エレコム、9月に店頭市場に上場
~HDD、メモリ、モニタからの撤退でリストラは完了済

葉田順治社長

8月27日 発表



 9月20日に店頭市場に株式を公開するサプライメーカーのエレコム株式会社は、公開に先駆けて、同社の中期経営計画などについて明らかにした。

 エレコムの葉田順治社長は、「当社は、数年前からPC関連商品メーカーという位置づけから、IT生活デザインカンパニーへと転身を図っている」とし、「今後は、ブロードバンド関連製品の品揃え強化と、法人向け事業の拡大を図る」と、今後の事業方針を語った。

 ブロードバンド関連製品としては、現在、無線LAN、ハブ・ボード関連、ADSL関連機器、LANケーブルなどを製品化しているが、「この分野は、さらに幅広い製品群の品揃えを重点的にすすめ、現在、当社売上に占める13.5%の割合を、さらに高めていきたい」としている。

 また、同社ではサプライ製品を含めて、現在、3,500種類もの製品を扱っているが、「ようやく、年間1,500製品の新規製品が出せる体制が整った。入れ替わりが激しいだけに、こうした新しい製品が出せる体制は当社の強みになる」として、今後も積極的な新製品攻勢をかける姿勢を示した。なお、2000年度は997の新製品を開発し、市場に投入したという。

 今後の中期計画として、同社では、「強みのさらなる強化」と「未開拓分野への対応」の2点を掲げている。

 従来事業の強化としては、1)品揃えの増強と、新製品投入率のさらなる向上による展開力の強化、2)今年6月に開設した東京・青海の物流センターの本格稼働によるインフラ整備に取り組む。

 また、未開拓分野への対応としては、1)ブロードバンド関連製品をはじめとする新領域での新製品開発強化、2)製品開発と販売体制を軸とした法人向けマーケティング展開の強化、3)アジア近隣諸国および欧米地域への進出-を目指している。海外進出では、すでに今年1月に韓国へ、4月には香港へ進出しており、「現在、英国への進出に向けて慎重な話しあいをすめている段階」(葉田社長)としている。5年後には、海外で100億円の売上高を見込んでいる。

 同社の2001年3月期の売上高は334億9,000万円(連結)。単体では売上高で前年比31.9%増の301億8,100万円、経常利益は同31.4%増の35億3,700万円。

 「製品の企画開発、調達は当社が行ない、生産は台湾、中国などの工場に委託。また、販売店に対しても、中間流通をカットする直卸を行なっていることで、低価格な製品の提供が可能になる。今年6月に開設した東京・青海の物流センターの稼働により、さらに効率的な物流が可能になる」とし、こうした体制づくりが、低価格製品の投入につながることを強調した。

 今回の説明会は、株式公開前に証券アナリストなどを対象に行なったものだが、昨今のIT関連企業のリストラについて葉田社長は、「当社の場合は、'96年の段階で、収益性の低いハードディスク、メモリ、モニタ事業から撤退することで、売上高を半分まで引き落とすという大幅なリストラを実施している。その結果、過去5年間、社員数はほぼ横ばいで推移しているものの、従業員1人あたりの営業利益は12倍に向上した。リストラによる効果が発揮できている」として、IT不況の影響がないことを強調した。

□エレコムのホームページ
http://www.elecom.co.jp/
□関連記事
【7月17日】エレコム、PC用アクセサリの新ブランド「NEW BASIC STYLE」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010717/elecom.htm

(2001年8月28日)

[Reported by 大河原克行]

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