Dellの5型Androidタブレット「Streak」を触ってみた

Streak

国内未発売



 米Dellは、1月に行なわれたCESで一瞬だけその姿を公開したスレート型タブレットを、「Streak」の製品名で6月頃より欧米で出荷開始した。今回、この製品に触れる機会を得たので、簡単にではあるがここに紹介したい。

 まず、最初にお断わりしなければならないのが、今回使用した製品はイギリス向けのものであるという点。本製品は、無線通信として、3GとWi-Fi、Bluetoothを搭載する。これらは国際規格に基づいているので、3GについてはSIMカードを装着すれば、その他の無線については何もしなくても、物理的には国内でもネットワークに接続できる。ただし、この製品は日本での認可を受けていないため、法制度上、それらの無線を使うことができない。そのため、今回はあらかじめ無線機能を全て無効にした状態で受け取っており、機能面については、無線通信を必要としない部分だけを紹介する。

 まずは、外観部分から紹介しよう。本製品の液晶は5型で、本体サイズは約152×79×10mm(幅×奥行き×高さ)となる。スマートフォンとして標準的なサイズに収まるiPhone 4は、115.2×58.6×9.3mm(同)。厚さこそ同程度だが、縦横のサイズは一回りどころか二回りほど大きい。実際持ってみると、確実に手に余り、これを持って通話する姿は、ちょっと滑稽なほどだ。

本体正面。液晶は640×800ドット表示の5型本体背面。Dellのロゴが入った部分がバッテリカバーで、スライドさせると開く本体側面。厚さは約10mm
短いの方の側面は先端がすぼめられているiPhone 4との比較通話もできるが、手に余るサイズ

 しかし、それはスマートフォンとして見た場合の話。Streakは、普通にダイヤルして通話できるし、その意味で電話と呼んで差し支えない。しかし、同社では本製品をあくまでも「タブレット」と位置づけている。つまり、電話機能はおまけ的なものであり、それよりも、Webを閲覧したり、動画や音楽、Androidアプリケーションを楽しんだり、時にはメールだけでなく、オフィス文書を扱ったりといった用途を想定しているわけだ。

 その意味ではこの5型というサイズは、個人的にはありだと思う。同じタブレットという括りでは、対抗はiPhoneではなく、iPadになるだろう。筆者はカジュアルなブラウジングや、電子書籍端末としてタブレット機が欲しいと思っている。だが、筆者の通勤カバンは、すでにVAIO Zシリーズとデジカメなどで一杯で、iPadが入る隙間がない。また、たとえ入ったとしても、iPadは読書端末としては大きすぎるし、重すぎると思っている。

 今まで10型クラスのタブレットを触ったことがあるが、正直それらは持ち続けるのが辛いほどだ。一方、Streakの重量は実測で217g。当然、スマートフォンよりは重いが、長時間持っていても苦にならない。

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOは最近、「タッチの観点から、タブレットは最低でも10型のサイズが必要」と発言したらしい。それについては否定しないが、単純なサイズと重さだけを見た場合、筆者にとってのスイートスポットは7~5型程度なのである。

 液晶の解像度は480×800ドット。これは、近日発売予定のSamsung製スマートフォン「Galaxy S」と同じで、単純にStreakの画面だけを見ていると、十分高精細に感じるが、640×960ドットというiPhone 4には一歩及ばない。

トップ画面。ここにはアプリケーションのショートカットやウィジェットを自由に配置できる。画面が一杯になったら、2つ目、3つ目のトップ画面を作り、スクロールで切り替えられる標準で入っているアプリケーション

 また、試しに製品マニュアルの英文PDFを表示させてみたところ、横幅を100%に拡大すると、横位置では十分に読めるが、縦位置では文字がつぶれて読みにくくなった。もちろん本製品は、センサーを内蔵しており、縦位置/横位置を判断して、表示を自動的に回転してくれるので、縦で読みにくければ、横にすれば良いだけの話。ただ、情報の一覧性の観点から言うと、文章は縦位置で使えるのが理想的。iPhone 4なら同じものが縦位置でも十分読めるのかは試していないものの、もう一回り高精細になればなあと思う。

 ちなみに、画面の拡大/縮小やフリック操作によるスクロールは、ページ送りの時こそ読み込みが入って若干待たされるものの、基本的に快適に操作できる。

マニュアルのPDFを表示させたところの画面写真。問題なく識字できる
縦位置にしたところ。小さい文字は若干つぶれて読みにくい

【動画】PDFを表示させているところ

 マルチメディア系の機能としては、動画はH.263/H.264、3GP、MPEG-4、WMV、音楽はMP3、WMA、AAC、AAC+、eAAC+、AMR、Midi、WAVに対応。また、背面に500万画素、正面に30万画素のカメラを搭載する。

 カメラについては、サンプルを撮影してみた。内側のカメラは基本的に自分撮り用だが、あえて外側と同じ景色を撮影している。サンプルから分かるとおり、基本的な写真としての画質は期待できない。

 一方外側のカメラは、植え込みの部分など暗いところや、空の明るい部分がつぶれてしまっているが、FacebookやTwitterへのアップロード用スナップショットとしては及第点の画質になっている。ちなみに、今回試していないが、外側カメラにはLEDフラッシュもついている。

 撮影時は、メニューボタンを押すと、デジタルズームのほか、シーン、ホワイトバランス、明るさ、コントラスト、解像度などを調整/変更できる。また、撮影した写真は、ビューア上でメニューを押すと、簡単な編集のほか、SNSなどへのアップロードができる。

外側カメラでの撮影サンプル(2,592×1,444ドット)
内側カメラでの撮影サンプル(640×480ドット)。無理矢理外側に向けているので、左右は逆になっている
写真撮影時にメニューボタンを押したところ写真/動画ビューアメニューを呼び出して編集やアップロードができる
重量は実測で217g外側カメラにはLEDフラッシュも装備バッテリカバーを外したところ。microSDカードスロットはここにある
側面下側にUSBコネクタ側面上側には、イヤフォン端子、ボリュームボタン、電源ボタン、カメラボタン

【動画】写真/動画ビューアで写真を表示させているところ

 文字入力については、簡単なメモ程度の入力だけを試してみた。ソフトウェアキーボードの基本的な反応は良い。ただ、横画面にして、両手で持つと、中央には親指が届かなくなってしまった。これについては、もう少し両端にオフセットしたようなレイアウトも用意してくれると助かる。

 最後にそのほかの主な仕様を記す。OSはAndroid 1.6、CPUはSnapdragon 1GHz、ストレージは2GBで、microSDカードスロットも備える。なお、このスロットはバッテリカバーを開けないとアクセスできない。OSは、年末までにAndroid 2.2へのアップデートが予定されている。

 さて、今回はさまざまな制約から、本製品の肝の部分には触れることができていない。非常に中途半端なレビューとなっている点はお詫びしたい。それでも、筆者はこの製品について好ましい感触を抱いている。

 この年末から来年にかけては、Windows機含め、国内でもこういったタブレットやスマートフォンが続々登場するだろう。基本的に主流はスマートフォンなら4型、タブレットなら10型クラスになると思われる。Streakが日本で発売される予定は今のところないが、小柄な日本人向けにはStreakのような5型程度のタブレット製品は一定の歓迎を受けるのではないかと思う。

(2010年 10月 28日)

[Reported by 若杉 紀彦]