TECHXNY/PC EXPO基調講演レポート

IntelがPentium 4 1.8GHzを来月に出荷と正式表明

Intel主席副社長兼セールス&マーケティング事業本部 ディレクタのマイク・スプリンター氏

会期:6月25~28日

会場:Jacob Javits Center



 ニューヨークで開催中のTECHXNY/PC EXPOは2日目を迎えた。本日はIntelの主席副社長兼セールス&マーケティング事業本部ディレクタのマイク・スプリンター氏による基調講演が行なわれた。この中でスプリンター氏はPentium 4の1.8GHzを来月に、モバイルPentium III-M 1.13GHzを第3四半期中に出荷する予定であると正式に表明した。


●Pentium 4 1.8GHz出荷間近! スプリンター氏が来月出荷を正式にアナウンス

 スプリンター氏は6月27日に行なわれた基調講演の中で、「来月にはPentium 4 1.8GHzと1.6GHzを出荷する」とアナウンスした。Pentium 4 1.8/1.6GHzの投入については、既にCOMPUTEX TAIPEIの時に、同社のビル・スー氏もインタビュー「Intel副社長ビル・スー氏グループインタビュー~プライスポイントを増やすためPentium 4のクロックグレードを拡張する」( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010606/comp08.htm )のなかで認めており、あとはどのタイミングで行なわれるかに焦点が絞られていた。COMPUTEX TAIPEIの記事でも書いたように、OEMメーカー筋の情報によれば、Intelは第3四半期の早い時期に投入するとされており、その時期は7月が有力と見られていた。そうした意味では、今回の発表はその情報を追認したものと言える。

スプリンター氏の講演で触れられたPentium 4 1.8GHzに関するスライド。来月にはPentium 4 1.8GHzが出荷開始される
 今後、IntelはPentium 4をアグレッシブに立ち上げていく。既にPC Watchでも何度も報じているように、Intelは第3四半期中に2GHzと1.9GHzのPentium 4をリリースしていく。スプリンター氏も「第3四半期中にPentium 4 2GHzを追加し、さらに第4四半期にはそれを超えるクロックのPentium 4を出荷する」と、第3四半期のPentium 4 2GHzの出荷を宣言している(これに関しては従来のIntelの公式見解通りだ)。

 注目すべきは、第4四半期に2GHz以上のクロックのPentium 4を出荷するとしている点だろう。これまでIntelは年内にNorthwood(製造プロセスルールが0.13μmのPentium 4、L2キャッシュが512KB)を出荷するとしてきたが、そのクロックに関しては口を閉ざしたままだった。OEMメーカー筋の情報では、IntelはNorthwoodを第4四半期に2.2GHzと2GHzのクロックで導入する予定であるといい、おそらくスプリンター氏はこちらのことを言っているのだと思われる。


●モバイルPentium III-Mは1.13GHzより正式にスタート

モバイルPentium III-Mの登場時のクロックは1.13GHzからと正式に発表
 TECHXNY/PCEXPOの開幕前日に技術発表が行なわれた、Tualatinコアを利用したモバイル向けCPU、「モバイルPentium IIIプロセッサ-M」についても言及があった。

 スプリンター氏は、「モバイルPentium III-Mにより、ユーザーはモバイル環境においてよりハイパフォーマンスを手に入れることができる」とし、その最初の製品は「1.13GHzを第3四半期中に出荷する」と述べ、モバイルPentium III-Mの概要が、Intelの公式な見解として明らかにされた。


 既に、後藤氏の「0.13μm版のPentium III-Mは来年頭に1.26GHzへ」( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010627/kaigai01.htm )でも解説されているように、Intelは登場当初は1.13GHzからスタートし、第4四半期には1.2GHz、2002年の第1四半期には1.26GHzとクロックを向上させていく。また、既にCompaqとの共同記者会見でも明らかにされたように、超低電圧版、低電圧版の計画もあり、徐々にラインナップが増えていくことになりそうだ。

モバイルPentium III-Mを搭載したノートパソコンとして、IBMのThinkPad T23を紹介 基調講演後にIntelブースに展示されていたT23。CPUにはモバイルPentium III-M 1GHzが採用され、グラフィックスアクセラレータはS3 GraphicsのSuperSavage


●基調講演のテーマは「マクロプロセッシング」

 今回のスプリンター氏の基調講演のテーマは「マクロプロセッシング」で、これはもちろん「マイクロプロセッサ」にかけたものだ。これまでIntelの半導体は主に、PCなどクライアント側の半導体として利用されてきた。しかし、今後はItaniumやXeonといった最新のサーバー用CPUなどで、バックエンドにくるデータセンターサーバーやミッドレンジのアプリケーションサーバーなどにも参入していく意向を持っている。そういう意味では「マイクロ」な世界から「マクロ」な世界で使われるCPUとなるわけで、それに引っかけて「マクロプロセッシング」という標語を利用しているのだ。

 スプリンター氏は基調講演の中で「マクロプロセッシングにより、インターネットを活用する会社が、マーケットの急速で根本的な変化に対応し、競争力を高めていくことを可能にする」と述べ、Intelのソリューションを利用することにより、インターネット社会に対応した企業として生き残ることが可能になるとアピールした。その例としてスプリンター氏はUSATODAY.comの例を紹介し、Intelベースのサーバーに交換したあとで、USA TODAYは1日に1億件のリクエストを可能にしたとその優秀さをアピールした。

□TECHXNYのホームページ(英文)
http://www.techxny.com/
□関連記事
【6月26日】Intelが0.13μmプロセスのモバイルPentium III-Mや搭載ノートパソコンを世界初公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010626/pcexpo1.htm

(2001月6月29日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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