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基調講演レポート
ソニー、IBM、MSなどキーパーソン7人が語るデジタル新世紀

会期:10月17日~21日(17日は特別招待日)
   10:30~18:00 (10月21日は17:00まで)

会場:東京ビッグサイト 東1~6ホール 西3ホール

入場料:1,500円
 
 WORLD PC EXPO 2000が開幕した10月17日、パソコン業界のキーパーソン7人が「パソコン+インターネットが拓くデジタル新世紀」のテーマの元、パネルディスカッションを行なった。

 会場は東京ビッグサイト最大の会議場、国際会議場(収容人数千人)が使用されたが、そこが満席となる盛況で、パソコン業界のリーダー達に対する注目度の高さをうかがわせた。

 出席者は左から、アップルコンピュータ 代表取締役社長 原田 永幸氏、NECソリューションズ 執行役員常務 富田 克一氏、ソニー PNC ITカンパニー プレジデント 木村 敬治氏、東芝 取締役専務 デジタルメディアネットワーク社 社長 溝口 哲也氏、日本IBM 常務取締役 堀田 一芙氏、富士通 専務取締役 コンピュータビジネス担当パーソナルビジネス本部長 杉田 忠靖氏、マイクロソフト 代表取締役社長 阿多 親市氏のパネリスト7人と、司会を務める日経パソコン編集長 藤田 俊一氏の計8人。

 昨年のWORLD PC EXPO 99でも同様の企画が行なわれたが、その時から新たにIBMとソニーが加わり、より豪華な布陣となった。


●パソコンはまだまだ普及する

 パネルディスカッションと銘打たれているが、時間も限られている上、これだけの人たちが7人も集まっているので、議論を戦わせるという雰囲気ではなく、それぞれが持論を披露するという形式となった。

 まず最初にパソコンの現状について各人が順に意見を述べたが、ほとんど同じ趣旨で「この夏のパソコンマーケットが落ちたのは一過性のもので、現在言われている世帯普及率の35~45%はまだまだ伸びる」ということだった。

 これに追加して、ソニーの木村氏は、「VAIOを立ち上げた'96年の米国は、ちょうど今の日本と同じような状態で、普及率は限界だと思われていた。しかし、現在はその限界を越えて64%となった」と具体的な例を示した。

 今後の成長に関して、富士通 杉田氏と東芝 溝口氏は口を揃えて「買い替え需要などもあり、2桁成長が続く」と楽観的な見通しを語った。また、マイクロソフトの阿多氏は「日本は米国に比べ貧富の差が少なく、普及率で米国を目指すのは間違いだ。日本の方が80%、90%とより高い普及が見込める」とし、「普及は世帯で考えるのではなく、個人ベースで考えるべきだ」と述べた。

 パソコン普及の原動力としては、各パネルリストとも「インターネット」を挙げ、ソニーの木村氏は「これからはインターネットにつながっているのは当たり前。“つなぐではなく”、“つながっている”時代となる」と説明し、自らが担当するPalm OS搭載PDA「CLIE」に関しても「デベロッパのオンライン登録では、初日で数千人をあっという間に上回った」とその反響の大きさを語った。

 


●iモードのクローズドな世界はインターネットと相容れない?

 さらに各パネリストの意見が一致したのは「iモードがインターネットの入り口とはなるが、結局はパソコンが必要になる。また、コンテンツを作成するにもパソコンが必要」ということだ。

 IBMの堀田氏は「インターネット側から見れば携帯電話はIPアドレスを持っていない。また、自由にプロバイダが選べないなど非常に閉じられた世界だ。このおかげで、簡単・便利に使えるという側面はあるが、それはオープンが持ち味のインターネットと、そのまま共存できるのであろうか」と持論を展開し、「IPアドレスを持つものと、持たないもの、双方の世界を共存させていく議論が必要」と問題提起を行なった。

 また、マイクロソフトの阿多氏は、「今後は、携帯電話の画面は本当にあれでいいのか? アプリケーションの実行環境もあれでいいのか? と、なっていくだろう。また、情報を受け取るだけでいいのだろうか? インターネットはTVと異なり、双方向でなければならない」とパソコンの優位性を語った。

 東芝の溝口氏は「iモードもPDAも、Palmtopも結局はパソコンを後押しする存在になるだろう」とパソコンセンドリック(パソコン優先主義)を強調。この意見には各社とも賛同し、iモードに代表される、携帯電話を使用したインターネットアクセスに対するパソコンの優位性を語ったが、それを強調すればするほど、脅威に感じているという印象が強くなった。


●そして最後は宣伝

 パネルディスカッションの最後は、各パネラーが順にまとめを行なった。しかし結局は、アップルは土曜日から配布を開始する「Mac OS X Public Beta」、日本IBMは先日発表されたサーバー群の名称の統一、富士通はCrusoeとH"を搭載したノートPC「LOOX」、マイクロソフトは「.NET」と、各社が想定する「デジタル新世紀」に向けた新製品の宣伝を行なって終了した。

□WORLD PC EXPO 2000のホームページ
http://wpc.nikkeibp.co.jp/wpc/
□関連記事
【'99年9月7日】基調講演レポート「パソコン産業リーダーが語るパソコン新世紀」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990907/wpe03.htm

(2000年10月17日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]

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