マイクロソフト、Microsoft.NETの説明会を国内でも開催
内容は、米国で開催された「Forum 2000」に準じたものであり、すでに報じられている部分も多い。また、技術的な側面がほとんど解説されず、記者の知識不足などから誤解もあると思うが、ここでは「Microsoft.Net」への疑問を疑問のままに記すに留めたい。 ●なぜ「Microsoft.Net」か 今回の説明会で強調されていたのは、現在のインターネットのベースとなっているHTMLがリードオンリーのスタティックな情報であるということと、携帯電話をはじめとする非PCデバイスの急速な普及だった。 「Microsoft.Net」とは、この2つの問題への対策を取り込むという動きだ。データ形式をXMLとし、プログラムのオブジェクト化を図ることによって、非PCのシステムにも比較的ヘビーな手厚いサービスを可能にする。
●本当にパラダイムシフトなのか これまで公開された資料を読んでいた段階では、MicrosoftはWindowsをかなりの部分捨てて、マルチランゲージのランタイム環境の上に、新しいシステムを作りあげるのだろうと考えていた。しかし、今回の説明を聞く限りMicrosoftはWindowsを捨てようとしているわけではないようだ。一番大きな変化といえば、Windows PCに対してWindowsベースのPCサーバーがサービスを行なう閉じた世界から、Windows以外の機器を取り込んだシステムにWindowsベースの環境でサービスが簡単に提供できるということでしかない。だが、本当に、そんな小さな変化でビル・ゲイツが「DOSからWindowsへの進化に匹敵する変化」などというのだろうか? 今回の説明では、基本的にサーバーはWindowsであり、クライアントもWindowsと携帯電話ぐらいにしか見えない。そしてプログラム環境もVisual Studioだ。もちろんVisioをベースにしたBizTalkによるワークフローなどの新しい要素はあるが、これは企業内のシステム構築ツールの強化であり枝葉といっていいだろう。Windows以外の環境のランタイムなどについてはほとんど触れられず、ただ、「ああもできます」、「こうもできます」という「夢」(しかもかなり見慣れたエージェントとかスマートシステムなど)が語られたに留まった。 ●「Microsoft.Net」はマーケティングの産物なのか 少なくとも今回の説明会の内容では、「Microsoft.Net」はマーケティングの産物だとしか受け取れなかった。 悪くとれば、インターネットへのシフトを強調するために、既存の各要素について「.Net」対応という単語をやたらと付加しただけのようにさえ見える。過去、マイクロソフトのアプリケーションのインターネット対応と称する内容が、要はHTMLの読み込み/書き出しとハイパーリンクへの対応であったように、最初はXMLとの互換性+αが加わる程度に考えていても、そんなに間違いではないのでないか? MicrosoftにはOLEからActiveXコントロールへの変化のように名前は変わっても実態はそのままという例もある。 Windows 95以降、Microsoftが提唱してきた技術は、「Universal Plug & Play」とか「Windows DNA」のようにマーケティング優先の性格が強いものが多かった。実態がほとんどなく、ライバルに対抗するためだけの提唱としか見えないものもある。
□マイクロソフトのホームページ (2000年7月14日)
[Reported by date@impress.co.jp] |
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