Microsoft .NET Day 2002開催
~Visual Studio .NETは10年に一度の開発環境革命

3月8日開催



 パシフィコ横浜において8日、マイクロソフト株式会社が主催する開発者向けカンファレンス「Microsoft .NET Day 2002」が開催された。「Visual Studio .NET日本語版」の発売を2週間後に控えたこともあってか、会場の座席数5,000に対し、1万人を超える聴講希望があったといい、開発者の.NETに対する関心の高さが窺がえた。


■次世代アプリケーションは全てがWebアプリケーションにはならない

マイクロソフト阿多親市氏

 オープニングには代表取締役社長の阿多親市氏が登場し、スピーチを行なった。阿多氏は、「今日、プラットフォームそしてインターネットアプリケーションの開発環境において求められるのは、一番目が信頼性/セキュリティで、二番目が標準テクノロジーの採用、そして三番目が高い生産性である。Visual Studio .NET(以下VS)は、これら全てを提供する。VSは10年に一度の開発環境革命である」と述べた。

 また、阿多氏は、VSがVB、C#、J#以外にも、Perl、Pascalなど20種以上の言語に対応している点、XMLを利用した同一の基盤上でさまざまなクライアントアプリケーションを楽に作成できる点などを強調。

VSがサポートする言語(サードパーティ製を含む)

 その上で、「VSを2年前に公表したとき、市場はそんなものは全て夢物語だと一蹴した。そしてインターネットの普及を受けて、将来のアプリケーションはすべてWebアプリケーションになり、そしてJAVAアプリケーションになると言っていた。しかしそれらのコメントはすべて間違っている」と断言した。

 そして、「マイクロソフトのスローガンである“いつでも、どこでも、どんなデバイスでも”とは、インターネットを利用し、XMLベースで作成されたアプリケーションを、利用するクライアントにもっとも適した形で提供することを意味する」と語り、Webではなく、ほかならぬVSこそが、全てのアプリケーションの基盤となることを強調していた。


■サイト作成のデモで生産性の高さを強調

米Microsoft Tom Button氏

 続いて最初のセッションでは、米Microsoft副社長のTom Button氏が登場し、ビジネスコンピューティングにおける今日のニーズと、それに対してVSがどのように対応するのかを実際にVSを使ってデモしながら解説した。

 デモではVBライクなビジュアル環境でデータベースと連動したWebサイトを作り上げる過程が紹介された。サイト作成作業は、ボタンやテキスト、テーブルなどをドラッグアンドドロップで配置するだけで、開発者が手動でコーディングを行なう場面は少なく、手順も簡便であった。

 また、コーディングを必要とするシーンでは「Office XP」のようなスマートタグに似たダイアログが適宜表示され、そこをクリックしてメソッドを完成させることができた。また、IEのオートコンプリートのように、コード作成の手間を軽減する機能が搭載されていた。

 VSではデータベースやロジックを記述すると、それをそのまま利用して、別のユーザーインターフェースをかぶせることができる。デモでは、先ほど作成したサイトのコードから即座にWindowsアプリケーションと携帯電話のインターフェースを作成し、同じ機能を持った異なるクライアント向けのサイトの作成がいかに簡単にできるかをアピールした。

VSの起動画面 コーディング画面
生成されたXML UIを携帯用に作成した例

 セッションの最後には、インテル、富士通、東芝テックなどがVSに対応したサービスや、アプリケーションを披露。富士通は.NETに完全対応した「COBOL .NET」のデモを行い、COBOLで作成されたレガシーシステムを、そのロジックを利用したままでWebアプリケーションに移植してみせるデモを行なった。

COBOLアプリケーションの起動画面 左をVSで.NETに対応させた画面
VBライクにインターフェイス用のコンポーネントを配置 最終的に生成されたWebアプリケーション


■次世代XMLシステムなどをデモ

 続いて「私が.NETを選択する理由」と題したセッションが行なわれ、クボタ、日立、野村総合研究所、OBCなどといったパートナー企業による、VSへの取り組みや開発成果などが披露された。

 なかでも興味深かったのが、日立情報システムズが開発した.NET対応のB2Bシステム「I-BIG」。I-BIGでは複数の取引先が同システムを利用して、お互いの発注書や、在庫状況、販売量などのデータを交換。データはXMLで記述され、各社のサーバー同士が自動で通信し、情報を入手する。これにより、製造量予測などのシミュレーションをより効率的に、高い精度で行なうことができると説明した。


■.NET vs JAVA

 最後のセッションでは、「.NET vs JAVA」と題して、JAVAに対する.NETの優位性を示すデモなどが行なわれた。

 従来のWindowsベースのシステム(DNA)もJAVAによるシステムも、クライアント/Webサーバー、トランザクションサーバー/データーベースサーバーといった同じ3層構造をなしているが、JAVAでは業務ロジックをベースとしてコンポーネントが作成されているのに対し、DNAでは画面表示がベースとなっている。そのためDNAではスケーラビリティに劣り、大規模システムには向かないとされていた。

 これに対し、.NETではユーザーインターフェイス部分とロジックを分離し、オブジェクト指向なプラットフォームとなり、スケーラビリティや、多言語サポート、生産性/パフォーマンスの高さなどあらゆる面でJAVAを凌ぐとアピールし、カンファレンスを締めくくった。

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□.NET Day 2002のホームページ
http://www.web-event.ne.jp/netday/
□関連記事
【2000年7月19日】マイクロソフト、.NETの技術説明会を開催
~Win32 APIから.NETへ大きな転換~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000719/ms.htm
【2月14日】マイクロソフト、統合開発ツール「Microsoft Visual Studio .NET」日本語版
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0214/ms.htm

(2002年3月8日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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