イベントレポート

AMD、最大4.3GHz駆動の「A10-7890K」をまもなく投入

~次世代デスクトップ向けCPUには静音になった新リテールクーラーをバンドル

新しいCPUとしてAMD A10-7890Kを今四半期中に出荷予定

 AMDは、CES 2016の期間中に、同社の顧客や報道関係者向けのミーティングルームでいくつかの新しい展示を行なっている。AMDは今四半期中に自作PCやホワイトボックス向けに新しいCPUクーラーを投入するほか、Godavari(ゴダバリ、Kaveri改良のデスクトップ版)ベースの新しいAPUとなるAMD A10-7890Kをまもなく投入する。

 また、AMDは、従来はハイエンドのFX、メインストリーム向けのAシリーズ、ローエンド向けのAシリーズとソケットが別だった現状を改善し、次世代向けのCPU/APU製品となるSummit Ridge(サミットリッジ)、Bristol Ridge(ブリストルリッジ)世代において、ソケットをAM4という次世代のソケットに統一することを公式に発表した。

次世代のデスクトップPC向けボックスCPUなどで新CPUクーラーをバンドル

 AMDは今回のCES 2016に合わせて、いくつかのデスクトップPC向けソリューションを展示、発表している。1つには、将来製品のボックスCPUで採用される予定のCPUクーラーだ。AMDや、その競合となるIntelの自作PCおよびホワイトボックスPC向けのリテールパッケージには、CPUクーラーが付属してくる。ただ、そのCPUクーラーは当然最高性能ではなく、CPUメーカーが設定している熱設計消費電力(TDP)の枠を満たすだけの冷却性能を持つという製品がバンドルされているのが一般的だ。このため、冷却性能的には満たしていたとしても、フルパワーで回るとややうるさかったりという課題を抱えていることが多い(だから、サードパーティのCPUクーラーという市場が成立するわけだが……)。

 そうした課題を解決するのが、今回AMDが紹介している「AMD WRAITH COOLER」だ。ヒートシンクの構造やファンの構造を見直すことで、ヒートシンクのフィンが外気に当たる面積を従来製品に比べて24%増加させ、ファンの風量を34%向上させているという。この改善により、同じ冷却性能であれば従来の製品と比較してノイズは10分の1に減少しており、通常利用用途では39dBに過ぎないと、AMDでは説明している。なお、このAMD WRAITH COOLERは、次世代のデスクトップPC向けCPUでバンドルされる予定だとAMDでは説明している。

 また、今四半期中には、Godavariの最高クロックモデル「A10-7890K」を投入する。ターボモード時には4.3GHzに達する見通しで、AMDのAPUとしては最高性能の製品となる。

 加えて、Godavariや現行のFXプロセッサが利用できるAM3+、FM2+ソケットを搭載したマザーボードで、USB 3.1コントローラ、およびM.2 SATA SSDコネクタを搭載したマザーボードが、ASUS、GIGABYTE、MSIなどのマザーボードメーカーからリリースされる見通しであることも明らかにした。

AMDの新しいCPUクーラー「AMD WRAITH COOLER」
ファンの構造やヒートシンクのフィン構造が改良されている
このようにAMDのロゴなどがバックライトにより光る構造になっており、外から見えるケースに入れても映えるようになっている
USB 3.1やM.2 SATA SSDに対応した新しいAM3+、FM2+マザーボードをマザーボードベンダがリリース予定

Summit Ridge、Bristol RidgeではDDR4に対応するAM4ソケットに移行

 また、AMDは次世代のデスクトップPC向けCPUとして開発コードネームSummit Ridge(サミットリッジ)、Bristol Ridge(ブリストルリッジ)世代を投入することを明らかにした。Summit RidgeがFX製品(開発コードネームVishera)の後継でZenアーキテクチャのCPUに、Bristol Ridgeが従来のロードマップでは「第7世代A-Series Desktop APUs」として紹介されてきたGodavariの後継製品となる。

 AMDは従来、FXシリーズの製品がAM3+、メインストリーム向けのAPUがFM2+、Kabiniベースの廉価向けがAM1とそれぞれに異なるCPUソケットを採用してきた。しかし、今後は全てのCPUソケットをAM4に統一するという。現状ではAM1ベースのKabiniの後継製品というのはAMDは公式には計画を明らかにしていないが、仮に今後そうした製品が登場するとすれば、それも含めてAM4に統一されるという意味だ。

 このため、Summit RidgeおよびBristol Ridgeのリリース時期に、AM4に対応したチップセットをリリースするという。なお、現時点ではBristol Ridgeの詳細は明らかにされていないが、仮にモバイル向けの第7世代APUと同じSoCであると仮定すると、APUの中に入るサウスブリッジの機能はどうなるのかなども含めて、疑問点は少なくない。現時点で明らかにされていることは、メインメモリに関してはDDR4がサポートされるということのみだ。なお、DDR3はサポートされないと明言された。

 AMDによれば、両製品ともリリース時期は2016年中とされており、現状ではどの時期になるかは明らかにされないとのことだった。

AMDの新しいCPUはAM4ソケットに統一される

(笠原 一輝)