3月19日発表

　ソニーは19日、2足歩行ロボットの新モデル「SDR-4X」を開発、発表した。

　「SDR-4X」は、2000年11月に技術発表を行なった「SDR-3X」の後継機となる小型のエンターテインメントロボット。本体サイズは、260×190×580mm(幅×奥行き×高さ)、重量 約6.5kgと、SDR-3Xより若干大型になっている。

　AIBOでも採用されているエンタテインメント・ロボット用アーキテクチャ「OPEN-R」をベースに、CPUに64bit RISCプロセッサ×2、OSにはソニー独自のAperiosを採用するなど基本的な構造はSDR-3Xを踏襲している。メモリは128MB(64MB×2)で、プログラムの供給媒体はメモリースティック(16MB)。

　SDR-3Xからの大きな変更点は、「アクチュエータ」と呼ばれる関節制御機構の性能を向上させたことと、全身38箇所の関節部をリアルタイムで制御する「実時間統合適応制御システム」を新たに搭載したこと。

　新開発のアクチュエーターでは、SDR-3Xのものに比べて、始動トルクで約30%、定格トルクで約15%、効率で約20%の向上が図られ、運動性能や応答性が向上したという。また、新たに頭部に4軸、手首に1軸の自由度を追加、指は5指が独立して動作するようになり、関節自由度は38となった(SDR-3Xは24)。歩行速度は最高約20m/分(平坦面)、最高 約6m/分(不整地面)。

　新搭載の「実時間統合適応制御システム」により、不整地面や傾斜面における2足歩行だけでなく、外部から力が加えられた場合の姿勢保持制御などが可能になった。また、歩幅や旋回角度など、状況に応じて必要な歩行パターンをリアルタイムで生成することで、柔軟かつ安定した歩行が可能になったという。

　実時間統合適応制御システム搭載による利点は以下のとおり

・約10mmまでの凹凸面に対応した不整地歩行が可能
・約10度までの傾斜面の歩行と登坂が可能
・外力が加わる場合は、転倒を避ける回避移動を実行
・転倒時には、衝撃回避に適した姿勢を保持するとともに関節を柔らかく制御し、衝撃を緩和

　また、頭部には2つのCCDカメラ(11万画素 1/5インチ)を搭載し、2つのカメラの視差を利用して、被写体までの距離を検出できるようになった。これにより、床面の存在や、障害物との感覚を認識し、障害物を避けた経路を選択して歩行できるようになったという。

音声合成機能も搭載

　画像、音声認識技術や音声生成技術を採用したほか、記憶に基づく対話や行動の制御技術も実装された。CCDカメラの入力画像から、顔を認識/識別することが可能となり、最大10人までの顔を記憶できるという。また、頭部に搭載した7つのマイクから話者の位置特定ができるほか、音声から話者の特定が行なえるという。記憶機能は、カメラから入力された人やものを一時的に覚えている短期記憶に加え、会話などによる人とのコミュニケーションを通じて顔や名前などを記憶する長期記憶も用意され、より複雑な対話や行動も実現できるようになったという。

　音声合成や歌声生成機能も搭載し、全身動作にあわせた歌を歌わせることが可能となった。楽曲や歌詞をデータ入力することで、音声合成によりビブラートを含む音声を生成することもできるようになったという。また、ダンスなどの動作を簡単に生成/編集できるソフトウェア「SDRモーションクリエータ」が用意され、複雑な動作を簡単に作成することが可能となっているという。

　なお、SDR-4Xは、3月28日から31日まで開催されるロボット博覧会「ROBODEX 2002」に出展される予定となっている。また、PC Watchでは発表会の模様を追ってレポートする。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200203/02-0319/
□関連記事
【2000年11月21日】ソニー、身長50cmの二足歩行ロボット「SDR-3X」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001121/sony.htm

(2002年3月19日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]