マイクロソフト、.NETの技術説明会を開催 |
マイクロソフト株式会社は、Microsoft.NETについてのプレス向け技術説明会を開催した。今回の説明会は先週米国で行なわれたPDCに準じた内容で、製品マーケティング本部に新設された.NETソリューション開発部のスタッフによって解説が行なわれた。前回の説明会と異なり具体的な技術に踏み込んだ内容で、ようやく国内でも.NETについて正確な情報が公開されたことになる。 なお、具体的な内容については、PDCのレポートと重複する部分も多いため、新たに判明した内容を中心に述べる。
●Win32 APIから.NETへ転換
まず.NETの意義として、Windowsだけの閉じた世界から、汎用機やUNIX、携帯電話などとのコラボレーションを重視した点が強調された。従来のマイクロソフトの戦略は、すべてWindowsベースで進められる面があったが、ほかのフレームワークとの連携が可能となったという。つまり従来のマイクロソフトはWindowsのみで、すべての処理を行なおうというクローズドな戦略だったが、それが転換されインターネットという同じフィールドで他社と競いあうという意志の現われでもある。
それが最も端的にあわられているは、Common Language Runtimeだ。最終的なオブジェクトはILと呼ばれる中間言語(仮想マシンコード)に変換され、Win32 APIは呼ばれない。ILのためのJITコンパイラなどは当初はWindowsベースで用意されるが、Linuxをはじめとするマイクロソフト以外の環境に実装することも可能だ。極端な言い方をすればマイクロソフトは、Win32 APIを捨て.NETへ移行するという大きな転換をしようとしている。
●Visual Studio.NETの登場は1年後
開発環境である「Visual Studio.NET」はCommon Language Runtimeをターゲットにした.NET FrameworkとWin32 APIの両方にむけて開発ができる。従来のCOMやMFCなどの環境とも互換性を維持している。なお、「Visual Studio.NET」のβ版は秋から冬、製品版は2001年の今頃に登場の予定。
●なぜJavaに対応しないのか
Common Language Runtimeはその名のとおり、BASIC、C、C++、C#、COBOLなどのマルチランゲージに対応するが、Javaは含まれていない。マイクロソフトによれば、現在JavaについてはSunとの訴訟問題によりJ++ 6.0の状態でフリーズされているためだとしている。技術的には問題はなく「Sun Microsystemsがやろうとおもえば、.NET対応とすることは可能だろう」という。
また新たに開発されたC#については、ヨーロッパの標準化機関ECMAに提出し、標準化作業を行なうとしている。
●.NETは久しぶりの新技術
Windows 95以降のマイクロソフトはWindows DNAなどマーケティング優先の用語だけが先行し、新しい技術が出てくる会社という印象は薄かった。しかし.NETはマイクロソフトにとって、久しぶりの大きな転換だと確信する。だが、これまでの発表などを見る限り、マイクロソフト社内ですら、その真意が正確に理解されているとは思えない。まだ、開発環境の提供ですら1年も先のこととはいえ、マイクロソフトが早い時期にきちんとした形で.NETについて語りはじめることを期待したい。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/msnet_i.htm
(2000年7月19日)
[Reported by date@impress.co.jp]
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