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NEC、決算を発表。コンシューマ向けパソコン事業の業績が悪化
4月26日 発表
売上高5兆4,097億円(前年比8.4%増)、営業利益1,851億円(3.4%増)、当期利益は566億円(1.0%増)と増収増益になったものの、昨年10月に発表した修正計画を下回る結果になった。 NECの西垣浩司社長は、「決算の内容が計画を下回る結果になったのは、コンシューマ向けパソコンでのダメージが影響している。上半期が品薄だったことから、下期も強気の予想で走ったのが失敗。マーケティング面での反省がある」とパソコン事業の失敗を業績悪化の一因にあげた。 パソコン事業を統括するNECソリューションズの売上高は2兆2,284億円(2%減)、営業利益は3.8%増の840億円。ただしその内訳は、SIサービスが3,264億円、その他ソフトサービスが3,894億円、パーソナルが9,367億円、その他ハードが5,759億円であるのに対して、営業損益は、SIサービスが157億円、その他ソフトサービスが498億円、パーソナルがマイナス72億円、その他ハードが257億円となり、唯一パソコンを中心にしたパーソナル事業が赤字となった。 「パソコン事業に関しては、2001年度も第1四半期、第2四半期は赤字で推移する可能性が強い。下期以降の黒字転換を図りたい」(戸坂馨取締役常務)としている。 2002年3月期の業績見通しでは、売上高5兆8,500億円(前年比8.1%増)、営業利益2,100億円(3.6%増)、当期利益は650億円(1.1%増)を予想。そのうちNECソリューションズは売上高2兆3,700億円(6%増)、営業利益は1,000億円(4.2%増)とした。 また、NECソリューションズの内訳は、SIサービスが3,500億円、その他ソフトサービスが4,050億円、パーソナルが8,850億円、その他ハードが7,300億円。営業損益は、SIサービスが250億円、その他ソフトサービスが465億円、パーソナルがゼロ、その他ハードが285億円としており、パソコン事業は収益対象にはなっていない。 一方、今回の決算発表を踏まえて、西垣社長は、国内パソコン事業構造の再構築などを含む緊急施策の実行と構造改革を推進すると発表した。 今年7月にも中期計画の策定を予定している同社だが、「今回の緊急施策は、とても7月まで待てないために今年2月から着手してきたもの」とし、パソコン事業体制の早期改善が必要であることを強調した。 具体的には、開発などを行なうNECの事業部と、パソコンの生産拠点であるNEC群馬、NEC米沢、NEC新潟、NECデータ機器の機能を、「DMS(デジタルエンジニアリング・マニュファクチュアリング&サービス)」と呼ばれる企業体に統合する。 DMSでは、開発デザイン、生産、資材調達、品質・保守責任を一元的に対応、1)小回りの効く俊敏な事業体制の確立、2)開発リソースの集結による技術力強化、3)ワールドワイドの資材調達機能の強化、4)修理コストの低減や修理リードタイムの削減、5)魅力ある製品提供、CSの向上を図る--などの改革をねらう。 西垣社長は、「パソコン事業を担当する設計、生産などが5つの会社に分かれていたためにSCM(サプライチェーンマネジメント)が複雑化、それによって、SCMの効果がうまく発揮できないといった問題が出ていた。マーケットの情報を的確に手に入れるとともに、この入手した情報に対して早く対応できる体制をつくりたい」としている。 DMSへの統合は今年度上期末(2001年9月)を目標に推進するが、それにあわせて、現在7割を占めるマザーボードの海外製品比率を1年以内に全量海外生産にシフト、また、ウェブを活用した調達システムであるPegasusを利用することによるコスト削減、および1,500人規模の人員シフトを行なう。 「1,500人の人員シフトは、できるだけカスタマサービス、アフターフォローに振り向け、売上伸長、ロイヤリティの拡大につなげたいと考えている」(西垣浩司社長)という。 コンシューマパソコンの取り組みについては、「生産量を引き下げるといったことは考えていない。だが、より収益を得られる仕組みへと、生産体制、調達体制、マーケット情報の入手方法を変更していく」(戸坂取締役常務)と話した。 一方、パソコン関連事業の再編として、北米工場からのDRAM生産の撤退、英国工場におけるDRAM生産の逐次縮小による「脱DRAM化の推進」(西垣社長)を図るほか、ディスプレイ事業では、ノートパソコン用、モニタ向けの汎用LCD生産から撤退。台湾の奇美(チーメイ)電子に生産を委託する。また、レーザープリンタ事業に関しては、富士ゼロックスへの譲渡を行なうことを明らかにした。 なお、2000年度の国内のパソコン出荷台数は348万台(前年比14%増)、2001年度は382万台(10%増)を予測、「今年度も引き続きトップシェアを維持していく姿勢は変わらない」(戸坂取締役常務)と意欲をみせている。
□NECのホームページ (2001年4月26日)
[Reported by 大河原克行] |
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