6000のメインターゲットとして新しいSFF(Small Form Factor、省スペース)のモバイルPC、高密度サーバー、x86の組み込みシステムなどをあげており、2002年に1GHzのクロックで出荷する予定であると述べた。
●VIA/Centaur TechnologyはC5X、C5XLの詳細や次世代CZAの構想を明らかに
それによれば、VIA/Centaurは既にVIAのコードネームでEzra、CentaurのコードネームでC5Cというゲート長が0.13μmの製造プロセスルール(実際にジオメトリは0.15μmであるので、0.15/0.13μmハイブリッドなどと呼ばれるプロセス)のCPUをC3プロセッサとして投入している。今後、C5Cの改良版としてVIAのコードネームでEzra-T、CentaurのコードネームでC5M/C5Nと呼ばれるC3の改良版を投入する。 現行のEzra(C5C)では、クロックグレードは1GHzまでが予定されているが、Ezra-T(C5M、C5N)では、銅配線、Low-K、Tualatinと同じ1.25VのAGTLのシステムバスなどに対応することにより1.2GHzまでのクロック向上が予定されているという。 さらに、2002年にはC5X、C5XL、C5YLというC5Xシリーズが予定されているという。C5Xシリーズは昨年のMICROPROCESSOR FORUMで明らかになった次世代CPUコアで、VIAのコードネームではNehemiah(ニアマイ)と呼ばれているコアだ。ヘンリー氏によればC5Xのローコスト版としてC5XL、C5YLが用意されているという。Nehemiah/C5Xはダイサイズが78平方mmと、現在のC3の52平方mmに比べて大きくなっているため、よりコストパフォーマンスに優れたCPUとして機能を絞り、L2キャッシュの容量を制限したC5XL、C5YLというバージョンを用意するという。
なお、昨年のプレゼンテーションではCXと呼ばれていたC5Xマイクロアーキテクチャの次世代コアは、CZマイクロアーキテクチャと名前が変更され、CZAと呼ばれている。
□MICROPROCESSOR FORUMのホームページ(英文) (2001年10月16日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング] |
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