富士通、第3四半期決算を発表、業績見通しを再度下方修正
~営業利益は750億円の赤字

高谷卓代表取締役副社長
1月29日発表



 「残念ながら下方修正をやらせてもらう」--富士通株式会社は、2001年度第3四半期が赤字決算となったことに加え、今年度の業績見通しを再度下方修正すると発表した。

 同時多発テロ事件以降、米国の景気後退が進んでいるのに続き、欧州、アジア、日本の景気が減速したのにともない、2001年度第3四半期の売上高は対前年同期比12.7%減の1兆587億円。営業利益はマイナス458億円、経常利益はマイナス631億円、当期純利益はマイナス1,061億円と厳しい結果となった。これにより、通期見通しも10月時点の見通しよりも2,000億円マイナスとなる売上高5兆円へとさらに下方修正する。

 今回の業績について高谷卓副社長は、「第3四半期の業績は予想の範疇であったが、第4四半期に関してはさらに厳しい見方をせざるを得ない。国内は個人、企業ともに厳しい状況が続き、好調なソフト・サービス事業についても一部案件は年度内から次年度に持ち越されるものもあるのではないか」と赤字となった第3四半期に続き、第4四半期がさらに厳しい見通しであることを強調した。

 すでに業績悪化にともなうリストラ策を発表しているが、「四半期別で見ればリストラ効果は着実に出ており利益体質は改善に向かっている。しかし、若干効果の出方が遅い部分があることは確かで、300億円の効果を出すべきところ、その半分しか出ていないのが実情」(高谷副社長)と、リストラ効果の遅れに言及した。

 追加の人員削減については、「さらにこれだけ減らすという具体的な数字はもっていないが、すでに発表している21,000人の人員減が1,000人から2,000人程度増加する可能性はある」とゆるやかにではあるが、さらなる人員削減を進めていく姿勢を示した。

 第3四半期の事業別業績は、ソフトウェア・サービスが対前年同期比1.9%増の4,174億7,900万円、パソコンを含む情報処理が10.8%減の3,681億1,600万円、通信が19.5%減の1,293億7,500万円、電子デバイスが43.1%減の1,385億4,900万円、金融が3.2%減の217億3,300万円、その他が10.6%減の906億3,100万円となっている。

 相変わらずソフト・サービス事業は堅調で、「国内需要の本格的な拡大期に突入した」(高谷副社 長)と説明。その一方で、情報処理事業は、大規模システム向けの大型サーバー、ファイルサーバーは売り上げが上昇しているものの、パソコンの需要が大きく前年割れしていることが影響、同時に海外向けのデスクトップパソコン用小型磁気ディスク装置の生産が終息したことで売り上げ減となり、前年実績を下回る結果となった。

 通信事業も、引き続き北米での光伝送システムの売り上げが大幅に落ち込み、売り上げが回復しな かったのに加え、赤字の原因となっている電子デバイスについても需要は相変わらず大幅に減少し、主要品すべての売り上げが大幅減少する激しい落ち込みを見せている。

 「電子デバイス、通信の落ち込みは過去にない厳しさで、ソフト・サービスの好調さだけではカバーできない状況」(高谷副社長)とした。

 こうした業績を鑑み、今年度通期連結見通しでは、売上高は10月時点よりも2,000億円減の5兆円、営業利益は750億円下方修正しマイナス750億円、経常利益は700億円下方修正しマイナス1,700億円、特別損益は700億円下方修正しマイナス4,200億円、当期純利益は700億円下方修正しマイナス3,800億円となっている。

 単独の通期見通しについても、売上高が1,000億円減の3兆円、営業利益は550億円下方修正し750億円、経常利益は500億円下方修正しマイナス900億円、特別損益は700億円下方修正しマイナス3,900億円、当期純利益は600億円下方修正しマイナス2,700億円となった。

 製品別では、パソコンは外部向け売上高が10月予想よりも400億円下方修正し5,100億円で、営業利益は100億円下方修正した100億円、HDD売上高は100億円下方修正した2,300億円、営業利益は50億円下方修正したマイナス400億円、サーバー他売上高は100億円減の6,500億円、営業利益は50億円下方修正した350億円、これにより情報処理事業の外部向け売上高の通期見通しは10月時点の予測を600億円下回る1兆3,900億円、営業利益は50億円となった。

 パソコンの通期出荷台数見込みについても下方修正し、国内は10月時点の予測を18万台下回る271万台で、デスクトップとノートが50%ずつの比率と見ている。

 これは、「個人市場での落ち込みに加えて、企業需要についても若干落ち込んでいる。とくにソフ ト・サービスに関する商談が次年度にずれ込むこともあり、この影響で、パソコン、サーバーについても次年度に商談が持ち越されるケースが見られる」(高谷副社長)ことが要因だと説明している。

 需要が落ち込んでいる割には、年末年始商戦において一部店頭で富士通製パソコンが品薄となる事態も起こったが、「やや需要を堅めに見込んだきらいがある。しかし、SCM(サプライチェーンマネジメント)の導入により、当日は商品がなくとも2、3日で商品が届く体制は作ることができている。今後、生産を拡大していくのかについては、大量の在庫を抱えたくないというのが正直なところであり、需要見合いで納入が出来ていくのが望ましい」と過剰な在庫負担を避けるために今後も堅めの生産体制をとっていく方針を示した。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2001q3/
□関連記事
【2001年10月24日】富士通が、再度の下方修正。削減人員の上乗せ、役員報酬カットを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011024/fujitsu.htm

(2002年1月29日)

[Reported by 大河原 克行]

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