イベントレポート

Lenovo、LTE内蔵Windowsタブレットや次期GeForce搭載YOGAを発表

~同社初のMVNOサービスLenovo Connectが中国と欧州地域でサービス開始

YOGA 710(14型)は、オプションでNVIDIAの次世代GeForceを選択可能

 Lenovoは、MWC 2016が開催されているスペイン・バルセロナにおいて、最新コンシューマ向けPCを発表した。発表されたのは360回転型2in1デバイスとなる「YOGA」シリーズの4製品および、低価格なキーボード脱着型2in1デバイスとなる「ideapad MIIX 310」で、ヨーロッパでは第2四半期(4月~6月)に相次いで販売される予定。

 また、同社としては初めてMVNO(モバイル仮想ネットワーク事業者)のビジネスとなる「Lenovo Connect」を、中国と欧州を手始めに開始すると明らかにした。このLenovo Connectは、Appleが提供するApple SIMのようなLenovo自身がMVNOとなってセルラー回線を経由したデータ通信サービスをエンドユーザーに提供するもので、中国では同社の「MIIX 700」やスマートフォン、欧州では「ThinkPad」シリーズが対象となり、中国では2月から、欧州では第1四半期(1月~3月)中にサービスが開始される。

NVIDIAの次世代GPUをオプションで選択できるYOGA 710の14型モデル

 LenovoのYOGAシリーズと言えば、360度回転型ヒンジを採用した初代製品以降、液晶回転型2in1デバイスの代名詞とも言える存在になっている。従来のYOGAシリーズは、ハイエンドのProと普及価格帯のProが付かない製品、さらに低価格向けのFlexシリーズと3つのブランドで製品が投入されていたのだが、昨年(2015年)9月にベルリンで行なわれたIFAで発表された第6世代Coreプロセッサを搭載した製品から、「900」、「700」、「500」、「300」という4つのグレードに分類されるようになった。900がプレミアム向け、700がミッドレンジ、500が普及価格帯向け、300がバリュー向けという位置付けになる。

 今回発表された「YOGA 710」は、日本でも「YOGA 700」(11型)として販売されている製品の上位という位置付けで、11.6型と14型のフルHD液晶を搭載する。CPUは従来と同じ第6世代Core m(11型)および第6世代Core(14型)。11.6型モデルは、従来から60g軽量化された約1.04kgで、薄さは14.9mmと従来の15.8mmに比べて若干薄くなっている。また、11.6型モデル同士で比較した場合、新モデルはアンテナの改善などによりWi-Fiの電波強度が20%ほど改善されているという。

 なお、YOGA 710(14型)には、オプションでNVIDIAの次世代GeForceを選択することができる。これまでのところ、NVIDIAはGeForceの新モデルは発表していないが、今年のどこかのタイミングで開発コードネームPascal(パスカル)で知られる次世代アーキテクチャのGPUをリリースすることを既に明らかにしており、そうした製品の1つである可能性が高い。

 YOGA 710は11.6型、14型ともに欧州では5月以降の出荷開始を予定しており、価格は14型が899ユーロ(1ユーロ=125円換算で約112,000円)、11.6型が799ユーロ(同、約10万円)になる予定。なお、Lenovoの日本法人によれば日本での投入は未定とのことだ。

【表1】YOGA 710(11型、14型)のスペック(Lenovoの発表資料より作成)
YOGA 710(14型)YOGA 710(11型)
CPU第6世代Coreプロセッサ第6世代Core mプロセッサ
GPU内蔵/次世代NVIDIA GPU(オプション)内蔵
メモリ最大8GB(DDR4)最大8GB(LPDDR3)
ストレージ最大256GB(SSD)最大256GB(SSD)
ディスプレイ14型フルHD(IPS)11型フルHD(IPS)
Wi-FiIEEE 802.11acIEEE 802.11ac
Bluetooth4.14.1
セルラー--
バッテリ駆動時間-約8時間
ポートUSB 3.0(充電)×1、USB 3.0×1、Micro HDMI、SDカードスロット、オーディオ出力USB 3.0(充電)×1、Micro HDMI、オーディオ出力
厚さ約17.3mm約14.9mm
重量約1.6kg約1.04kg
OSWindows 10Windows 10
価格899ユーロ799ユーロ
ヨーロッパでの出荷時期5月5月
YOGA 710(11型)は軽量コンパクトな360度回転型の2in1デバイス

Radeonをオプションで選択できるYOGA 510シリーズ

 YOGA 510シリーズは、第6世代Coreプロセッサを採用した、360度回転ヒンジを備える2in1デバイス。15型と14型の2つの大きさのディスプレイのモデルが用意されている。従来モデルに比べて50%ほどバッテリ駆動時間が延びていることが特徴で、最大で8.5時間の駆動が可能になっている。Harman Kardonのスピーカーが内蔵されており、音質面でも訴求されている。

 いずれのモデルもオプションでRadeonを外付けGPUとして搭載することが可能。15型はRadeon R7 M460を、14型はRadeon R5 M430を選択することが可能になっている。重量は15型が約2.08kg、14型が約1.75kgとなる。

 Lenovoによれば、YOGA 510は15型、14型ともに欧州では4月以降の出荷を予定しており、価格は15型が699ユーロ(同、約87,000円)、14型が479ユーロ(同、約60,000円)からとなっている。こちらも、Lenovoの日本法人によれば日本での投入は未定とのことだ。

【表2】YOGA 510(15型、14型)スペック(Lenovoの発表資料より作成)
YOGA 510(15型)YOGA 510(14型)
CPU第6世代Coreプロセッサ第6世代Coreプロセッサ
GPU内蔵/AMD Radeon R7 M460 2GB(オプション)内蔵/AMD Radeon R5 M430 2GB(オプション)
メモリ最大8GB(LPDDR4)最大8GB(LPDDR4)
ストレージ最大1TB(HDD)/最大256GB(SSD)最大1TB(HDD)/最大256GB(SSD)
ディスプレイ15型14型
Wi-FiIEEE 802.11acIEEE 802.11ac
Bluetooth4.14.1
セルラー--
バッテリ駆動時間約8.5時間約8.5時間
ポートUSB 2.0(充電)×1、USB 3.0×2、HDMI、SDカードスロット、オーディオ出力、Gigabit EthernetUSB 2.0(充電)×1、USB 3.0×2、HDMI、SDカードスロット、オーディオ出力、Gigabit Ethernet
厚さ約21.5mm約20.9mm
重量約2.08kg約1.75kg
OSWindows 10Windows 10
価格699ユーロ479ユーロ
ヨーロッパでの出荷時期4月4月
YOGA 510(15型)、オプションでRadeon R7 M460を選択可能
YOGA 510(14型)、オプションでRadeon R5 M430を選択可能

Cherry Trailを搭載したideapad MIIX 310、オプションでフルHDを選べるようになる

 「ideapad MIIX 310」は、キーボードが分離するタイプの2in1デバイス。昨年のMWCで発表されたideapad MIIX 300の後継となる。ideapad MIIX 300では、CPUはAtom Z3700シリーズ(Bay Trail)が搭載されていたが、今年の製品はCherry TrailベースのAtom X5-8300に変更されている。また、メモリは最大で4GB(DDR3L)、ストレージは最大64GB(eMMC)となり、スペックに強化されている。

 液晶ディスプレイは、ideapad MIIX 300ではWXGAまでとなっていたが、ideapad MIIX 310ではオプションで10型フルHDが選択可能と強化されている。

 また、LTEモデムをオプションとして選択することが可能。重量はタブレット単体で580g、キーボード部分が520gとなっており、バッテリ駆動時間は約10時間。Lenovoによれば、欧州では6月以降の出荷を予定しており、価格は268ユーロ(同、約34,000円)。なお、Lenovoの日本法人によれば日本での投入は未定とのことだ。

【表3】ideapad MIIX 310のスペック(Lenovoの発表資料より作成)
ideapad MIIX 310
CPUAtom X5 8300
GPU内蔵
メモリ最大4GB(DDR3L)
ストレージ最大64GB(eMMC)
ディスプレイ10型フルHD(オプション)
Wi-FiIEEE 802.11n
Bluetooth4.0
セルラーLTE(オプション)
バッテリ駆動時間約10時間
ポートUSB 2.0×1(キーボード側)、Micro USB 2.0×1、Micro HDMI、microSD、オーディオ出力、Gigabit Ethernet
厚さ約9.2mm(タブレット)/約9mm(キーボード)
重量約580g(タブレット)/約520g(キーボード)
OSWindows 10
価格269ユーロ
ヨーロッパでの出荷時期6月
脱着型の2in1デバイスとなるideapad MIIX 310

グローバルなMVNOサービスとなるLenovo Connectを中国と欧州で開始

Lenovo Connectのロゴマーク、サービスは中国と欧州でまず開始される

 このほか、LenovoはグローバルなMVNO(モバイル仮想ネットワーク事業者)となる、Lenovo Connectを中国と欧州で開始することを明らかにした。デバイスメーカー自体が、MVNOになる仕組みとしては、Appleが開始しているApple SIMがよく知られており、Lenovoが開始するLenovo Connectもそれと同じように、Lenovo自身がMVNOとなり、顧客にグローバル規模でのデータ通信サービスを提供していく。

 Lenovoによれば、Lenovo Connectは手始めに中国でスマートフォンの「LeMeng X3」とWindowsタブレットとなるMIIX 700でサービスが開始される予定、当初は50カ国で通信が可能とされており、Lenovo Connectに対応したPCやスマートフォンを購入したユーザーは他国へ旅行した時にもすぐに通信サービスを利用できる。また、欧州では同社のビジネス向けPCとなるThinkPadシリーズの指定モデルで提供される予定で、110カ国でローミング機能を利用したデータ通信が利用できる予定だという。

 Lenovo Connectのサービスは中国では今月から、欧州では第1四半期中にサービスが開始される予定。Lenovoの日本法人によれば、日本でのサービスが開始されるかどうかは未定とのことだ。

(笠原 一輝)