富士通、2001年度は同社初の赤字決算
~純損益はマイナス3,825億円

富士通代表取締役副社長 高谷卓氏

4月25日 発表



 富士通の2002年3月期決算は、同社初の赤字決算となった。

 2002年3月期の売上高は、5兆69億円(前年比8.7%減)、営業損益がマイナス744億円、経常損益がマイナス1,571億円、当期純損益がマイナス3,825億円と、「巨額の赤字」(高谷卓副社長)となった。

 「通信およびデバイス分野における需給バランスの崩れと、価格下落による収益性の悪化が原因。今年度も中間期までは厳しいという見方をしている」とした。

 部門別では、ソフトウェア・サービス事業が、国内を中心としたSI事業の堅調ぶりに支えられて、前年比3.5%増の2兆858億円、営業利益が22.6%増の1,578億円となったものの、情報処理部門がHDD事業の大幅な赤字や、パソコンの利益幅およびパソコン需要の減少などで、前年比11.9%減の1兆3,853億円、営業利益では前年比23%減の145億円と減収減益となった。

 情報処理部門に含まれるパソコン事業については、前年比20.7%減の5,021億円、営業利益は前年比67.5%減の104億円。国内向けの出荷台数は258万台(2000年度実績は300万台)と減少、欧州では304万台(同335万台)、北米が12万台(同16万台)、アジアが9万台(同7万台)と、アジア地域以外は出荷台数を減少させている。デスクトップとノートパソコンの比率は49%対51%になっている。

 「個人向け、企業向けともに、出荷台数は前年を下回っている」と、パソコン事業の不振ぶりを示した。

 今年度のパソコン事業計画では、前年比0.4%減の5,000億円、営業利益では110億円。出荷台数は、国内が260万台と微増。欧州が330万台、北米が12万台、アジアが10万台。「欧州に関しては、パソコンの市況が良くなっているというよりも、富士通シーメンスのパソコン需要が高まっており、シェアを拡大するという要素の方が強い」とした。デスクトップパソコンの比率は、46%にまで下がると予測している。

 HDD事業に関しては、デスクトップ用ハードディスク事業からの撤退もあって、前年比27%減の2,366億円。営業損益はマイナス322億円となった。生産台数も前年の2,378万台から1,405万台に大幅に減少している。今年度も11.2%減の2,100億円の売上高に留まると見ており、営業損失もマイナス100億円、1,070万台の生産計画としている。

 通信部門は、北米向けの伝送装置の需要停滞で、前年比19.0%減の6,298億円、営業損益ではマイナス724億円の赤字、電子デバイス部門は、半導体の需給バランスが崩れたこと、価格の低下によって、前年比28.1%減の5,465億円、営業損益は1,093億円の赤字となった。

 半導体に関しては、「フラッシュメモリは、物量的な問題はすでに解決しており、あとは価格の下げ止まりの時期が問題だろう。DRAMメーカーの参入もあり、2~3割の価格下落はありそうだ。メモリ需要は、昨年のクリスマス商戦を大過なく過ぎ、1~3月の在庫処理も終了したことで、循環的に4~6月の需要が増えている。だが、この需要が年間を通じて続いていくとは見ていない」と慎重な姿勢を見せている。

 一方、2003年3月期の全社の業績予想は、売上高が5兆2千億円、営業利益は1,000億円、経常利益は50億円、当期純利益はゼロとした。

 中間期決算では、経常損益ではマイナス800億円、当期損益ではマイナス400億円としているが、「今回の予想では、市場動向を見て分析しているが、第1四半期が終了した時点では強気のことが言えるかもしれない」とした。

 部門別では、ソフトウェア・サービス部門が前年比9.3%増の2兆2,800億円、営業利益が14%増の1,800億円。通信と情報処理をあわせたプラットフォーム部門が5.2%減の1兆9,100億円、営業利益がゼロ。電子デバイス部門は、18.9%増の6,500億円、営業損益はマイナス150億円としており、電子デバイス部門の赤字が続くと見ている。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース(PDF)
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2001/
□関連記事
【1月29日】富士通、第3四半期決算を発表、業績見通しを再度下方修正
~営業利益は750億円の赤字
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0129/fujitsu.htm

(2002年4月25日)

[Reported by 大河原 克行]

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