レビュー

おしゃれで小型。Samsung製ポータブルSSD「T1」を試す

「Portable SSD T1」

 2015 International CESのSamsungブースで展示され、その後日本でも1月下旬の発売が決定したポータブルSSD「Portable SSD T1」(以下、T1)の実機を日本サムスンからお借りできたので、機能や性能を見てみたい。

PC周辺機器としては異例なほど外観に注力

 おそらく本製品で最も注目を集めるのはそのデザインで、一般的なSSDの多くが2.5インチ程度の筐体であるのに対し、T1のサイズはその半分程度しかない。また、横から見ると、扁平な楕円形をしており、外装は外装はレーザーパターニングと黒クロムメッキ仕上げとするなど、持ち歩いて利用することを意識してか、かなり外観に力を入れている。

 一方、内部についても、ハイエンドモデルでも採用される同社最新の3D V-NANDを採用し、性能と信頼性を確保している。

 仕様は、連続読み込み/書き込み速度が450MB/sec、ランダム4KB Q1読み込み速度が8,000IOPS、書き込み速度が21,000IOPS。本体サイズは71×53.2×9.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は最大30g。インターフェイスはUSB 3.0。

 ラインナップは、250GB、500GB、1TBで、店頭予想価格は順に28,000円前後、43,000円前後、86,000円前後の見込み。

 届いた評価機は、きれいな化粧箱に入っており、おそらく店頭でもこの形で販売されるのだろう。PC周辺機器としては、かなり化粧箱にも気を遣っており、高級な製品を買ったという感じにさせてくれる。パッケージやマニュアルは世界共通版だが、日本語でも記載されており、マニュアルは、注意事項だけを書いた使い回しのようなものではなく、丁寧に作られているのも好感が持てる。

パッケージはPC用周辺機器としてはかなり丁寧に作られている
本体。ロゴ周辺はレーザーパターニングで菱形の凹凸があり、端はクローム仕上げと、こちらもポータブルSSDとして、だいぶおしゃれ
側面は丸みがあり、横から見ると潰れた楕円形をしている。インターフェイスはMicro USB 3.0。その横に青色LEDがある
付属のUSBケーブルもこれ専用のもの
本体に取り付けたところ
左右の柔軟性はないので、置く場所によっては、このように収まりが悪い
マニュアルも懇切丁寧に作られている。

利用にはソフトのインストールが必要

 中に入っているのは、マニュアルと、本体とケーブルのみ。インターフェイスはUSB 3.0だ。ケーブルも本体に合わせて黒で統一されているが、長さがかなり短く、取り回しにくいのは、デザイン優先指向が使い勝手をやや悪くしてしまった格好となっている。

 通常、ポータブルドライブは、繋げば認識する。多くの場合フォーマットも不要で即座に使える。しかし、本製品では、独自ソフトのインストールを行なわないと使うことができない。

 初接続時は、「T1_SETUP」という名称で、容量124MBのドライブが認識される。この中にセットアップファイルがあるので、これを実行する。途中、「データセキュリティの有効化」の画面で「はい」を押すと、以降は本製品を繋ぐ度にパスワードを入力する必要が生じる。暗号化の強度はAES 256bit。「いいえ」を押す、あるいは、セットアップ終了後にデータセキュリティを無効にすると、パスワードを入力せずとも、使うことができる。ここは各自の用途に応じて有効にするかどうかを決めよう。セットアップ中は製品のドライブ名も変更できるが、これは特に変更する必要はない。

初回接続時はセットアップファイルのある124MBの領域のみが見える
セットアッププログラムを起動
ドライブの名前を変更できるが、何も入力しなければ規定の名前が使われる。普通はそのままでいい
データセキュリティの有効化。はい、を押すと、暗号化がオンになる
設定できるパスワードは4〜16文字
設定に問題がなければ完了を押す

 データセキュリティを有効にした際の挙動だが、ユーティリティが自動起動し、パスワードの入力を促される。パスワードを入れると、取り外すまでは普通の外付けドライブとして使える。ユーティリティは常駐しているので、セキュリティの無効化やパスワードの変更はこちらから実行する。ほかのマシンに繋いだ場合は、初回接続時と違って、ユーティリティが自動起動するので、パスワードを入力すれば、そのPCでも利用できる。セキュリティを無効にしている場合は、こういった作業は必要なく、どのマシンでもプラグアンドプレイで使える。

 もしパスワードを忘れてしまうと、工場リセットツールを使うと初期化はできるが、当然データは消えてしまうので注意しよう。

 セキュリティ以外に特に設定変更できるところはなく、付属ツール「Magician」で詳細な設定ができる内蔵SSDとは異なり、ややライトな層に向けた製品であることが窺える。

セットアップを終了すると、以降は、繋ぐ度にユーティリティが自動起動。暗号化をオンにしている場合は、パスワード入力画面が表示。ちなみに、この状態でもSSDはセットアップ領域しか見えない
ユーティリティは通知領域に常駐する
ユーティリティの起動画面
歯車のアイコンを押すとこの画面になる
暗号化はいつでもオフにできる
SSDの名前もここで変更できる

 本製品は、WindowsとMacの両方に対応しており、そのため出荷時はexFATでフォーマットされている。推奨環境であるWindows 7以降とMax OS X 10.7以降は、exFATに対応しており、普通に読み書きができる。ただし、両方の環境で交互に使うと、ファイルがロックされる可能性がある。マニュアルでは1つのOS環境でしか使わないのであれば、WindowsならNTFS、Mac OSならHFSでフォーマットすることを推奨している。

ベンチマーク

 CrystalDiskMark 3.0.2 x64によるベンチマークも実施してみた。検証に使ったのは1TBモデル、PCはCore i7-4500U、Windows 8.1 Upgrade 64bit搭載のノートPC。

 SSDの設定が性能に影響するかも見てみるため、暗号化の有無、exFATとNTFS、そしてランダムデータと0fillデータを組み合わせた計8パターンで測定した。HFSについては手元の環境の都合上、検証していない。

 結果を見ると、連続アクセスについては、読み込みが390MB/sec前後、書き込みが360MB/sec前後ということで、公称値によりはやや低い結果となった。設定による変化はほとんど見られない。

 一方ランダムアクセスについては、暗号化の有無と、データがランダムか0fillかかの影響はほとんどないが、ランダム書き込みについては、exFATの方がNTFSより高速という結果が出た。これはファイルアロケーションサイズの違いが影響したものとみられる。

 多くの場合、体感速度に影響があるのは、ランダム読み込み性能なので、その点では、設定によって大きな違いは出ない。基本的には、フォーマットは出荷時のexFATのままで使って、運用上NTFSが必要だったり、好ましい場合はそちらに変える、くらいの心構えでいいのではないだろうか。

exFAT、暗号化なし、データランダム
NTFS、暗号化なし、データランダム
exFAT、暗号化あり、データランダム
NTFS、暗号化あり、データランダム
exFAT、暗号化あり、データ0fill
NTFS、暗号化あり、データ0fill
exFAT、暗号化なし、データ0fill
NTFS、暗号化なし、データ0fill

データを手軽に持ち運びたい人向けの製品

 以上、T1を簡単に試してみた。性能面では、ハイエンドSSDには一歩及ばないが、HDDよりは圧倒的に速い。大きめのデータを持ち運んで、複数のマシンで使う必要がある人にとって、SSDは耐衝撃性能が高いという点でもHDDよりお勧めできる。ただし、容量は比較的小さくなり、価格も高くなるので、SSDとHDDのどちらを選ぶかは、用途次第と言うことになる。

 他のポータブルSSD製品に比べた時、本製品のメリットはそのコンパクトさになる。鞄に入れてもかさばらないし、このサイズならポケットにも入る。30gなので、重さもほとんど意識しないレベルだ。個人的にはやや過剰におしゃれすぎる感もあるが、MacBookやVAIOなど、比較的デザイン性が高いノートPCとセットで使うに当たっては、こういった製品がいいかもしれない。

 標準でハードウェア暗号化機能を備えているので、有効にしておけば、万一紛失しても、データが漏洩する可能性は低くなる。例え個人的に使う場合であっても、活用したい機能だ。

(若杉 紀彦)