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Macworld Conference&Expo /San Francisco 2002
新型iMacの細部に迫る! ~アップルブース先行公開レポート
会場:San Francisco Moscone Center 基調講演の終了後、明日から始まる展示会場のオープンに先立ってApple Computerのブースが先行公開された。報道陣や関係者のみを対象とした一時間弱のプレビューだが、New iMacをその目で見て、実際に操作できる格好の機会となった。本レポートでは、スペック表から読み切れないiMacの細部に迫ってみる。
■チルトするLCDをまず体験 明日から正式公開されるApple Computerのブースは、例年どおり南側ホール中央入り口からすぐの場所に広いスペースが確保されている。通常とは異なる事前公開とあってブースの周囲が暗幕で覆われており、設営中の他社ブースと隔てられている。他社ブースの設営がこれから佳境を迎えることもあり、プレビューは講演終了直後の限られた時間で行なわれた。同社ブースには、中央に大きめのプレゼンテーションステージが設置されている。その周囲三方に長い展示台が設置され、New iMacが所狭しと並んでいる様は壮観だ。その数はおよそ100台。いずれも、来場者が自由に操作することができる。これまで利用されていた円形の展示台は見あたらず、ブース自体がゆったりしている。ただしこれはプレビュー公開のため、明日の展示会オープン時には、こうしたブース内のレイアウトに変更が加えられる可能性もある。 iMacに対した来場者が真っ先に試すのは、やはりLCDを移動してみること。モニタ画面の縁をつまんで、上下左右、奥へ手前へと移動させてみる。一見、360度自由自在に動きそうだが、実はLCDを支えるステーの動く範囲は限られている。左右へはそれぞれ90度ずつ(つまり真横より後ろ側にモニタの表示面を向けることはできない)。上下もステーがまっすぐになった状態と水平になった状態の90度分が可動範囲だ。LCDのチルトもある程度用意されている。球体に例えれば、前方上部に1/4の可動範囲がある。残念ながらステーとLCDを支えるジョイント部分は上下動のみ可能で左右の自由度はない。 付属するキーボードとマウスは、白を基調にデザインしなおされている。従来のProKeyboard、ProMouseと機能的な違いはない模様。10キーのNumLockにLED表示が付いた程度が相違点である。 LCDパネルを含んだ重量は10kg弱。パネルは軽く、本体部分に重量が集まっているため、通常の使用なら不意に倒れるようなことは考えられない。無理に荷重をかければバランスを崩すことも可能だが、現実的な行為ではない。
■ブートOSはMac OS Xに iMacという製品カテゴリーを考えれば、デザインはさておき、機能に特化してみれば他のMacに先んじて搭載される機能はほとんどないといっていい。ハイエンドモデルの目玉であるSuperDriveも、ちょうど一年前からPowerMac G4に搭載されたきたものだ。PowerPC G4プロセッサの前モデル搭載といい、ほぼ一年前のプロ向けPowerMac G4の仕様がコンシューマ向けモデルであるiMacまで降りてきたと考えればいいだろう。注目すべき点は、ブートOSがついに「Mac OS X」になったということだ。デュアルブート仕様でプリインストールを開始してからおよそ8カ月。ようやくこの切り替えが実現した。ヘビーユーザーにとっては、OS 9からOS Xへの移行はOSの乗り換えとなるが、iMac購買層の主力と思われるビギナーにとっては、最初からOS Xだけでパソコンと付き合っていけることになる。 また、販売戦略でもこれまでとは異なる方向性がある。これまではどちらかといえばハイエンドモデルの出荷日が後に設定されることがほとんどだった(高性能部品の歩留まりという理由もあろう)。しかし、実際のところアップル製品の出荷開始直後の購買層は、製品のカテゴリーを問わず熱心な既存ユーザーであることが多い。また、こうしたユーザー層は同時に高機能なスペックを求めるものでもある。ここで潜在的購買層に買い控えが起きたり、ビギナー向けに用意されたエントリーモデルがまずヘビーユーザーに買われてしまい、本来の購買層に届くまで時間がかかるという問題も少なからず存在した。 しかし今回は、ハイエンド側からおよそ1カ月ごとにローエンドモデルへとラインナップを増やしていく戦略。製品をある程度潤沢に供給できるなら、これは正解だろう。新製品に我先に飛びつくヘビーユーザーには、ハイエンドモデルを。市場が形成され、人気の高まりとともに増えるエントリー層には、買いやすいローエンドモデルを、と適切な購買層を意図して出荷することができる。 スペックから判断すれば妥当な価格ではあるが、やはり20万円超となるSuperDrive搭載モデルはエントリー層には敷居が高い。iMacとして本命となるのは、ミッドレンジ以下の製品だろう。
■14.1インチ液晶搭載の新iBookはひっそりと展示 もう1つのハードウェアの新製品、14.1インチ液晶を搭載するiBookのハイエンドモデルは、ブースのはじでひっそりと展示されていた。展示されていたのはわずか1台。本日出荷開始となるが、地味な出展である。同じiBookという名称ながら、液晶パネルのサイズが大きくなったことで、厚さを除く外寸は、ひとまわり大きくなった。確かにほとんど同一の仕様ではあるが並べたり重ねたりしてみると明らかに大きさの違う二機種が、同一のラインアップに含まれているのは奇妙なものである。しかし、その外寸という要素を除けば、インターフェイスの配置からなにまで、まったく同一でもある。 小型モデルを好む日本ではどうなるか分からないが、米国市場などでは明らかに従来のiBookなどでは表示が細かく成りすぎる点を改善した、シルバー層向けという市場も視野にいれているのだろう。 また、ブースのあちらこちらにiPhotoのサービスで作ることができる写真集のサンプルが置いてあった。米国では29.99ドル(最初の10ページまで)で作ることができるこのサービスは、日本では当面提供されない模様だ。しかし実際に目をとおしてみると完成度は高く、手の加え方によっては高級感も漂っていた。 明日8日(現地時間)は、いよいよ展示会場が正式にオープンする。メディア向けの製品ブリーフィングも数社で開催されるので、魅力的な新製品の数々を紹介する予定だ。
□Macworld Conference&Expoのページ(英文) (2002年1月8日) [Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)] | I |
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