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「オートノミックコンピューティング」はすでに第3段階に
米IBM副社長がセミナーで解説

米IBM Autonomic Computing副社長Alan G. Ganek氏

12月9日 開催



 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は9日、「オートノミックコンピューティング」に関するプレス向けセミナーを開催。米IBM Autonomic Computing副社長のAlan G. Ganek氏が同社のこれまでの取り組みや、今後の見通しなどについて語った。

オートノミックコンピューティングが備える4つの要素

 オートノミックとは“自律”を意味する言葉で、オートノミックコンピューティングとは、自分自身を“構成”、“修復”、“最適化”、“防御”する能力を持った新しい次元のコンピュータを意味する。

 具体的には、変化する環境への適応(自己構成)、障害の発見/診断/防止(自己修復)、リソースや負荷の調整(自己最適化)、攻撃の予測/探知/識別/防御(自己防御)といったことを自らの判断で実行する機能を持つ。

 なぜ、このようなコンピュータが求められるのか。Ganek氏によれば、「システムの複雑さがあまりにも増したため」だという。

 現在のコンピューティングシーンには、様々なベンダー、プラットフォーム、アプリケーション、データ形式などが入り交じって存在し、管理者はそれぞれを異なる手法で管理する必要がある。

システムの複雑さの増大により、コンピュータの性能向上のメリットは相殺されてしまう

 また、インターネットがビジネスで重要な役割を果たすようになって以来、コンピューティングの規模は飛躍的に大きくなった。

 コンピュータの価格性能比はめざましい向上を遂げた。しかしながら、そのメリットは、複雑さの増大に伴うシステム管理費や人員のトレーニング費用などの向上で相殺。結果として、投資対効果は向上していないのだという。

 この問題の解決策としてIBMが取るアプローチが、オートノミックコンピューティング。コンピュータが自律すれば、システムの規模が大きくなったり、環境に変化が生じても、システム自身がそれを判断し、最適化するため、管理/維持費の上昇は抑えられる。また、万が一攻撃を受けても、自身でそれを防御したり、修復できるため、損失も抑えられるという算段だ。

オートノミックコンピューティングのロードマップ

 Ganek氏によれば、オートノミックコンピューティングは最終形に至るまで5段階の進化の過程を辿る。その最終形に到達するには、乗り越えるべき技術的課題はまだまだ多く、現状では真に自律したコンピュータはコンセプトモデル的色合いが強い。

 しかしながら、「構成アドバイザ機能」により、熟練の技術者と同じレベルのチューニングを自ら行なえる「DB2」を始めとした、同社最新製品はすでにその3段階目にまで来ているという。

 具体事例としてGanek氏は、米ミシガン州の役所業務を紹介。同州では免許の更新など20の異なるサービスをオンラインで提供していたが、同社はこれを「Tiboli」、「WebSphere」などの製品を用いて90日弱で1つのポータルサイトに統合した。これにより、同州は年間90万ドルの経費を削減できたという。

 今後の“適応”、“自律”といった第4、第5段階への展開について、Ganek氏は、実現には長い年月がかかる、とコメント。その上で、「数年以内に非常に重要な技術革新が起きるとだろう」と述べ、同技術が堅調に推移していくとの見通しを示した。

□日本IBMのホームページ
http://www.ibm.com/jp/
□オートノミックコンピューティングについての解説ページ
http://www-6.ibm.com/jp/autonomic/
□関連記事
【8月2日】IBM東京基礎研究所、報道向けに研究成果を披露
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0802/ibm.htm

(2002年12月9日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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