TECHXNY/PC EXPO会場レポート

ソニー、Tualatin搭載のフラッグシップノートVAIO GRを初公開

ソニーが参考出品したVAIOノートGR。展示機には1GHzのモバイルPentium IIIプロセッサ-Mが搭載されていた
会期:6月25~28日

会場:Jacob Javits Center


 ソニーはPC EXPOの会場において、昨日Intelがテクノロジデモを行なったばかりのTualatinことモバイルPentium IIIプロセッサ-Mを搭載したノートパソコンを公開した。新しいシリーズの名前はVAIOノートGRで、夏モデルでは新モデルが追加されなかったVAIOノートXRシリーズの後継となる製品だ。


●消えていたフラッグシップのA4ハイエンドを埋める製品として登場

 これまでソニーのVAIOノートのハイエンドといえば、VAIOノートXRシリーズで、動くフィンタイプの放熱機構などユニークな構造が人気を集めていた。しかし、先日発表されたVAIOノートの夏モデルでは、このXRシリーズはカタログから消えており、いわゆる「カタログ落ち」をしてしまっており、「いったいXRはどこへ?」とソニーファンならずとも気になっていたところだ。

右側面。バッテリ用のスロットなどが用意されている 新しく装着された大型のジョグダイヤル

 今回展示されたVAIOノートGRシリーズはそこを埋めるA4サイズのフルノートパソコンで、DVD-ROMとCD-RWのコンボドライブが採用されている。サイズはA4ファイルサイズで、重さはドライブを抜いてウェイトセーバーを装着した状態で5.6ポンド(約2.5kg)となっている(ドライブの重さが約400g程度であろうから、おそらくドライブをつけた状態で2.9kg程度だと思われる)。

左側面。PCカードスロット(Type2×2)、DVD-ROM/CD-RWのコンボドライブが用意されているほか、マジックゲートに対応したメモリースティックスロットが搭載されている 背面。I/O系のポートはUSB×3、外部ディスプレイ、i.LINK(s400)、モデム、マイク、ヘッドフォン、パラレル、Ethernet

 CPUにはTualatinことモバイルPentium III-Mが採用されており、クロックは未公表だが、ギガヘルツクラスのものが採用されているという。チップセットはコードネームAlmadorで知られるIntel 830Mファミリが採用されている。前日レポートでお伝えしたように、Intel 830Mには3種類があることが既に明らかになっているが、今回はどのチップセットが採用されているかは明らかにされなかった。なお、メモリは標準で128MBだが、最大で512MBまで搭載可能と説明されていた。


●14.1インチの高視野角の液晶ディスプレイを採用

 今回のVAIOノートGRの最も大きな特徴は、14.1インチという液晶ディスプレイの解像度がSXGA+(1,400×1,050ドット)ないしはXGA(1,024×768ドット)で、さらに液晶自体が広視野角のものを採用していることだろう。グラフィックスアクセラレータは筆者がデバイスマネージャで確認したところATI TechnologiesのMobility RADEONと表示された(グラフィックスメモリの容量は不明)。

付属していたIntelのSpeedStepテクノロジのアプレット。「Automatic」と呼ばれるCPUの負荷率に応じてクロック・電圧を可変するモードが追加されているのがわかる(詳しくはモバイルPentium III-Mの記事を参照) デバイスマネージャのシステムの画面。チップセットはIntel 830Mであることがわかる

 これまでは側面についていた、ジョグダイヤルは大型化され、ポインティングデバイスのセンターボタンとして用意されているのも1つの特徴だ。従来機ではジョグダイヤルを利用するのに、手をジョグダイヤルまで持っていく必要があったが、VAIOノートGRではポインティングデバイスと一緒の感覚で操作できるので、操作性がより向上している。

グラフィックスチップはMobility RADEON オプションのポートリプリケータ

 また、VAIOノートXRと同じように冷却機構にはいくつかの工夫がしてあるという。ソニーの関係者によれば、VAIOノートGRはCPUに接している部分には熱伝導率の高い銅が採用されているという。銅は別伝導率は高いものの、アルミニウムに比べて重量がかさむことでも知られており、これまでノートパソコンに搭載するには難しいと考えられてきた。しかし、ソニーでは多の部分の重量を削ることにより今回の銅を採用した冷却装置を搭載することに成功したようで、今後クロックが上がった状態も含めて対応できるようになっている。

 また、これまではA4サイズのノートパソコンには搭載されてこなかったメモリースティックスロットが装着されているのも1つの特徴となっている。もちろんマジックゲート対応となっており、MGメモリースティックが外部リーダーなしで利用できるのも1つの特徴と言える。


●発売時期は「近日」とのこと

 このように、本製品はモバイルPentium IIIプロセッサ-Mを搭載したハイエンドノートとして魅力的なスペックとなっており、XRほどの衝撃的なインパクトはないが、バランスの良い魅力的なA4ノートPCに仕上がっている。

 ソニーによれば、本製品はこのままのスペックかどうかはわからないが、日本でも販売される予定があるという。「本製品はVAIOノートXRのコンセプトでもあるAVを楽しんでいただくための個人向けPC」(ソニー広報)とのことで、VAIOノートのフラグシップマシンであるという位置付けは間違いないところだ。既にやじうまPC Watchでもお伝えしているように、ソニーは自社のホームページでティザー広告を始めており、既に本製品の存在が明らかにされている。

 発売時期に関してソニーでは具体的なスケジュールは明らかにしていない。おそらく、搭載しているCPUがIntelのモバイルPentium III-Mであることが大きく影響している可能性が高い。IntelはモバイルPentium III-Mのテクノロジデモを行なったが、製品発表は行なっていない。このため、Intelの製品発表が終わらない限り、ソニーとしてもCPUの詳細などが明らかにできないのだろう。ただ、ソニーの関係者によれば、「発売はかなり近日だろう」としており、既に出荷できる状態に近いことを匂わせている。そうした意味では、期待したいマシンが増えることになり、ボーナスで新マシンを購入しようと考えていたユーザーには頭が痛いところかもしれない。

□TECHXNYのホームページ(英文)
http://www.techxny.com/
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□関連記事
【6月26日】【やじうま】ソニー、バイオノートGRシリーズ発表?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/yajiuma/

(2001年6月27日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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