イベントレポート

【ShowStoppers編】電子ペーパー搭載のスマートフォンケース

~視線でポインタ移動できるデバイスも

Opera MAXの画面。利用しているアプリケーションとそのアプリケーションが利用した転送量、そして実際に節約できた転送容量などを可視化して確認できる
会場:Palau Musica Catalana

会期:2014年2月23日(現地時間)

 Mobile World Congress(MWC)の開催とともに、バルセロナ市内ではさまざまな併催イベントが開催されている。International CESやIFAなどでもお馴染みの、ShowStoppersもその1つだ。秋に開催されるドイツのIFAではイベントに付随する公式イベントという位置付けだが、CESやMWCでは独立したイベントとして実施されている。

 こうした併催イベントを開催する目的の1つが、製品やソリューションのメディアへの紹介だ。MWC自体は大規模なトレードショーなので、出展者側の主たる顧客はバイヤーということになる。ショーの規準によってはエンドユーザーが来場者に含まれる場合もあるが、MWCの場合は極めて少ない。自ずとブースの展示内容もバイヤーを第1目的にしたものになる。

 一方で、新しい技術や製品は企業側もなんらかの手段で、できる限りの広報を行ないたいと考える。そこで、このShowStoppersのような併催イベントでメディアに対してPR活動をするという状況が成立している。わずか数時間のイベントのためブースなどは設営せず、各社が1つか2つのテーブルを使って、自社製品のPRを行なうというわけだ。

 ここ数年バルセロナで開催されるShowStoppersは会場の選定に凝っていて、2013年はリセウ大劇場で開催されたが、2014年は世界遺産であるカタルーニャ音楽堂(Palau Musica Catalana)が会場となった。

Opera MAXは、現在米国と西ヨーロッパ地域のGoogle Playからダウンロードでき、ベータ版として運用されている

 PCやスマートフォンにOperaブラウザを提供するOpera Softwareは、Android向けにモバイルデータ通信の通信量を節約できるアプリケーションを公開した。名称は「Opera MAX」で、公開ベータ版を米国と西ヨーロッパ地域のGoogle Playを通じて23日(現地時間)から提供している。Opera Softwareによれば、httpプロトコルを利用する多くのアプリケーションで利用でき、最大50%の通信量節約が行なえるとしている。

 同様の試みはGoogle Chromeのモバイル版アプリでも実装されており、転送する画像ファイルや動画、テキストをGoogleのサーバーを経由させることによって、より軽量なデータに変更して表示する。Opera MAXも同様にOperaのサーバーを経由することで、データの軽量化を実現している。

 また、データ通信量を管理する機能も備え、データ通信量が大きいアプリケーションのデータ転送をWi-Fi接続時に制限するなど、モバイルネットワークでの通信量全体を管理できるのも特徴だ。本来の転送データ量と、軽量化された実際の転送量を可視化できる仕組みも備えており、その効果をアプリケーションから見られる。

 現在はサーバー側の安定動作確認を兼ねて、順次ベータユーザーを増やしている段階。日本からはOpera MAXのダウンロードはできないが、米国や西ヨーロッパ地域のユーザーもサービスインの待ち行列に並んで順次参加を待つことになる。

iPhone 5sのケースとして取り付ける電子ペーパー。OAXISが出展した「Ink Case」

 先のレポートで背面に電子ペーパーを搭載する両面スマートフォン「YotaPhone」を紹介したが、こちらは後付けできる電子ペーパーユニット。シンガポールが拠点のOAXISが出展した。「Ink Case」と名付けられた製品は、いずれもスマートフォンのケース形状となっている。ただし、電子ペーバー部分はモジュール式となっており、1つのモジュールでケースを変えるだけで複数のスマートフォンに対応できる。現在の対応機種は、iPhone 5/5s、Galaxy S4、Galaxy Note2など。

 スマートフォンとはBluetoothで接続する。専用のアプリケーションを使ってアルバムから写真を映したり、フィットネスのデータ表示、電子書籍の転送などが行なえる。ちなみに電子ペーパー自体もYotaPhoneと同じ台湾E Inkの製品を利用している。

モジュールは共通化してあり、ケースを交換することで複数のスマートフォンに対応する
現在の対応機種は、iPhone 5/5s、Galaxy S4、Galaxy Note2など。汎用のケースも用意される
スマートフォンとはBluetoothで接続。専用アプリケーションを使って、電子ペーパーに表示したいデータを送り込む
Plantronicsのスポーツ用ヘッドフォン「Back Beat Fit」。同社は、Buletoothヘッドセットなどを主力製品とする

 Plantronicsのスポーツ用ヘッドフォン「Back Beat Fit」。Bluetoothでスマートフォンなどと接続する。ユニットもケーブルも耐水性、耐久性のある素材を利用しており、フィットネスやランニングなどでの利用をターゲットにしている。また収納ケースにも工夫があり、ソフトフォーム素材のケースを裏返すことで、ランニング時にスマートフォンを収納できるアームバンドに変わる。裏返してアームバンドにしたときの表面部分は、クルマの前照灯などに反射する素材が使われているのも特徴。米国では4月に129.99ドルで出荷を予定している。

一見はソフトフォーム素材の収納ケース。カラーはブルーとイエローがある
アームバンドにした場合の表面は反射する素材が用いられており、クルマなどからの視認性を上げる
ヘッドフォンを取り出して、その収納ケースを裏返すと、スマートフォンを収納できるアームバンド付きのケースに変わる
単3電池で駆動。最大15年の保存が可能な緊急用携帯電話のSpareOne。SIMなしでもGSMのバンドを使って緊急通信が使えるほか、SIMスロットに手持ちのSIMを挿すことで通常通話も可能になる。最初のモデルからは足かけ5年ほど経つが、少しずつ改良が加えられたモデルが登場している。最新モデルはIPX7の防水性能に対応。うっかりの水没程度には耐えられるようになっている。利用するモバイルネットワークの関係でそのまま日本国内では使えないが、ぜひ日本向け仕様となる同一コンセプトの製品がほしいところだ
99ドルのEye Tracker「THE EYE TRIBE」。利用するユーザーの視線を認識して、ポインタなどを視線で操作する。AndroidやWindows、Mac向けのSDKも提供され、開発者は自前のアプリケーションを視線入力に対応させることが可能。操作のデモンストレーションが行なわれており、まずユーザーごとにキャリブレーションを取る。これは、画面の4隅や中央など指示された場所を見つめることで完了。ペン入力デバイスのキャリブレーションとほぼ同様の仕組みだ。ゲームのフルーツ・ニンジャでは目標のフルーツを見つめて、上下左右に視線を動かすことでスパッと切れる
ワイヤレス接続に対応するハイエンドオーディオ「ZERO 1」。3ユニット構成のスピーカー1本の重量は約40kg。接続方式は2.4GHz帯を使っており、AUDIOFLYのワイヤレスユニットなどを利用してスマートフォンなどのソースから再生を行なえる。ほかにUSB、TOSLINK、SPDIFなどの入力端子も備える。リモコンはアルミ製
GPS、GPRSを使った腕時計型のロケーター。主に介護補助などの用途が想定されている。Webサービスと連携して位置情報の追跡が行なえるほか、ジオフェンスを設定して、設定エリア外に出たときにアラートなどを使って知らせることもできる。長期利用を考慮して本体はやや大きめ。またデバイス本体以外に、サービスの利用料として25ドル/月(米国の場合)が必要になる。「Guard2me」の名称でサービスが行なわれる

(矢作 晃)